普段は都内の日赤病院で看護師をしていますが、昨年5月から8月まで、インドネシアに派遣され、「防災強化事業」の管理業務に従事しました。日本人スタッフは私一人で、現地スタッフのアワルさん、ヤナさんと3人でチームを組み、支援地域の村々を訪れました。実は初めての海外派遣でしたが、幼少期をマレーシアやシンガポールで過ごしたこともあり、「再びアジアで暮らせること」「アジア料理が食べられること」に胸を高鳴らせながらの出国でした。
現地での生活は自炊が基本、仕事終わりには近くのスーパー巡りをし、慣れない食材を前に「健康的な食生活が続けられるだろうか」と不安になることも。また、1人で食べるご飯に寂しさを感じて「料理は、ただ栄養を摂るだけではなく、誰かとおいしさを共有するものなんだ」と実感しました。
ひと月が過ぎた頃、支援地域を巡る16日間の出張が始まりました。途中からは空き家を宿泊地としてチームと共同生活に。朝5時から10人以上の朝食を作ったり、余ったお弁当をオムライスにリメイクしたり―料理を通じて「暮らし」と「関係性」が育っていく時間でした。
そして、私の心を奪った食材が「キャッサバ(熱帯原産の芋)」です。蒸しても揚げても美味しく、お菓子にも変化する万能食材。粉にすればタピオカ、すりおろせばもちもちのお菓子に。また「lemet(ルメット)」は、キャッサバにブラウンシュガーとパームシュガー、ココナッツを混ぜ、バナナの葉で包んで蒸したもの。あのもちもち感と香りが忘れられず、日本でも手に入らないか調べたほどです。
気づけば体重は3kg以上増え、日本に帰国する際に、看護師のユニフォームが入るだろうかと焦りましたが、それ以上に、「食べること」「作ること」「分かち合うこと」というインドネシアの文化、あの国の優しさそのものを全身で吸収できたことに、幸せを感じています。


