ウクライナ人道危機から1年〜国際赤十字と日赤の支援〜

国際赤十字の動きとウクライナの今

首都キーウなどミサイル攻撃を受けた地域の支援のため、ウクライナ赤十字社の緊急対応チームは24時間体制で活動している/写真(c)ウクライナ赤十字社

 2022年2月24日に始まったロシア・ウクライナ国際的武力紛争激化から1年が経過しますが、いまだに終わりが見えません。12月18日、赤十字国際委員会(ICRC)が支援する病院が攻撃を受け、患者2人が亡くなるほか、ヘルソンではウクライナ赤十字社の緊急対応チームのボランティアが砲撃に巻き込まれ、1人が命を落としました。国際人道法によって、民間人、そして医療機関や医療スタッフ、人道支援に携わる人は、尊重され保護されなければならないと決まっています。人道支援が妨げられないようにすることを、ICRCは紛争当事者に対して強く要請しました。

Sien_RCN993_P2image.jpg 12月時点でウクライナの国内避難民は約600万人と推計され(IMO統計)、国外への避難民は800万人余りに上ります(UNHCR)。現在、国際赤十字の支援のもと、ウクライナ赤十字社を中心に厳冬期対策支援が実施されており、特にエネルギー施設への攻撃により電力が不足する中、発電機や冬布団、寝袋、電気ヒーター、薪ストーブなどを配布しています。日本赤十字社も厳冬期対策支援に4億2000万円を拠出しました。

 昨年12月末までに日赤に寄せられた「ウクライナ人道危機救援金」は79億3507万円に上りました。それをもとにICRCと国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)それぞれに25億1000万円を送金。残り約29億円は日赤とウクライナ赤十字社の二国間支援事業(厳冬期対策支援含む)などに活用されます。

ウクライナ南部のミコライウで5000台のストーブを準備する赤十字スタッフ/写真(c)ウクライナ赤十字社

ウクライナと周辺国への日赤の支援

 日赤はウクライナ人道危機に対して資金援助だけでなく、ウクライナおよび周辺国へ日赤職員を派遣するなど人的支援も実施しました。周辺国では救援物資の管理や調整、避難民のこころのケアの支援体制づくりなどに貢献。ウクライナではICRCやIFRCのほか、日赤を含む13の姉妹社がウクライナ赤十字社を個別に支援しています。 
 日赤は<1>リヴィウ州にあるリハビリテーションセンターの改修・運営支援、<2>同州の診療所や訪問看護といった各サービスの拠点となるウクライナ赤十字社サービスセンターの建設と運営を支援、<3>イヴァノ=フランキウスク州での巡回診療支援、<4>救急車支援、<5>厳冬期対策支援、<6>現金給付支援、<7>緊急対応基金支援の7つのプログラムをウクライナ赤十字社と行うことで合意。長引く人道危機への中長期的な支援が求められています。

救急車10台(緊急救援用5台+巡回診療用5台)の支援。ウクライナ国内での調達が困難であることから、日赤が国際赤十字を通じて調達および資金を援助している

昨年10月以降、発電所への度重なる攻撃のため、多くの地域で電力不足に。現在、全国各地に発電機やストーブを配布中。ウクライナ赤十字社の本社も電力が停止する中、日赤の資金支援による大型発電機が到着し、大変喜ばれた

赤十字マークには大切な意味があります

避難者を乗せた車の列を先導するICRCの車両にも、前後左右と上空からも分かるように赤十字マークが付けられている/写真(c)ICRC

 赤十字マークは戦争や紛争などで傷ついた人々とその人たちを救護する軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設などを攻撃から守るために識別するマークです。したがって紛争地域などでこの「赤十字マーク」を掲げている病院や救護員などには絶対に攻撃を加えてはなりません。これはジュネーブ諸条約によって厳格に定められています。

赤十字マークに対する誤った理解が広がらぬよう、紛争地域以外での赤十字マークの使用には厳格なルールが定められています。国内で赤十字マークを使用できるのは赤十字社と自衛隊の衛生部隊など、政府から許可された組織・団体のみ。一般の病院や商品での使用は法律で禁止されています

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