紛争の爪痕も残るシリアで求められる支援とは トルコ・シリア地震からおよそ3カ月

シリアでもとくに被害の大きい都市・アレッポでも支援活動が続く。現地には食料や仮設住宅セット、衛生キット、医薬品などの救援物資が届けられている ©シリア赤新月社

日赤はこれまでも国際赤十字を通じて、紛争下のシリアで、シリア赤新月社が行う巡回診療などの人道支援活動を支えてきました。そのような中、今年2月に大地震が発生し、シリアの人道危機は深刻さを増しています。現在の状況の把握と今後の支援ニーズを確認するため、同国被災地であるアレッポとラタキアに入った日赤本社職員の片岡昌子さんからのリポートです。

「現地を訪れ、12年におよぶ紛争の爪痕に衝撃を受けました。紛争で破壊されたのか、今回の地震で倒壊したのか、見分けがつかない建物やがれきだらけでした。多くの人々が避難所生活を送る学校では、シリア赤新月社などの手で食料が届けられる一方、マットレスを敷いただけの教室に5~6家族が寝泊まりをし、シャワーや入浴設備はなく、満足に洗濯もできない状況でした。調理できる設備もないため、温かい食事も十分にとれません。衛生環境が悪化する中、コレラなど感染症の発生も懸念されています。

また、アレッポ市内にあるシリア赤新月社の子ども病院の院長によると、今回の震災は負傷された人や家財を失った人たちだけでなくアレッポに暮らす全ての人々の心に影響を与えているとのこと。パニックを起こしたり、不安な様子を急に見せたりする子どもが震災後に増えているそうです。同院では国際赤十字の支援も受けながら、『こころのケア』にも取り組んでいきたいと院長は述べました。

一方で、かつての戦争と震災から復興した日本に学びたいという声もよく聞きました。日本のアニメはシリアの子どもや若者に人気で、街中で『ありがとう!』と日本語で声をかけられることも。私は、過酷な状況でも希望を持ち続けようとする被災者の方々に対して、そして、自らも被災者でありつつ絶え間ない支援活動を続ける赤新月社のスタッフやボランティアにも、日本の皆さんからの連帯と応援の気持ちを伝えました」

これからシリアの人々が立ち直っていくために、日赤は国際赤十字とともに被災された方々に寄り添った支援を続けていきます。

被災地のアレッポでシリア赤新月社のスタッフとともにニーズ調査を行う片岡さん(右) ©シリア赤新月社