大規模災害への対策 7割が「できていない」と回答 ~8割超は『忘れてはならない災害』 と認識も、継承が課題に~
東日本大震災から15年、国民の意識・行動について日本赤十字社が調査
日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、3月11日に東日本大震災の発災から15年の節目を迎えることにあわせて、震災の記憶や継承、防災行動などに関する意識や行動について、全国の10~60代以上の男女、合計1200人を対象に調査を実施しましたので、お知らせいたします(調査は2026年1月に実施)。
15年前に発生した東日本大震災は、国内観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し、岩手・宮城・福島の東北3県を中心として、各地に被害をもたらしました。災害の記憶に関する継承をめぐっては、発災から30年が経つと難しくなる「30年限界説」があるともいわれる中で、その折り返し地点に差し掛かることになりました。
日赤は、東日本大震災を含む過去の災害において、医療支援チーム(救護班など)を被災地に派遣し、救護所や避難所などでの診療、被災された方のこころのケア、救援物資の配布、現場のニーズに合わせた様々な支援活動に取り組んでまいりました。いつ、どこで自然災害に遭うか分からない中で、日赤は過去の経験を踏まえながら、一人一人が日頃から災害に備える意識の重要性を伝え続けています。
国内では昨年、南海トラフ地震の発生確率や、首都直下地震の被害想定が政府により見直される動きがありました。これらの地震は、遠くない将来に発生する可能性があること、大きな被害やさまざまな影響が社会に生じることなどが懸念されています。そうした中、防災意識を醸成し、それぞれが『自分ごと化』して防災対策などに取り組む重要性について、政府からも呼びかけられています。
<調査結果のハイライト>
- 東日本大震災が与えた人生への影響について尋ねると、「影響を与えた」と回答したのは全体の5%(750人)。反対に、「影響を与えていない」と回答したのは37.5%(450人)だった【図1】。
上記の750人に対して具体的な影響を尋ねると、「防災意識を持つことの大切さを実感した」が53.6%(402人)で最多。順に、「いのちの大切さや尊さを実感した」が50.3%(377人)、「原発やエネルギー施策について考えるようになった」が38.7%(290人)などと続いた【図2】 - 東日本大震災に関する現在の記憶について尋ねると、「部分的に覚えている」と回答したのが3%(483人)で最多。以下順に、「鮮明に覚えている」が28.1%(337人)、「あまり覚えていない」が16.8%(201人)、「まったく覚えていない」が14.9%(179人)という結果であった【図3】。
- 東日本大震災は、「防災関連の取り組みや意識を高める上で、忘れてはならない災害だと思うか」どうかについて尋ねると、「思う」と回答したのは全体の3%(963人)に上った【図4】。
- 東日本大震災の復興状況については、「おおむね完了している」が7%(596人)で最多。以下順に、「あまり進んでいない」が39.4%(473人)、「全く進んでいない」が7.5%(90人)、「既に完了している」が3.4%(41人)だった【図5】
*参考:被災3県(岩手、宮城、福島)と主要都市(東京、愛知、大阪、福岡)の計500人を対象として、2020年12月に発災から10年を前に実施した調査では、「復興は未だに途上である」が66.2%(331人)で最多。以下順に、「復興は概ね済んでいる」が22.2%(111人)、「復興は既に完了している」が7.4%(37人)、「復興はまったく進んでいない」が4.2%(21人)だった。 - 東日本大震災の教訓が現在の災害対応に継承されているかどうかについて、「継承されている」と考える人は9%(863人)だった。反対に、「継承されていない」と考える人は28.1%(337人)と、4人に1人以上が回答した【図6】。継承されていないと考える人の理由は、「災害が起きるたびに似たような問題提起がされるから」が35.0%(118人)で最多。順に、「メディアで扱われる機会が減ったから」が31.5%(106人)、「日常生活に戻って振り返る機会が減ったから」が28.2%(95人)などと続いた【図7】。
- 「東日本大震災と同程度、またはそれを超えるような地震や災害が再び発生する」と思う人は、全体で1%(1009人)。反対に、思わない人は15.9%(191人)だった【図8】。また、上記のような地震や災害が30年以内に起きる確率のイメージについて尋ねると、「60%未満」と回答したのは全体で52.7%(632人)。反対に、「60%以上」と回答したのは47.3%(568人)だった【図9】。
