新年のご挨拶(日本赤十字社社長 清家篤) 令和5年新春メッセージ

創設者の理念を大切に、
尊い活動の継続を


日本赤十字社社長 清家 篤

あけましておめでとうございます。

 2020年初頭のCOVID-19によるパンデミック到来から、日本赤十字社は総力を挙げてその対応に取り組んでまいりました。全国の赤十字病院、血液センター、社会福祉施設では、人々の生命や生活を守るために、職員たちが力を尽くしており、さらにこの間も繰り返し襲ってくる自然災害の被災者を救うため、ボランティアの方々も大変な貢献をされています。これらは赤十字の理念である「死と苦痛と闘い、尊厳を守る」という活動の実践に他なりません。そうした実践を縁の下で支える支部、本社の職員の働きも合わせて、深く敬意を表したいと思います。

 そうした活動には全国の皆さまから物心両面のご支援をお寄せいただいております。その一つ一つに第一線で働く職員やボランティアの方々はどれほど励まされたことでしょう。日赤を代表し心から御礼申し上げます。

 海外に目を転じますと昨年2月にはウクライナで深刻な人道危機が勃発しました。日赤も、ただちに海外救援金の募集を開始し、それらは国際赤十字を通じて、ウクライナ避難民への物資支援や医薬品の提供、そして離散家族の安否調査など、多岐にわたる活動に充てられています。もちろん海外の人道危機はウクライナにとどまらず、多くの国や地域で紛争や自然災害による飢餓や生活困窮に苦しむ人たちの支援に、日赤は今年も力を注いでまいります。

 言うまでもなくこうした内外における日赤の活動は、ご寄付やボランティア活動など、困っている人たちを助けたいという皆さまの利他的なお気持ちによって支えられています。それは税や社会保険のように法によって求められているものではなく、また雇用契約のような対価を介在したものでもありません。それらは単なる「資金」や「仕事」ではなく、困っている人を助けたいという皆さまの温かいお気持ちの結実したものです。だからこそそれは尊いのだと思います。

 昨年暮れの12月28日、日赤創設者である佐野常民の生誕200年を迎えましたが、佐野の大切にした「惻隠(そくいん)の情」という言葉は、まさに「困っている人たちに同情し、その人たちを助けたい」という皆さまのお気持ちを表すものでありましょう。創設者の理念を現在に実現すべく日赤は今年も活動を続けてまいります。あらためて今年の皆さまの御健勝、御多幸をお祈り申し上げますとともに、引き続き皆さまの温かいお気持ちのこもったご支援を日赤の活動に賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶といたします。