【献血まるわかり辞典】vol.7「保管温度」 「なるほど!」と思わずヒザを打つ“献血にまつわる豆知識”を紹介。 第7回のテーマは、成分によって違う血液の「保管温度」です。

血液の細胞は、超デリケート!
「血液製剤」は保管温度にハラハラ

血液中には生命維持に欠かせない大切な役割を担うさまざまな細胞があります。赤血球は全身に酸素を運ぶ、血小板は出血を止める、血漿(けっしょう)は栄養成分の運搬など・・・。

実はこれらの細胞は、種類によって寿命が異なり、人体から出て輸血用の血液製剤になると、それらの機能を維持するための最適な温度も変わるのです。以下は、血液製剤の種類別の最適温度と、その理由です。


【赤血球】さまざまな研究の末、溶血(赤血球細胞が破壊されること)せずに、最も活動を抑えられる2〜6℃が適していると判明。“冬眠“させるイメージで、赤血球の活動を抑えているのです。

【血小板】最も常温に近い20〜24℃で繊細に管理されています。他の成分と違い、これ以上低い温度で管理すると形態が変化してしまうからです。さらに、固まらないよう揺らし続ける“振とう”も必要です。血小板が「かさぶた」を作る成分の一つだと考えると、理由をイメージしやすいかもしれません。

【血漿】ー20℃以下で凍結保管されています。凍結して保管するのは、血漿中に含まれるたんぱく質の一つである血液凝固因子の活性を維持するためです。輸血に使用する際には、体温に近い37℃を保ちながら撹拌(かくはん)し、慎重に融解させます。


多くの試行錯誤と研究によってベストな状態で管理できるようになった輸血用の血液製剤。現在は、循環器(心臓や腎臓など)の負担を軽減するため、必要な成分だけを輸血する「成分輸血」が主流となりました。

また、有効期間を過ぎてしまったものは輸血には使えませんが、善意で集まった大切な血液ですので、血液製剤の品質確認のために行う試験検査や研究などに有効活用しています。