- 東日本大震災と同程度の地震や災害が仮に起きた場合の、自身の対策や備えについて尋ねると、「対策できている」などと回答したのは全体で20.5%(246人)だった。これに対し、「対策できていない」と回答したのは69.2%(830人)、「分からない」と回答したのは10.3%(124人)だった【図10】。










まとめ
今回の調査結果では、発災から15年を迎える東日本大震災について、全体の約6割がそれぞれの人生に影響を与えたと考えていることが分かりました。さらに、防災への意識や取り組みを高めていく上で、忘れてはならない災害だと考えている方が8割超に上ることも判明しました。被害の大きさにより、震災が人々の胸に深く刻まれていることがうかがえましたが、当時の教訓が現在の災害対応に継承されているかに関しては、およそ4人に1人が継承されていないと答える現状も明らかになり、改めて当時の記憶を継承し、対策に生かしていくことの難しさが読み取れる結果となりました。
また、南海トラフ地震に関しては昨年、30年以内の発生確率が「60~90%程度以上」「20~50%」という2つの想定が政府から示された中、東日本大震災と同程度以上の地震や災害が再び発生すると考える人は、全体で8割を超え、それが30年以内に発生する確率のイメージについては、60%を境にほぼ半数に分かれました。
一方で、東日本大震災と同程度以上の地震等を想定した場合、約7割は自身の対策が不足していると考えていることも分かりました。重要なのは「いつ起きてもおかしくない」という意識をもとに、日頃の備えに取り組んでおくことです。もちろん、想定を超えるような災害に対して、個々が十分な備えを講じることには難しい面もあります。だからこそ、「自身に足りていないことは何か」「周りと助け合うべきことは何か」について考え、行動することが、防災・減災において重要な自助・共助に取り組む第一歩になると考えています。
日赤では、災害発生時の医療救護活動はもとより、平時から防災に関する教育や救急法などの講習普及、地域で活動する赤十字ボランティアの育成に取り組んでいます。今回の調査結果を踏まえ、過去に発生した災害の経験や教訓を未来へ継承していくために、改めて平時からの啓発を通して国民の意識向上に貢献していきつつ、「いのちと健康、尊厳を守る」ための活動を続けてまいります。
<調査概要>
調査名 東日本大震災15年に関する意識調査(2026年)
調査対象 日本の男女1200人
※10~60代以上の男女各100人
調査方法 インターネット調査
調査機関 楽天インサイト株式会社(調査委託)
調査期間 2026年1月
※その他詳細なデータについては、日本赤十字社広報室にお問い合わせください。
※本調査を引用する場合は「2026年日本赤十字社調べ」もしくは「日本赤十字社『東日本大震災15年に関する意識調査(2026年)』」と記載ください。
【東日本大震災・日赤の主な活動】
■医療救護班の派遣
期 間: 3月11日から9月まで(約6ヵ月間)
派遣総数:935班延べ6667人
診療人数:延べ75,892人以上
■こころのケア活動
期 間:3月11日から9月まで(約6ヵ月間)
派遣総数:延べ1014人
■救援物資の配布
毛 布:約148,000枚
緊急セット:約38,000セット
安眠セット:約15,000セット
■ボランティア
被災された方々の生活支援や避難所でのさまざまなニーズに対応するため、全国から赤十字奉仕団や防災ボランティアが駆けつけた。
その数、3月11日から翌年3月までで延べ179,517人。
■海外救援金の受付
海外112ヵ国から1,002億1,438万0,023円を受け付けた。
【防災・減災に関する日赤の取り組み】
日赤では、数々の災害で活動してきた教訓を踏まえ、人々の防災に関する知識、意識、技術を高め、また、地域コミュニティ形成の一助となることを目的に、「赤十字防災セミナー」を全国で開催しています。
「楽しく分かりやすい防災教育」のテーマのもと、小さな子どもから大人まで防災・減災について『自分ごと化』し、学んだ知識を行動に移すことができるよう、参加者同士の会話を大切にするカリキュラムとしています。
近い将来に発生する可能性が高いと言われている首都直下地震、南海トラフ地震などの大規模災害に備えるために、ぜひご受講ください。
赤十字防災セミナー(災害エスノグラフィー)
赤十字防災セミナー(災害への備え・講義)
本件に関するお問合せ先
日本赤十字社 広報室(メディアの方へ): https://www.jrc.or.jp/media/