ラオス:天空の村に暖かい毛布を~株式会社オンワードホールディングスの毛布を4,000枚寄贈~

画像 一人ひとりにお声かけしながら毛布を寄贈する株式会社オンワードホールディングスの西森執行役員©日本赤十字社

株式会社オンワードホールディングス(以下、「オンワード」)は、同社製の衣料品をお客様から回収し、その衣料品をリサイクルして毛布等を生産し、世界各地の人びとに届ける「オンワード・グリーン・キャンペーン」を実施しています。

2009年の開始から寄贈した毛布は、合計35,000枚を超えます。日本赤十字社(以下、「日赤」)は、2011年からオンワードとパートナーシップを組んでこの取り組みに協力しており、新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりの再開となった今年は、ラオス人民民主共和国(以下「ラオス」)の赤十字社を通じて、合計4,000枚の毛布を寄贈しました。

貧困と災害に直面する山岳民族

ラオスはインドシナ半島の中央に位置する内陸国で、周囲を中国やベトナム、タイ等に囲まれています。国土の80%以上が山岳地帯で、標高1,000mを超える高地に、モン族、アカ族、カモ族といったさまざまな山岳民族の村が点在します。

画像 山並みをいくつも超えた先に人々の住む村がある©日本赤十字社

都市から隔絶された山間部で暮らす人びとは、何世代にもわたって、山の斜面を利用した伝統的な稲作や焼き畑農業で生計を立てて来ました。ところが近年、気候変動の影響もあって相次ぐ自然災害に見舞われるようになり、貧困と食料不足に直面しています。2023年8月に北部を襲った豪雨災害では、多くの住居が流され、収穫間近の野菜や果物、そして耕作地が流されてしまいました。
年間を通じて温暖なイメージが強いラオスですが、北部山岳地帯では12月から2月にかけては気温が10度近くまで下がることもあります。村の医療インフラは十分でなく、特に子供たちや高齢者などの健康悪化が大きな問題となっています。

村人たちに笑顔を届けたい

こうした中、オンワードの 西森浩文 サステナブル経営推進室執行役員は、11月中旬に日赤職員等と共にラオス北部のホワイサン村に向かいました。最寄りの町から未舗装の山道をおよそ2時間半。車が横転するかと思われる悪路を進むと、やがて雲の上に続く尾根の稜線が現れます。その先に点在する集落は、正に「天空の村」と呼ぶにふさわしい場所でした。

美しい景色の一方で、この村も貧困に直面しています。
寄贈式では、オンワードとラオス赤十字社から、日本の人びとからの暖かい気持ちがこもった毛布であることが説明され、早速に30世帯の家族に配布しました。

画像 毛布の寄贈式に集まった山岳民族の子供たち©日本赤十字社

ケオさんも毛布を受け取った一人です。

画像 毛布を受け取ったケオさん(左)©日本赤十字社

「私は子供と3人の孫たちと暮らしています。毛布のおかげで、これからは寒い思いをせず家族みんなで眠ることが出来ます。ありがとうございます」と笑顔を向けてくれました。
オンワードの毛布は大きめのサイズのため、寝具としてのみならず、床にカーペットとして敷きつめたり、乳幼児の身体をくるんだり、あるいは外出時にガウンのように羽織るなど、さまざまな形で大切に用いられます。

毛布を通じて、学校での学びを

毛布の寄贈式は、ナーホワン中学校とアノー中学校という2つの学校でも行われました。いずれも山岳民族の子どもたちが多く通っています。両校で、特に経済的に貧しい世帯の生徒たちあわせて127人に毛布を手渡しました。
これらの学校には「寄宿舎」と呼ばれる施設があります。村はいくつもの尾根や谷筋に点在し、生徒たちが毎日通学するには距離があります。そこで、学校の敷地の一部を無償で提供し、そのスペースに保護者が子供の寝泊まりする建物を用意する仕組みです。生徒の一人が、その「寄宿舎」に案内してくれました。

画像 寄宿生活を続けながら、学校で学ぶ姉弟 ©日本赤十字社

それは、竹と小枝、ビニールシート等を組み合わせて作られた簡素な小屋であり、中には電気も水道もありません。地面は湿っており、隙間風も害虫も入って来ます。こうした厳しい生活環境にありますが、姉弟は助け合って寄宿生活を送り、学校での学びを続けています。今、配られたばかりの2枚の毛布を嬉しそうに見せてくれました。
アノー中学校のバウミー校長は「毛布の支援は、生徒たちが学びを続けるうえで必要な支援です。ニーズを満たして下さったオンワードさんに感謝します」と述べていました。

日本とラオスの人びとをつなぐ

ラオス赤十字社は、引き続き貧困や災害に苦しむ村々を周り、寒さが本格化する前に4,000枚の毛布の配付を終えることとしています。毛布の寄贈は、「オンワード・グリーン・キャンペーン」のコンセプトに賛同し、衣料品を持参して下さった日本の方がたのご協力によって実現したものです。配布に立ち会った西森執行委員は、「ラオスに来て、人々の貧富の差を目の当たりにしました。支援を必要とする方々に少しでもお役に立てたとすれば嬉しく思います。しかし、現地にお届けしただけで終わりにするのではなく、日本の方がたにラオスの状況を知って頂き、活動への参加の輪を広げ、次につなげたい。それが、企業の社会的責任として出来ることだと思っています」と語ります。

日本赤十字社は、今後もオンワードと連携して、日本の皆さまと支援を必要とする人びとの思いをつなぐ支援を継続していきます。

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