東日本大震災発災から10年 ~赤十字ボランティアの活動~

2011年3月に発生した東日本大震災から、10年が経過します。
赤十字ボランティアは、発災直後から被災者の方を支援する活動に取り組んできました。

避難生活の方々に寄り添う ~喜多方市赤十字奉仕団の活動~

大熊町民の方々は、東日本大震災と原発事故により100キロ離れた会津若松市の長原仮設住宅で避難生活を余儀なくされました。喜多方市赤十字奉仕団は、突然の避難生活でとまどっていた大熊町民の方々に寄り添う活動を8年間続けてきました。
 2012年から、年に約10回のペースで長原仮設住宅を訪問し、「にこにこお楽しみ会」を開催しました。復興住宅ができ仮設住宅からほとんどの方が転居するまでの8年間、64回におよびます。

「にこにこお楽しみ会」の内容は、毎回様々な趣向をこらし、また、団員の資格や得意分野を活かして、フラワーアレンジメント、起き上がり小法師やクリスマスリースの作成、昔遊びなどを行いました。そして、毎回行っていたのが、喜多方市赤十字奉仕団佐原委員長自らが演奏を奏で、参加者全員による歌唱です。誰もが歌える童謡を歌い、身体を動かし心をほぐして楽しく過ごす時間を届け続けました。

クリスマスリース作成
童謡を歌っている様子

また、山口県岩国市からチンドン隊の皆さん、長野県飯田市赤十字奉仕団の紙芝居、北海道芽室の尾藤農園からとうきびやジャガイモの寄付など全国からも支援がありました。

参加された方々の感想
・毎回訪問される度に趣向をこらしたメニュー。一気に不安がふっとび、笑い、楽しさの毎回でした。入居者同士の絆も深まりました。
・佐原委員長をはじめ団員の皆さんで毎回のように歌、語り部等、故郷を歌う時は大熊を思い出しては涙がこぼれました。やさしく又、私達が笑顔になれるようにと皆さんの温かいおもてなしで、度重なるごとに私達にも力が湧いてくるようになりました。
・仮設に一人でいた方は誰と話せばいいのか、淋しく日々を過ごしていたと思います。しかし、この赤十字のイベントには表情も明るく参加され、笑いも絶えませんでした。人の気持ちをこれほどまで動かすことは素晴らしいことだと感動しました。
・皆さんはいつも私達に寄り添ってくださいました。8年間に及ぶ活動は並々ならぬ努力と体力、気力の賜物で、私達に生きる勇気と前を向く力を与えてくれました。特に皆さんと歌ったこと、声を出せたことを忘れません。継続することの大事さは、前を向く住民に届いています。

仮設住宅のコミュニティーのつながりを深める ~北海道ノルディックウォーキング赤十字奉仕団、岩手県ノルディックウォーキング赤十字奉仕団の活動~

北海道ノルディックウォーキング赤十字奉仕団と岩手県ノルディックウォーキング赤十字奉仕団は、仮設住宅での生活を余儀なくされていた6,000人以上の被災者を対象に、2011年4月からノルディックウォーキングを一緒に行う活動を続けてきました。
仮設住宅での暮らしでは、外出が減って運動不足やエコノミー症候群を引き起こす危険があります。また、周囲に暮らすのは知らない人ばかりのため、部屋にひきこもりがちになり孤立してしまうこともあります。
そこで、こころと身体の健康支援として始まったのがノルディックウォーキング赤十字奉仕団による活動です。ノルディックウォーキングとは2本のポールで体を前に押し出しながら歩く運動です。歩きながら会話することもできるため、仮設住宅で新しく出会った方々の交流の場、ひいてはコミュニティづくりの機会にもなり、この活動は約450回も実施されました。

活動の様子はこちらから>【日本赤十字社 YouTube】仮設住宅でノルディックウォーキング

ノルディックウォーキング

参加された方々の感想
・仮設の生活は慣れるまで大変でした。周囲は知らない人ばかりで、閉じこもりがちになり、主人とケンカばかりの毎日でした。そんな時ノルディックウォーキングに参加し、ご近所の皆さんとも知り合いになれたし、自分でも明るくなったな、よく笑うようになったなと思います。ちゃんとした歩き方を教えてもらったので、ささっと歩けるようにもなりました。
・仮設住宅の暮らしは、ようやく慣れましたけど、最初は大変でした。ノルディックウォーキングはみんなとお話ができるし、自分の体のために良いなと思って参加しました。「あっ、今日はノルディックウォーキングの日だ!行かなきゃ!」ということが励みになっています。
・東日本大震災からしばらく経ったころ、バスの乗車口の階段を上れないほど足が弱っていたことが参加のきっかけです。最初はできないと思っていたけど、みんなに励まされ、助けられて続けることができました。「よくここまで歩けるようになったな」と自信につながっています。

距離を超え、時を超えた繋がり ~徳島県地域赤十字奉仕団の活動~

日赤徳島県支部は、2011年5月から2013年6月まで、奉仕団と事務局スタッフの延べ60人が宮城県気仙沼市や石巻市などの避難所及び仮設住宅を訪ね、計2,100食以上の炊き出しや阿波踊りの披露をしました。

そして、10年が経つ今も決して忘れることなく、被災地に心を寄せ続けています。
「あの時会った皆さんがどうしているのか、今も案じています」「新しい生活が心豊かに送れていることを願っています」「これからも被災地域の皆様と心の交流を図っていきます」と奉仕団の皆さんが語ってくれました。
 距離を超え、時を超え、心はこれからも繋がっていきます。

徳島県地域赤十字奉仕団のメッセージ動画はこちらから
【日本赤十字社宮城県支部YouTube】東日本大震災10年 つながりを永遠に~日本赤十字社が結んだ絆~ vol.1

徳島・山形県支部赤十字奉仕団の合同炊き出し(宮城県石巻市)
徳島県支部の方々

参加された方々の感想
・被災地で活動をさせてもらったことは私たちにとって大きな体験でした。あの後、訓練の一つとっても真剣にやるようになりました。
・被災地でおにぎりを数多く早く作るために硬くにぎって配布した際、被災者から「それでは食べる側は、わびしい」とご意見をいただきました。以降、支援される側の気持ちに寄り添うよう意識し、地元で訓練等を行うたびに周囲にも「食べる人の気持ちを考えて」と声を掛け、おにぎりを優しく握ることに努めています。
・震災のこと、大変な思いをした皆さんのこと、10年がたつ今も決して忘れてはいません。
・「遠いところから来てくれてありがとう」と感謝され、むしろ私たちが元気をもらいました。
・阿波牛の牛丼を「うめー」と喜んでくれた顔が忘れられません。

震災から10年が経ちますが、赤十字ボランティアは、これからも被災者の方を支援する活動を継続していきます。