世界屈指のリゾート地・バハマにハリケーン上陸 8月下旬に発生した熱帯低気圧が威力を増し、 巨大ハリケーンとなってカリブ海に浮かぶバハマを直撃、壊滅的被害をもたらしました。

迫るハリケーンに感じた命の危機 生後間もない幼い息子を抱えて避難

ハリケーン上陸時は、最大級となる「カテゴリー5」の勢力に

9月1日にカリブ海の島国バハマを襲ったハリケーン「ドリアン」は、現地に甚大な被害をもたらしました。各地のインフラが寸断し、この災害によっておよそ7万3000人の人々が激しい暴風雨にさらされ、行方不明者の数は一時500人以上に上るとも言われていました。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、8000人を支援対象とした1730万スイスフランの緊急アピールを発表。日赤も400万円の資金援助を行いました。

約700もの島々からなるバハマ国内で、特に壊滅的な被害を受けた地域はアバコ諸島やグランドバハマ島。これらの地域住民の99%が緊急支援が必要な状態でした。アバコ諸島で暮らしていたロヴェンスキーさんとクリスティーナさん夫婦は生後3週間の息子キーンくんとともにハリケーンに遭遇しました。自宅にハリケーンが近づくと、夫婦は幼い息子を腕の中に抱えて近隣の小学校へと避難。その後、ボートで島を離れた一家は親戚を頼って首都ナッソーに渡り、赤十字から乳幼児セットなどの支援を受けました。

赤十字ボランティアたちが水の配給などで各地を奔走

ボートへ水を積み込む作業にショッピングカートを使うIFRCのスタッフ

ライフラインが寸断された被災地の中には、暴風雨の影響で給水施設(水源)が海水や化学物質などで汚染されてしまった地域も。そこで赤十字ボランティアや現地の赤十字スタッフたちは、各地でペットボトルによる飲料水の配給を実施。グランドバハマ島では氷の配布も行いました。氷は飲料水としてだけでなく、食品の腐敗を防ぐという点でも役立ちます。

また、ハリケーン襲来後、何千人もの人々が住み慣れた土地を離れ、避難所やほかの地域にいる家族のもとに身を寄せているのが実情です。住宅の損壊により住む場所を失った被災者も多く、中長期の住居が課題となっています。赤十字は今後もハリケーン被災者への支援を続けていきます。