【献血まるわかり辞典】vol.4「血液バッグ」 「なるほど!」と思わずヒザを打つ“献血にまつわる豆知識”を紹介。 第4回のテーマは、数十年で大きく変貌を遂げた「血液バッグ」です。

血液保存の難問をクリア!
新素材で進化した
血液バッグのヒミツ

 血液は生きています。輸血は、血液という人間の生きた細胞を採取し、安全な状態で体内に送り込む行為です。かつて、採血された血液はガラス瓶に保管されていました。しかし、ガラス瓶は割れる、重たいなどの欠点があり、加えて血液の質に関わる次のような問題を抱えていました。

【問題1】血液は生きた細胞であるため酸素が必要だがガラス瓶は酸素を透過しない

【問題2】白血球や血小板がガラス壁に付着して数が減少してしまう。それを防ぐため、ガラス壁にシリコン塗布を施す必要がある

【問題3】中を減圧している瓶は血液が勢いよく注入され、一部の細胞が壊れる

【問題4】減圧無しの瓶は外気に触れやすい構造で細菌汚染の危険がある

 ガラス瓶が廃止になったのは1980年。そこに至るまでの血液バッグの開発は、決して楽な道のりではありませんでした。求めるプラスチック素材は、開発の難易度の割に生産量が少ないため採算が合わず、素材業者を探す段階から難航。幾多の苦難を乗り越え、100種以上の配合を試した結果、酸素を透過して血液を安全に保存できる素材が開発されました。さらに、実用化までには赤血球の生存率を繰り返し測定し、同時に保存液など薬液の調剤技術開発も進めました。血液バッグには、お一人お一人の善意の献血を大切に活用するためのこだわりが凝縮されているのです。
(※今回ご紹介したのは日赤で採用しているバッグの1つであるテルモ社製のバッグの特徴です)