2003年8月19日にイラク・バグダッドの国連事務所本部が爆撃され、人道支援関係者22人が命を落としたのを機に、国連はこの日を「世界人道デー(World Humanitarian Day)」と定めています。今年、国連は世界人道デーに、ジュネーブ本部で追悼式を開催。職務遂行中に犠牲となった人々を追悼し、人道支援者の貢献を称えました。
国際赤十字もまた、世界人道デーに合わせて公開されたWEBサイトで、赤十字の活動中に命を落とした仲間を悼み、その人物像や友人の声を届けました。
今年6月、紛争が激化するイランで活動していたイラン赤新月社(以下、イラン赤)のキアヌシュ・ファラヒさんは、捜索救助犬の調教師として、救助犬・ジロと一緒にテヘラン西部で救援活動中に、仲間が犠牲となる場に居合わせました。

「救援活動中にも空爆があり、私たちは強力な衝撃波に揺さぶられました。私は怖がるジロを安全な場所に移動させ、救援活動を続けました。高速道路沿いに仲間の救急車が停車し、仲の良い同僚のモジタバ・マレキともう一人の同僚が車の近くに立っていました。私は彼らに挨拶し、歩み寄ろうとした瞬間に爆風に投げ出されました。その救急車が攻撃を受けたのです。私はやっとの思いで立ち上がり救急車に駆け寄りましたが、モジダバの姿を見つけることはできませんでした。私はただただそこに立ち尽くし、泣くしかありませんでした」
このとき攻撃を受けた赤新月社の救急車は、紛争で死亡した救急隊員を追悼するために、今でもテヘランの中央広場に置かれています。国際人道法では、医療施設、救急車、医療・人道支援要員を攻撃することは重大な違反とされ、保護するべき対象であると示すためにジュネーブ条約で定められた赤十字・赤新月の標章(マーク)を掲げます。攻撃された救急車は車体に赤新月の標章が大きく表示されていました。



