海外派遣の現場から インドネシア編【Part3】

世界の現場で出会った人々とのふれあい、その土地でしか感じられない息づかい。日赤職員が見た、笑顔や驚き、そして心に残る瞬間をお届けします。

キラキラの国の、おおらかな人たち

リポーター  吉田 健志 (よしだ たけし)さん

インドネシアの方々に日本の防災教育を紹介する吉田さん
インドネシアの方々に日本の防災教育を紹介する吉田さん

防災教育の普及支援と視察のため、インドネシアを訪れました。赴任して間もなく、現地でよく耳にした言葉があります。それはキラキラ(kira-kira)「およそ」「だいたい」という意味のインドネシア語です。細かなことにこだわりすぎず、おおらかに物事を捉える現地の人々の気質を表す言葉でもあります。

ある日、私たちは沿岸部の小学校を訪問しました。立地的に地震や津波への危機感を強く持っている学校で、周辺には避難経路を示す標識も数多く設置されていましたが、先生方いわく「実際に避難所まで歩いたことはない」、とのこと。そこで、日本の学校の避難訓練を紹介し、子どもたちと一緒に避難所まで歩いてみてはどうかと提案しました。

防災について学ぶ子どもたち
防災について学ぶ子どもたち。教室には終始、元気な声があふれていました

また、村役場では住民の方々へ非常持ち出し品について説明。その中で、携帯トイレの実物を見せながら紹介したところ、皆さんが一斉に怪訝そうな表情に…。災害時用のトイレを備蓄するという発想がなかったようです。

備蓄する理由や使い方を説明すると、次々と「今まで考えたことがなかった」「確かに必要かもしれない」といった声が。日赤現地事務所のスタッフ、アワルディンさんも「日本ではとても細かいことまで事前に考えている。想像して備えていないと実際の災害では、どうなると思う?」と補足します。災害を想像して備えておくことの大切さを、あらためて一緒に考える機会となりました。

一方で、時折表れるアバウトさに思わず笑ってしまうことも。村でインタビューをした際、人口構成について尋ねると、「0歳から5歳は735人、6歳から12歳は311人」と細かく調べて教えてくれました。

ところが次の瞬間、「あとは13歳以上で7000人くらい」とひと言。思わず「いきなり“キラキラ”すぎる!(笑)」とツッコミたくなりました。

防災について真剣に学び合う日々の中で、私の心に残ったのは、そんな現地のおおらかさと人々の明るさでした。