WORLD NEWS「ハイチ地震における赤十字の支援活動」 多くの社会問題を抱えるハイチを再び襲った大地震

大統領が暗殺されるという政治的混乱の最中に大地震が発生。さらにハリケーンやCOVID-19の脅威もある現地の状況とは?

病床不足、屋外で治療を受ける患者も… 国際赤十字が「野外病院」を展開

被災地で多くの医療機関が壊滅するなか、治療が可能な病院では床にまで傷病者があふれた

8月14日の朝(現地時間)に中南米・ハイチ共和国でM7.2の大地震が発生し、死者2200人以上、負傷者1万2000人以上といった甚大な被害をもたらしました。さらにその3日後には強い熱帯低気圧が襲来。豪雨による洪水も起こり、余震の影響も含めて少なくとも13万棟の家屋が全半壊したことが報告されています。
 ハイチ赤十字社では発災直後より、さまざまな救援物資を配布してきました。
 しかしながら、大規模災害においては現地の支援団体も同様に被災者となります。地元の病院の多くも地震によって損壊し、患者の受け入れが可能な施設や病床はごくわずか。病院内に入ることすらできず、屋外で治療を受ける患者も少なくありません。さらにCOVID-19のワクチン接種率が人口の1%に達していないことも、大きな不安材料となっています。こうした状況を受けて国際赤十字ではフィンランド赤十字社を中心に、手術や入院機能を持つ病院ERU(野外病院)の展開を決定。医師・看護師・理学療法士などからなるチームも現地に到着し、国際赤十字による支援が本格化しています。

国際赤十字が届けた199トンの救援物資を、ハイチ赤十字社が配付した

11月まで続くハリケーンシーズン。避難生活を余儀なくされる人々に支援を

以前よりハイチでは政治的混乱や経済不安などの社会問題が山積みです。治安は悪化の一途をたどり、人道支援団体の職員すらも身代金目的の誘拐や略奪の脅威にさらされています。
 国連は大地震の発生後、影響力のある「ギャング」に対して支援活動の妨げになる暴力行為を停止するように要請。また国際赤十字も「私たちは中立・独立の人道支援団体であり、差別なく、すべての立場の被災者の生命と尊厳を守ります」とメッセージを発信し、支援活動を継続しました。現在では救援物資の輸送や職員・ボランティアの安全な移動が可能となりました。
 政情不安と治安の悪化、そこに起きた大地震。家を失った多くの人々は、屋根もない場所で避難生活を余儀なくされています。しかしハイチのハリケーンシーズンは11月まで続くため、自然災害におびえる日々はまだまだ終わりません。
 ハイチ赤十字社の代表は世界に向けて「私たちは赤十字の基本原則である人道の名のもと、 被災した人々と地域に必要な支援を届けていきます。皆さんの支援をどうぞよろしくお願いします」と呼びかけています。日本赤十字社ではハイチ地震の被災者への支援を受け付けています。

海外救援金、受付中

『2021年ハイチ地震』
受付:2021年11月30日(火)まで
詳細はこちら


『アフガニスタン人道危機』
アフガニスタン共和国は、年初来の大干ばつに加えて、8月まで国内各地で続いた戦闘により、複合的な人道危機(干ばつ、国内避難民、新型コロナ)の状況にあります。現地での赤十字の人道支援のため、救援金を募集いたします。

受付:2022年3月31日(木)まで
詳細はこちら