赤十字はじめて物語【vol.11 広報活動】 日本赤十字社の事業 その出発点にはそれぞれの「はじまり」のストーリーがありました。

支援者獲得に貢献した「赤十字幻灯」

アンリー・デュナンや日赤の救護員が描かれたスライド30枚ほどと、投影するための幻灯機が石黒忠悳によって寄贈されました

白黒写真さえ珍しい時代に、赤十字活動をカラー投影で紹介

 1877(明治10)年、日赤の前身である博愛社の設立とほぼ同時期に広報活動が始まりました。

 まず、この年に社則などをまとめた「博愛社創業広告書」を発行。さらに1891年12月から本紙「赤十字NEWS」につながる機関誌「日本赤十字(「博愛」に改題)」が発行されています。

 同年、後に第4代社長となる石黒忠悳(ただのり)が広報活動に役立てよう「赤十字幻灯」を考案し、本社に寄贈。全国各地で、赤十字のはじまりや日赤の活動を描いたスライドが投影されました。

 暗闇に明るく映し出されるカラーのスライドは新鮮な驚きをもって人々に受け止められ、新たな支援の輪を広げることになりました。

 赤十字の活動を全国に知らしめた幻灯が果たした役割は大きく、皇后(昭憲皇太后)と皇太子(大正天皇)に石黒夫妻が2時間余りかけて実演し、「誠に面白くかつ有益であるから、ますますこの幻灯をもって社業発展に尽くすように」とのお言葉を賜りました。さらに、中国やイギリスでも投影され、好評を博しました。

 娯楽の少ない明治時代、臨場感ある語りと光で描く物語は、赤十字思想の普及に貢献し、支援者獲得につながったのです。

日赤の各事業の「はじめて物語」はWEBサイトでご覧いただけます。