赤十字に寄付したお金は、何に使われているの? 5月は赤十字運動月間!

日本赤十字社は、毎年5月を「赤十字運動月間」として、日赤が行っているさまざまな活動を広くご紹介し、継続的な支援の呼びかけをしています。
今回の特集では、ボランティアとして、また青少年赤十字の元メンバーとして赤十字の活動に参加しているお二人にインタビュー。
寄付(会費を含む)がどのように使われているかもご紹介します。


赤十字マークをつけて
活動できることに
責任と信念を持って

2023-04-25 16.05.05.jpg


松戸市赤十字奉仕団 副委員長
赤十字奉仕団支部指導講師
稲積 修(いなづみおさむ)さん

 中学校の教員として赤十字と出会って以来、その理念に共感し、定年まで青少年赤十字の指導を続けました。定年後も赤十字と関わっていきたいと思い、赤十字ボランティアになろうと決意。より地域に根づいた活動をしていきたいと考え、地域奉仕団に参加しました。現在は献血の呼びかけや高齢者施設への訪問、定例会での講師など、週に1回のペースで活動をしています。
 これまでの活動でとくに印象に残っているのは、熊本地震のときの街頭募金活動。募金箱に1万円札を入れてくださった方が、「赤十字は信用できるからね」と言葉をかけてくださったのです。赤十字の普段の活動は広くは知られていないかもしれないけれど、赤十字マークをつけていることで、好意の目を向けてくださる。それは、先人たちが築き上げてくれた財産ですし、その一員として活動できていることを誇りに思いました。


“人の命を守る”赤十字理念を伝えたい

 赤十字の創始者であるアンリー・デュナンの著書の中に、「人道を実現するには、市民が協力するしかないのだ」という一節があります。まさに、今の赤十字の活動もそう。活動資金は寄付によって成り立っていますし、さまざまな活動もボランティアの協力なしには実現しません。その意識を持って、一人でも多くの人に赤十字の哲学や理念を理解してもらうための活動を続けていきたいと思っています。寄付をくださる方たちにも、そのひとつひとつが人道の担い手、平和の担い手としての第一歩であると認識してもらえたらうれしいですね。

【Profile】稲積 修(いなづみおさむ)さん/中学校教員として青少年赤十字の指導に携わり、定年後に地域奉仕団として活動スタート。その後、長年にわたり赤十字奉仕団支部指導講師を務め、令和4年には全国赤十字大会において社長感謝状が贈られた。旧成田赤十字看護専門学校で赤十字概論の非常勤講師をした経験も。

996_main_02.jpg


【赤十字ボランティアとは】

赤十字の理念に賛同した方々が、全国各地で活動しています。各地域のニーズに応じた活動を行うとともに、赤十字防災セミナーや各種講習への協力など赤十字事業にも参加している他、自身が持つ特殊な技能を活用した活動も展開しています。ボランティア育成にかかる研修や会議およびボランティア活動にかかる経費を助成するために、寄付が活用されています。

「赤十字といえば病院や献血」
そんなイメージを変えた
JRCの活動

2023-04-25 16.07.49.jpg


埼玉県青少年赤十字
卒業生奉仕団 副団長
加藤 緩凪(かとうかんな)さん


 私とJRCとの出会いは、高校のとき。国際文化交流部という部活動の一環でJRCに携わったのが最初です。赤十字といえば病院や献血のイメージしかなかったですし、ボランティアに強い関心があったわけでもないので、初めは「私に何ができるの?」と半信半疑でした。赤十字がどんな団体か分からず、少し怖いとも感じていました。でも、勉強会や合宿に参加する中で、赤十字の理念や人道を学び、「自分は人のために何ができるのか」を深く考えることでたくさんの気づきを得て、もっと赤十字に関わっていきたいと考えるようになりました。

【Profile】加藤 緩凪(かとうかんな)さん/2001年生まれ、現在大学4年生。高校生のときに部活動を通じて青少年赤十字に参加。ベトナム派遣ホームステイの受け入れや、自らも韓国派遣でホームステイを経験するなど、国際交流に力を入れる。現在は卒業生奉仕団としての活動する一方、赤十字ユース委員会のPR推進チームでも活躍。


“自ら気づき、自ら考えて、動く”
人として成長できるJRCの学び

 元々国際交流に関心があり、海外のJRCメンバーをホームステイで受け入れたり、自分も韓国に渡ったりと、したかった国際交流ができたこともあり、JRCの魅力にハマった私は高校卒業後も卒業生奉仕団としてJRCをサポートしています。JRCの合宿では、主体的に考えて計画・実行するという経験を積むので、合宿が終わったときに自分の成長を実感できます。災害支援に携わった方の経験談を聞けるなど見識が広がるだけでなく、活動を通じて言葉使いや社会的マナーを身につけることもできて、活動の一つ一つが学びの機会になっています。


赤十字の活動を広めるために

 海外の紛争の影響で国や人種で区別・差別をする人を見かけることがあります。でも「そう考える人もいるけど、自分はそう考えない」と、誰かを責めることも同調することもなく、自分の考えを保っていられるのは、赤十字の「中立」の理念があるから。赤十字を知らない人に活動や理念に触れてもらいたい。自分で企画して全国47都道府県の奉仕団のSNSアカウントを収集したので、新しいPRを展開したいと考えています。

996_main_03.jpg


【青少年赤十字(JRC)とは】

未来を担う青少年が実践活動を通して自ら「気づき、考え、実行」できる学びの機会を提供し、赤十字思想を持った子どもたちの育成を行っています。JRCメンバーや指導者を育成するための研修や、国際交流事業、教材などの作成費に寄付が生かされています。

まだまだある!
寄付が使われている
日赤のさまざまな活動

全国から集まった寄付は、日赤の多岐にわたる活動に生かされています。
国内災害救護や国際活動、身近な人の命を守るための
救急法などの講習について、その一部をご紹介します。

【国内災害救護/防災セミナーの普及】

災害時の救護活動を確実に行うための体制づくり日赤は、災害発生時にいち早く救護班などを派遣し、被災地で必要な救護活動を行います。また、救援物資の配布や義援金の受け付けなどの役割も担っている他、災害発生に備え、日頃から研修や訓練による人材の育成などに取り組んでいます。さらに、住民の防災力を高めるために、全国各地で赤十字防災セミナーの普及にも取り組んでいます。

P8060101_hosei.jpg

【国際活動】

国際的ネットワークを生かした人道支援活動192の国と地域に広がる赤十字社のネットワークを生かして、日赤は世界中の災害や紛争、病気などで苦しむ人々を救い、支えるための活動を行っています。人道危機発生直後の緊急救援だけでなく、その後の復興支援から開発協力まで、困難な状況にある人々が自ら立ち上がるために、切れ目なく、息の長い支援を行っています。

kokusai_hosei.jpg


【救急法など講習の普及】

命や健康を守るための知識と技術の普及身近な人を救うため、心肺蘇生とAEDの使い方、日常生活における事故防止、急病やけがの応急手当、災害時の心得など、命や健康に関する技術と知識を広めるための講習(「救急法」「水上安全法」「雪上安全法」「健康生活支援講習」「幼児安全法」)を行っています。全国の日赤支部・施設で開催する他、その地域のニーズに応じて指導員を派遣します。

R3_nissekisaitama_hosei.jpg