【WORLD NEWS】 アフリカ中央部に広がる脅威 エボラ出血熱感染拡大と赤十字の対応

何が起こったの?

※DRC: Democratic Republic of the Congoの略

世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を発出

地図

エボラ出血熱とは?

エボラウイルスに感染した動物(コウモリ、霊長類など)や人の体液(血液、分泌物、吐物、排泄物など)に傷口や粘膜が触れることで発症する感染症。初期症状は発熱や頭痛、筋肉痛。進行すると下痢や嘔吐を伴い、重症化して出血や臓器障害を起こし死亡することも。

感染の脅威は周辺国にも…

  • ウガンダ:越境感染拡大。監視・治療で封じ込め急ぐ
  • ルワンダ:症例なしも国境検査と入国規制強化
  • 南スーダン・ブルンジ・タンザニア:流入リスク高まる。監視体制と備え強化

紛争による避難民や労働による国境往来が多い地域のため、1国のみでの封じ込めは困難。多国間の連携が不可欠となっている。

エボラ対応の最前線で活動するDRC赤十字社のボランティア

©IFRC

エボラ対応の最前線で活動するDRC赤十字社のボランティア
そのとき、赤十字は…?
隣国ウガンダでもエボラ出血熱の発生が確認。感染疑いのある死亡事例に対応したウガンダ赤十字社の対応チームは、遺体の取り扱い、搬送、埋葬までの一連のプロセスを安全に行い、感染拡大のリスクの最小化を図っている

©URCS/IFRC(5月26日撮影)

隣国ウガンダでもエボラ出血熱の発生が確認。感染疑いのある死亡事例に対応したウガンダ赤十字社の対応チームは、遺体の取り扱い、搬送、埋葬までの一連のプロセスを安全に行い、感染拡大のリスクの最小化を図っている

現地の課題

  • 人口流動性が高い地域で求められる、国境を超えた感染防止策のための連携
  • 食料不安や栄養不良など複数の人道課題の重複による現地対応能力のひっ迫
  • 戦闘に伴う治安の不安定化による人道・医療活動の制約
  • 葬儀の際に遺体にふれる慣習や誤った情報の拡散が流行の封じ込めを妨げる現実
  • 遺体は特に感染力が強いため、遺体処理が極めて高リスク

赤十字の取り組み

赤十字ボランティアも犠牲に…
早期発見と地域を巻き込んだ対策を

今年5月にDRC東部で発生が確認されたエボラ出血熱は、承認済みのワクチンも有効的な治療法もない「ブンディブギョ株」。感染拡大を食い止めるには、早期発見と接触者の追跡、感染予防が極めて重要とされます。同国ではこれまで800人以上の感染者が確認され、死者数は約200人以上に(6月17日現在)。DRC赤十字社は、IFRCの支援を受け、保健当局やパートナーと協力し、流行地域での対応活動を行っています。主な流行地域であるイトゥリ州では、200人の赤十字ボランティアが最前線で活動し、戸別訪問による啓発活動などを実施。安全で尊厳のある埋葬のため、防護服や資機材の配備も進められています。

その一方で、遺体の感染力は非常に強く、遺体を扱う作業には高度な危険が伴います。イトゥリ州の東部では、エボラの発生が確認される前に遺体を扱う人道支援活動に従事していたボランティア3人が感染が疑われる症状により命を落としました。現地では「遺体を家族が素手で洗浄する」「葬儀で遺体に触れる」といった慣習も感染予防の妨げの一因となっています。

DRC赤十字社および、感染拡大が懸念される隣国ウガンダ赤十字社は、これまでの公衆衛生上の緊急対応において豊富な経験と実績があり、保健省とも協力関係を築いています。今回も、地域社会に根差した活動とボランティアネットワークを生かして、感染拡大の食い止めに力を尽くします。

ボランティアが戸別訪問を行い、活動初日だけで645世帯に情報を届ける

©IFRC

ボランティアが戸別訪問を行い、活動初日だけで645世帯に情報を届ける

VOICE

ボランティアの声

尊厳を守りながら、感染拡大を防ぐ埋葬活動を

デルファン・シャナムさん

©Jérémie Nzanzu Walaka

DRC赤十字社 ボランティア

デルファン・シャナム さん

私たちは、個人防護具を着用し、消毒機材を使用しながら、個人の尊厳を守りつつ、地域への感染拡大を防止するための埋葬を行っています。一部には、宗教的・文化的な考え方や故人への強い愛情から、この作業に抵抗を示す方もいますが、多くの人々は、我々ボランティアが適切な方法での埋葬の訓練を受けていることを理解してくれています。

人道の現場から

世界の被災地・紛争地で、人道課題と向き合う赤十字活動の最新情報を、「赤十字国際ニュース」(メール配信)でお届けしています。