シリーズ「モデル奉仕団」 滋賀県近江八幡市赤十字奉仕団

「モデル奉仕団」とは、社会情勢の変化に即応して、より一層赤十字奉仕団活動の充実強化が期待されること受けて、昭和58年に実施要領を定めたものです。以来多くの奉仕団がモデル奉仕団として指定を受け、指定期間中、重点的に推進しようとする活動を行ってきました。例えば、令和2年度は、15支部52奉仕団が指定を受け、活動を行っていました。
その中からいくつかをご紹介します。

滋賀県近江八幡市赤十字奉仕団

画像 近江八幡市赤十字奉仕団のメンバー

滋賀県近江八幡市赤十字奉仕団は、現在団員が615人(男性100名、女性515名)の奉仕団で、モデル奉仕団としては、令和2年から活動しています。
このモデル奉仕団に応募しようと思ったきっかけや背景は、平成9年度に1,230人いた団員が23年間で半分までになったこと、また高齢化が進んでいることや地域ごとの退団が多かったことなど、奉仕団の活動に危機感を感じたことから、団員増強の必要性を感じたことが上げられます。

 この危機感から、目標を「団員20人増加」とし、具体的には以下の活動に取り組みました。
① コロナでマスク入手が困難だった時期、団員手作りのマスクを約1,000枚配布しました。このことは、地元ケーブルテレビや新聞にも取り上げられました。
② ミニ広報紙を年間2回発行し、市の広報が配布される際、市内全戸(約24,000世帯)に同時に配布。団員募集を呼びかけました。

画像 東日本大震災における日本赤十字社の活動を紹介した展示

③ 防災意識向上のため、救急法&防災講習会や男性団員交流研修会を開催。また、東日本大震災から10年目の節目の年にあたることから震災当時の写真パネル展を近江八幡市総合福祉センターで開催したほか、防災講演会も開催。この市民に防災・減災を訴えた取り組みは、NHKやケーブルテレビ、新聞でも報道され、赤十字についての周知と啓発につながりました。
④ 市の新型コロナワクチン接種対策室に申し出て、ワクチン接種会場での支援活動を行いました。(2か月間で延べ192名の団員が活動)、男性部会からも延べ30名が支援を行った。行政やワクチン接種に訪れた方々に広く赤十字奉仕団の存在を知ってもらうきっかけとなった。

 工夫や苦労については、以下の点が上げられています。
<工夫が実を結んだこと>
① メディアに取り上げていただくことで、普段接点がない方々にも赤十字のこと、また赤十字奉仕団の活動について周知の機会となりました。
② 東日本大震災の展示では、本社から提供を受けた写真や、滋賀県支部の出動記録写真をもとに、赤十字の活動をふりかえり、防災の大切さや風化防止を呼びかけました。
③ 近江八幡市赤十字奉仕団が長く続けている「一声ふれあい運動」の一環として、ひとり暮らしの高齢者へ手作りマスクを配布の際、団員のいない地域では、民生委員児童委員協議会に協力をあおぎ、民生委員にご協力いただきました。それにより、奉仕団活動に理解をいただき、民生委員の方々の入団へとつながりました。

画像 全戸配布のチラシ。裏面には活動やアピールポイントが写真入りで紹介されています

<苦労した点>
① コロナによる行動制限で、毎月の定例役員会が中止となり、団員増強や活動等について十分に協議ができず、分団により地域差もあることから、活動は各団まかせになることがありました。
② 平時の活動が制限されるなかで「コロナ禍でもできる、コロナ禍だからこそできる」活動を模索する必要がありました。

活動の成果としては、令和2年度当初の団員数が582名であったところ、令和3年度当初には615名となりました。目標として掲げた20名増加を上回る33名の増加となったことから、今後の奉仕団活動の活性化につながることが期待できます。特に、団員ひとりひとりの声がけにより、男性の団員25名の入団につながったことは、団員募集の方法を工夫した結果として学んだことのひとつです。

一方、活動を通して見えてきた課題もあります。新興住宅地での団員増強や、若い世代(仕事、子育て、介護など)の入団を促進することが難しいことや、町や集落など、地域ぐるみでの団員の退団を防止しなければならないこと。そして、魅力ある活動についてアピールし、広く理解を得るためには、活動を「見える化」することが重要だと感じています。

画像 ワクチン接種会場での支援活動

以下は、団員からのメッセージです。
「今回取り組んだことから見えてきた課題をふまえて、活動の『見える化』、地域のニーズにあった頼られる赤十字奉仕団として活動につなげていきたいです」
「団員増強は一部地域だけではなく、全国的な課題です。地域性もあり、県支部単位での取り組み方も様々とは思いますが、奉仕団員や職員といった赤十字に関わる人々の思いをひとつにして、団員の増強に向けて取り組むことが重要だと思います」

 滋賀県近江八幡市赤十字奉仕団の取組みはまだまだ続きます。