能登の教訓を胸に... 陸・海・空で挑む「半島の孤立」対策



日本には、能登半島や男鹿(おが)半島、丹後半島など約80の半島があり、いずれも独特の地形を持ちます。2024年の能登半島地震では、道路の寸断により救援が遅れ、物資輸送や医療支援が困難を極めました。こうした「半島災害」は、陸路の途絶にとどまらず、海に囲まれた地理的な制約から通信・物流・ライフラインの復旧に多大な時間を要し、地域そのものが孤立するというリスクを抱えています。

この教訓を踏まえ、内閣府、秋田県、男鹿市の共催で、災害発生時における孤立化対策訓練が行われました。訓練には、日赤秋田県支部、秋田赤十字病院救護班を含め、関係機関約30団体が参加。当日は陸・海・空の自衛隊が中心となり、国と多くの関係団体が連携して行う大規模な総合訓練として、災害対応能力の向上を図りました。



想定では、男鹿半島北西約80kmを震源とした最大震度6弱の地震と津波が発生。災害対策本部の設置から情報収集、物資の海上輸送、避難者の航空輸送、避難所の開設・運営まで。各機関が連携し、実際の災害現場さながらの緊張感の中で訓練が進められました。

日赤救護班は医療従事者輸送訓練に参加。OGAマリンパークから海上保安庁のヘリコプターで、孤立地域と想定された北浦地区・旧北陽小学校へ向かい、避難所の設営や傷病者の応急救護、他機関との情報伝達などを実施しました。訓練を通じ、半島地域における支援体制の新たな可能性と、今後の課題が明らかになりました。

ヘリで到着した日赤救護班

日赤救護班が搭乗した海上保安庁のヘリコプターがOGAマリンパークから飛び立ち旧北陽小学校へ。患者役として地元住民も参加した

船川港での訓練

訓練は陸路が遮断されている設定。海から支援に回る。海上自衛隊の船が支援車両や物資を載せて着岸

日赤救護班の声

大村範幸 医師

秋田赤十字病院・
大村 範幸 医師 
(日赤救護班 班長)

改めて「受援する側」の訓練がいかに重要か、と感じました。支援を届ける側だけでなく受ける側が、迅速かつスムーズに対応できる仕組みを整えることが大切ですね。それに加えて日赤の「こころのケア」や「災害関連死を防ぐ取り組み」も生かし、誰もが安心できる支援環境づくりに貢献したいと思います。