赤十字 名所紀行 vol.1 ニッポンの赤十字ゆかりの地を巡る

桜に映える、赤十字の発展に寄与した初代総長の銅像

春は満開の桜が美しい上野公園。JR上野駅から公園をまっすぐ進んだ場所にある動物園の入り口近くに、馬上の銅像が建っています。モデルは、日本赤十字社の前身である「博愛社」の初代総長、小松宮彰仁親王殿下(当時、東伏見宮嘉彰親王殿下。明治15年に改名)です。小松宮彰仁親王殿下は明治維新後の数々の内乱鎮圧に手腕を発揮、西南戦争の負傷者救護活動を行った博愛社が改称して日本赤十字社となったのちに、日本赤十字社総裁も務め、赤十字活動の奨励・発展に貢献しました。銅像建立は、初代社長の佐野常民によって赤十字社設立25周年記念として提案され、日本における西洋彫刻の先駆者・大熊氏廣によって制作されました。  像の近くには、ソメイヨシノよりひと足早く見頃となる桜の原木があります。一重咲きで小ぶりのかわいらしいこの桜は、この銅像の近くで発見されたことにちなみ「コマツオトメ」と名付けられました。

小松宮彰仁親王銅像(東京・上野)
躍動感あふれるりりしい軍装姿に、足を止める花見客も多い。明治45年3月18日に除幕式挙行