トルコ・シリア地震発生から間もなく3年。現在、トルコ南東部の被災地域では災害公営住宅の建設が進んでいます。2025年2月には約60万人がコンテナ型仮設住宅で避難生活を送っていましたが、今ではその大半が、この公営住宅へ移住しています。
トルコ赤では、これまで仮設住宅が集中するエリアに「コミュニティサービスセンター(CSC)」を設置し、避難生活を送る人々の健康を守る活動や「こころのケア」などを提供してきました。
その中で日赤は地域保健活動を資金面で支援し、救急法や感染症予防、運動習慣の推進といった啓発活動を後押ししてきました。トルコ赤のアイシェヌールさんは、自身も仮設住宅で避難生活を送りながら避難民支援の活動に従事し、これまでの変化を次のように振り返ります。
「CSCの開始当初、特に女性特有の健康問題については、同じ女性間であっても口に出すのをためらう空気がありました。しかし、彼女たちの声に耳を傾け続け、正しい知識を伝えることで、徐々に信頼関係が深まり、心を開いてもらえるようになりました」
公営住宅への入居が進んだことを受けて6県8カ所に設置されていたCSCも役目を終え、2025年末をもって活動を終了。アイシェヌールさんは「公営住宅に移ったとしても、人々の健康に関する不安は消えることはありません。乳がんなどの女性の健康に関わるセミナーは参加者も多く、CSCの閉鎖を残念がる声も多く聞きます。人々の要望に耳を傾けつつ、私たちの支援も次の段階に進みます」と、語りました。
CSCでは栄養バランス改善のためのワークショップも
トルコ赤は、政府からの指定を受けて国内の血液製剤供給を管理し、日赤と同様に血液センターや献血ルームの運営を行っています。
2023年の大地震により、いくつかの血液センターや献血ルームも損害を受けました。アドゥヤマン県も大きな被害を受けた地域の一つですが、日赤の資金援助を受け、献血ルームを建て直し、献血バスも新たに配備。また、同県内の血液センターはこの資金援助により移転して、新しい設備を備えた最新の血液センターに生まれ変わることになりました。
日赤支援の新しい献血ルームを訪れたアブドゥルカデシュさんは、こう話します。
「トルコ赤から携帯電話にショートメッセージが届き、仕事の合間に献血に来ました。この献血ルームのように新しい建物が増えて、ゆっくりとですが、復興が進んでいるのを感じます」
また、常連の献血協力者であるマフムットさんは、「これまでも日本はさまざまな支援をしてくれ、日本を好ましく感じていましたが、改めて、新しくてきれいな献血ルームの設置を支援してくれたことに感謝します!」
この献血ルームで採血する看護師のハティージェさんは、元々アドゥヤマン県にあった血液センターに勤務していたものの、震災後の一時閉鎖に伴い別の県に移住。今回、新献血ルームが完成したことでアドゥヤマン県に戻ってきました。
「町は震災前の状態には程遠いですが、新しい献血ルームをとても気に入っています。人の命を救う過程の一部である献血に従事できることを誇りに思います」(ハティージェさん)
献血ルームでお話を聞いた誰もが、復興への期待と献血事業の再建への喜びを語りました。
血圧測定中のアブドゥルカデシュさんとハティージェさん
地震後しばらくの間、献血者数は地震発生前の20%程度にまで落ち込んだ時期もありました。深刻な被害を受けた被災地の範囲が広く、国全体の復興に時間がかかっていますが、献血者数も、およそ70%程度にまで戻りつつあります。トルコでも「献血は無償のボランティア行為」です。トルコ赤はSNSでの発信や携帯電話へのショートメッセージを通して献血協力を呼びかけている他、未来の献血者を育てる目的で、学校などを訪問して献血の意義を伝えたり、献血関連のグッズを配布したりと、献血の啓発に力を入れています。
最後に、献血ルームのスタッフから日本の献血者に向けて、次のメッセージが贈られました。
「住む場所は違っても、献血を通して誰かを救いたいと行動を起こす人がたくさんいることは、とてもすてきなことです。ぜひこれからも献血にご協力ください!」
日赤によるトルコへの支援は、これからも続いていきます。