【けんけつのいま】vol.11 小さなロボットが運んだ感謝の気持ち

このコーナーでは、献血を推進するために各地で行われているさまざまな取り組みを紹介していきます。

兵庫県の献血ルームで毎年実施される『遠隔支援ロボット temi(テミ)』を活用した院内学級との交流。その始まりは、兵庫県立こども病院内にある院内学級で挙がった一言でした。「献血してくれた人に、直接ありがとうを伝えたい」。ミント神戸15献血ルーム所長・細川泰宏さんは、交流実現までの過程をこう振り返ります。

「病室から出ずに献血者に直接話しかけるには、どんな方法があるか。院内学級の先生と相談して辿り着いたのが遠隔支援ロボットtemiです。教室と献血ルームをオンラインでつなぎ、子どもたち自身がロボットを動かして献血者に近づき、話しかける。これだ!と思いました」。 遠隔交流という新たな試みの実現に向けて、職員たちは『生徒さんの思いを届ける』ため細やかな調整を重ね、闘病中である生徒さんの個人情報保護も配慮し、準備を進めました。

*長期入院中の小中学生が学ぶ「神戸市立友生支援学校みなと分教室」

遠隔支援ロボット temi(テミ)

そして交流当日。受付・健診・採血の様子を画面越しに見た子どもたちからは、「献血してくれる人が、こんなにたくさん!」と、驚きの声が。案内役の職員へは「痛くないの?」と素直な質問が飛び出します。続くインタビュー交流では、子どもたちがtemiを操り献血者の前へ。「どうして献血しようと思ったんですか?」。temiから聞こえる小さな声に、献血者は「誰かの役に立てたら」と笑顔で返答。細川さんは「子どもたちとの会話で献血者も表情が和らいでいくのが印象的でした」と話します。

交流後のアンケートには、「献血が治療に役立っていると実感した」と献血者から。また、院内学級の先生からは「たくさんの人が応援してくれていると感じて、生徒たちは治療を頑張る気持ちが高まったようです」との感想が寄せられました。temiがつないだのは、応援したい・応援してくれてありがとう、という“思い”そのもの。細川さんは「今後もこのような交流をできるだけ継続したい」と語ります。

企画は2020年スタート。毎年5人ほどの献血者が院内学級の生徒たちとの温かな交流に協力している