赤十字名所紀行 「三上剛太郎の生家(展示館) と手縫いの旗(青森県支部)」


「手縫いの赤十字旗」
三上剛太郎の功績に見る赤十字の心

 青森県下北半島・佐井村には、戦場で「手縫いの赤十字旗」を掲げた医師として名を残す三上剛太郎の生家があります。日露戦争の真っただ中の1905年(明治38年)1月、満州で兵士の治療にあたる剛太郎らの仮包帯所がロシア・コサック騎兵に包囲されました。全滅の危機に瀕(ひん)し、剛太郎が白い三角巾と赤い毛布を縫い合わせ赤十字旗を作って掲げたところ、騎兵は攻撃をやめて立ち去り、ロシア兵1人を含む70余人の負傷兵の命が救われました。1963年スイス・ジュネーブで開催された「赤十字100周年記念国際博覧会」にて、この「手縫いの赤十字旗」が紹介され、世界中から惜しみない賞賛を浴びました。

戦場で作られた赤十字旗は現在も大切に保管(日赤青森県支部の玄関ホールに展示)されています。また、2019年に三上剛太郎生誕150年を迎えた際、佐井村赤十字奉仕団が、旧三上家住宅までの道案内の目印として設置されている「手縫いの赤十字旗」を模した小旗を一つ一つ手作りでリニューアル。佐井村には現在も剛太郎の“仁愛の精神”が受け継がれています。

三角巾2枚を縫い合わせ、赤い軍用毛布を縫い付けた「手縫いの赤十字旗」(日赤青森県支部にて展示)