ありがとう!! 非血縁者間さい帯血移植 累計症例 2万例突破!

お母さんと赤ちゃんを結ぶへその緒と胎盤の血液「さい帯血」は、白血病などの患者さんの移植治療に使われます。1997年に最初の非血縁者間さい帯血移植が始まって以降、2021年3月17日に累計移植症例数が2万例を超えました【図1】。

【図1】非血縁者間さい帯血移植数の推移(年次)

図1

改めて、公的さい帯血バンクにさい帯血を提供してくださった皆様をはじめ、日本のさい帯血移植を含む造血幹細胞移植の発展に尽力していただいた関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

さい帯血は、採取の際にドナーへの負担が全くなく、凍結保存していることから迅速かつ安定して医療機関に供給できる利点があります。また、さい帯血移植はここ数年、非血縁者間造血幹細胞移植の中でも全体の移植数の半数を超える重要な選択肢となりました。今後も重要な選択肢であり続けるために、日本赤十字社はさい帯血バンクにおける採取・調製・保存の技術向上と、出産時のさい帯血提供推進に努めているところです。

さい帯血の提供が可能な産院(公的さい帯血バンクと提携している採取施設)は全国に97施設あり、提供いただいたさい帯血は、全国6か所の公的さい帯血バンク【図2】において、受入れ~調製~保存を行い、患者さんに適合するさい帯血が見つかった際には移植医療施設に供給いたします。

【図2】公的さい帯血バンク

図2

公的さい帯血バンク及び造血幹細胞提供支援機関(日本赤十字社)は、一人でも多くの患者さんにいのちをつなぐチャンスを提供するとともに、安心して非血縁者間造血幹細胞移植を受けていただけるよう、これからも連携を密にし、事業を推進して参ります。

さい帯血移植や公的さい帯血バンクについては、残念ながらあまり知られていない状況ですので、広く周知いただけますと幸いです。

【造血幹細胞移植情報サービス(ポータルサイト)】

【本件に関する報道関係者のお問い合わせ先】
日本赤十字社 血液事業本部 経営企画課 広報係
メールアドレス:ketsueki-koho@jrc.or.jp

よくある質問

Q さい帯血とは何ですか?

A お母さんと赤ちゃんを結ぶへその緒を「さい帯」と言い、そのさい帯と胎盤の中に含まれる血液を「さい帯血」と言います。さい帯血は赤ちゃんが産まれると、へその緒や胎盤と一緒に処分するのが通常の流れですが、このさい帯血には血液を造る細胞(造血幹細胞)がたくさん含まれており、白血病などの病気に苦しむ患者さんの治療に使うことができます。

Q なぜさい帯血が必要なのですか?

A さい帯血の中には、赤血球、白血球、血小板などを造りだす造血幹細胞がたくさん含まれています。造血幹細胞は人工的に造ることができないので、白血病などで正常に血液を造れなくなった患者さんは、健康な人から造血幹細胞を分けてもらう必要があります。
そういった患者さんにさい帯血を移植することで、血液を造る力を回復させることができます。

Q 公的さい帯血バンクって何ですか?

A 妊婦さんから提供されたさい帯血を、患者さん(第三者)の移植に使えるようにするための調製・保存・検査と、病院への引き渡しを行っています。
さい帯血移植には、患者さんの体重やHLA型(白血球など全身の細胞にある型)に適したさい帯血を使います。そのためには、たくさんのさい帯血を保存しておく必要があります。

Q さい帯血移植は、造血幹細胞移植とは違うのですか?

A 造血幹細胞移植には、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植の3種類の移植方法があり、さい帯血移植も造血幹細胞移植の中に含まれます。

Q さい帯血はどんな病気の治療に使われるのですか?

A 白血病や再生不良性貧血など重い血液の病気などの治療に用いられています。

Q さい帯血はどこの産科施設でも提供できますか?

A さい帯血移植を受ける患者さんの安全を確保するには、さい帯血の品質を確保する必要があるため、公的さい帯血バンクと提携している産科施設でのみ提供を受け付けています。
また、提供できる産科施設でも、出産時刻で採取準備が整わない等という理由で採取を行わない場合もあります。

Q さい帯血の提供って痛いの?出産に何か影響はありますか?

A 出産後、赤ちゃんとへその緒(さい帯)を切り離してから、さい帯と胎盤の中に残ったさい帯血を集めるので、赤ちゃんとお母さんに痛みは全くなく、出産の経過にも影響はありません。
さい帯血の採取は、お母さんと赤ちゃんの安全と健康を第一に考えて行われているため、早産の場合などは採取を取りやめることもあります。

Q さい帯血はお母さんの血液ですか?

A さい帯血は、産まれてくる赤ちゃんの血液です。