天皇皇后両陛下、ご家族でご見学~関東大震災から100年「温故備震」企画展~

両陛下と愛子さまは時折質問をしながら職員の説明に耳を傾けられた。ご一家の赤十字情報プラザへのご訪問は初めて

 10月2日、天皇陛下と日赤名誉総裁である皇后陛下、長女の愛子さまが、日赤本社を訪問されました。ご一家は、到着後すぐに前庭の殉職救護員慰霊碑に花を手向けられた後、赤十字情報プラザで開催されている関東大震災100年の企画展「温故備震~故きを温ね明日に備える」を見学されました。お三方は、「大正12年関東大震災 日本赤十字社救護誌」に記された当時の東京・神奈川の救護機関配置図や、日赤所蔵の写真を前に、職員の説明に熱心に耳を傾けられました。両陛下は、海外支援金品リストに特に興味を示され、約30カ国もの国々から寄せられた支援に感銘を受けられたご様子でした。また、救護所の配置図をご覧になった皇后陛下と愛子さまが、「救護所は何カ所設けられたのですか?」と同時に質問されるなど、100年前の日赤の救護活動に大きな関心を寄せられていました。

 その後、同室内にある赤十字の歴史と活動を伝える常設展もご見学。皇太子時代に日赤名誉副総裁を30年務められた天皇陛下は、日赤初の災害救護活動である磐梯山噴火などのいくつかの資料については自ら皇后陛下と愛子さまに解説されました。また、愛子さまは赤十字の歴史を学ばれていたご様子で、救護用医薬品の展示コーナーでは、職員の説明よりも先に「アメリカからいただいたウイスキーもあるのですよね」と話される場面も。愛子さまの知識に驚く職員に「先走ってしまいました」とはにかむ、ほほ笑ましいお姿もありました。案内役を務めた赤十字情報プラザ・大西智子参事は「ご家族で交わされるお言葉から両陛下の赤十字に対する深いご理解と並々ならぬご関心が伝わってきました。愛子さまも熱心に資料をご覧くださり、感激いたしました」と、印象を語りました。情報プラザの見学後は、別室で特別に展示された災害救護用テントなど最新の日赤の救護資機材もご覧になりました。

資料を読み込まれるご一家。陛下は「このような資料が残っているのですね」と驚かれた様子

日赤に残されている、当時の東京、神奈川の救護機関配置図(写真は原本の拡大プリント)

ご案内役を務めた大西参事

災害救護用テントなど資機材もご見学

日赤医療事業推進本部 渡部洋一本部長は、医療資機材やエアーテントの説明をした際のやり取りを次のように述べました。

「展示しているパネルの写真で、避難所でダンボールベッドを使用している様子をご覧になった皇后陛下から『ダンボールベッドは最近よく使用されていますね』、というお言葉がありました。ダンボールベッドは熊本地震の頃から災害時によく使われるようになりましたが、皇后陛下はそのことをご存知でした。床に直接寝ていると埃を吸い込みやすく、衛生面でも懸念がありますが、ダンボールベッドはそれを防げます。加えて、床に寝ていると足音が響きますが、それもあまり感じずに済みます。腰掛けられるので被災者が生活しやすい、という面もあります。それらのことを簡単に説明いたしました。また、被災地では停電になっていることも多いため、エアーテントで使用する発電機や蓄電池の説明した際に、愛子さまからは『蓄電池はどれくらいもちますか』という質問をいただきました。それに対して『蓄電池はソーラパネルで常々充電しているのでずっと使用できます』とお答えしました。こちらからの回答に、両陛下も愛子さまも熱心に耳を傾けておられました」