【献血まるわかり辞典】vol.9「献血バス」 「なるほど!」と思わずヒザを打つ“献血にまつわる豆知識”を紹介。 第9回は、動く採血室と呼ばれる「献血バス」を徹底取材!

ワクワクするほど創意工夫がいっぱい! 気遣い満載の“動く採血室”


 1961年9月に日赤の献血史上初となる運行を開始した移動採血車、通称「献血バス」。 第1号から進化を続け、バスをベースにした中型の他、近年はトラックの車体をベースに作られた大型・特大型もあり、トラックの荷台に採血室がまるごと載っているような構造になっています。

 献血バスの車内で注目すべきは、採血ベッド。左右どちらの腕からでも採血できるよう枕の位置を逆にでき、万が一、献血中に気分が悪くなったときは、すぐに頭の位置を心臓より下げられる、5分割可動のリクライニングベッドです。その他にも献血者への配慮を至る所に盛り込み、冷暖房の吹き出し口は献血者に適切に風が当たるように配置しています。

 車体には献血者が乗り降りしやすいように車高調整機能の付いたサスペンションや、乗り降りする際に車体が揺れにくくなるよう車高を固定する油圧ジャッキなども装備。また、車外の天幕が約30秒で2.5m歩道側に広がって、その下の空間を受付・休憩用のスペースとして活用できるようになっています。

 なお、献血バスは法的には診療所の扱いになるため、診療スペースとして運転席との間に扉が設けられており、このような設備・機能を有する献血バスは、救急車、消防車、警察車両と同じ「8ナンバー」を取得しています。

 現在、献血バスは全国で273台(2022年9月末時点)が活躍中。過去には、壁の一部が油圧で外側にせり出していく“車内拡幅タイプ”というレアな車体もありました。献血バスで献血する際には、車の内外をじっくり見てみてくださいね!