万博と赤十字vol.3「2005年『愛・地球博』開催」 2025年4月に開幕する大阪・関西万博には、赤十字の理念を伝える「国際赤十字・赤新月運動」のパビリオンも出展されます。本連載では万博と赤十字の150年以上にわたる関係をひもときます。

赤十字パビリオンはなぜ人々の心をつかんだのか

パビリオン内の最後のゾーン「こころの掲示板」に、みなさんから寄せられたメッセージ

「愛・地球博」の赤十字パビリオンを出展する上で日赤職員たちが向き合ったのは「赤十字とは何か」という、存在の本質を掘り下げる「問い」でした。スイス・ジュネーブの国際赤十字・赤新月博物館にある赤十字の思想を伝える展示などに触発されながら議論を重ね、「今の赤十字」を伝えるコンテンツを練り上げていきました。

パビリオンでは、赤十字の歴史や、世界中で多くの人に降り掛かっている脅威と不安を「知り」、そこに寄り添って支える赤十字の思いを「感じ」、訪れた人が自分ゴトとして「考える」の3つのゾーンを展開。特に、戦争や飢餓、自然災害などの厳しい現実の中で生きる人々と、その人々を支援する赤十字の活動を映像で伝える「マインド・シアター」や、来場者が感じたことを書いて掲示する「こころの掲示板」は、多くの人の思いを共有する場となりました。

口コミで来館者が日を追うごとに増え、最終日は6時間待ちの行列が。来館者が、熱い思いに突き動かされ、自らペンを取って思いをつづる姿は、「自分にできること」を考えるきっかけをつくるというこの展示が目指した“成果”を示すものでした。また、赤十字のボランティアが、案内や誘導係といったパビリオンの運営の中心を担ったのも大きな特徴でした。連日、全力で運営に励んだボランティアからは「お互いを思いやり、助け合うことの大切さ、赤十字の素晴らしさを改めて実感した」「参加したことを誇りに思う。地域に戻って、ますます赤十字の理念を広げる活動を頑張りたい」といった声が聞かれ、日頃から赤十字に携わる人々にとっても、深く記憶に刻まれるものとなりました。

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