6月14 日は世界献血者デー ~血液事業における国際協力~

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 本日6月14日はWHO(世界保健機構、以下WHO)によって「世界献血者デー」と定められており、安全な血液・血液製剤の必要性を啓発し、献血者の自発的かつ無償の献血に感謝する日となっています。今年のテーマは「Give blood, give plasma, share life, share often(血液をあげよう、血漿*をあげよう、いのちを分かち合おう、何度も分かち合おう)」です。(WHOホームページより)

 多くの患者さんにとって、安心して使用できる血液・血液製剤は必要不可欠であり、保健医療の品質維持に欠かせないものです。現代においても、血液は人工的にはつくることができず、献血者の皆様のご協力なくしては救えない患者さんのいのちがあります。

 今号では、日本赤十字社(以下、日赤)の事業の一つである、血液事業(献血)に日頃からご協力いただいている献血者の皆様への感謝の気持ちを込めつつ、普段あまり知られていない、安全な血液製剤をお届けするための赤十字の取り組みの一つである、血液事業における国際協力の様子をご紹介します。

 *血液と抗凝固剤を試験管に入れしばらく放置すると2つの層に分かれますが、そのうちの上層に浮かんでくる液体が血漿です。栄養分を各組織に運んだり、組織呼吸の結果できた炭酸ガスや老廃物を排出したりする働きなどがあります。詳しくは、日赤ホームページをご覧ください。

アジア赤十字・赤新月血液事業フォーラムの開催決定

 安全な血液の確保やエイズ、肝炎、その他輸血感染症の克服という、アジア各国の血液事業における共通の課題に対して、アジア地域内における協力体制を一層強化し、各国の血液事業の着実な発展に寄与することを目的として、日赤とタイ赤十字社(以下、タイ赤)は、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)と国際輸血学会の後援を得て、1995年から3年に1回を原則として、タイ及び日本でシンポジウムを開催してきました。2017年10月にも「安全な血液の安定供給」をテーマに第8回シンポジウムをタイで開催しました。

画像 第8回シンポジウムの様子 ©JRCS

 このシンポジウムは、特に技術的側面に焦点をあてながら、血液事業に関わる各国の代表者が情報の交換を通して、各国の経験を分かち合う機会となっています。2014年には、シンポジウムがアジア地域の輸血医療や技術、特に教育的側面で貢献したと認められ、国際輸血学会から日赤とタイ赤に対して国際輸血学会賞が贈られました。

画像 近衞名誉社長も参加した、第7回シンポジウムの様子 ©JRCS

 第8回をもってシンポジウムは終了しましたが、参加者からの継続を希望する声を受けて、新しいシリーズとして「アジア赤十字・赤新月血液事業フォーラム」と名を改めて開催することとなりましたが、第1回となるはずであった2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響で事実上の中止となりました。

 今般、WHOから発表された新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言の終了を鑑み、日赤では、2023年12月にタイ、バンコクでの開催に向けて、連盟、タイ赤等との連携のもと、準備を取り進めています。

 現在、アジア地域を中心に各姉妹社からの参加申し込みを受け付けており、約20の国と地域から血液事業の代表者が集う見込みです。

画像 日本の血液事業の技術や知識を学ぶために見学に来た各国の研修生たち ©JRCS

 日赤では同シンポジウム以外にも、アジア・大洋州地域から血液事業研修生を受け入れており、2019年までに22か国・地域から439名に対して研修を実施してきました。コロナ禍以降、受け入れは中止していましたが、次年度の再開に向けて検討を進めているところです。日本だけでなく、世界のどこででも、安全な血液製剤を提供できるよう、このような国際協力を通じて、各国との意見交換や研修に励んでいます。

いつも献血へのご協力ありがとうございます

 今年の5月8日の世界赤十字デーでは、the person next door(隣人)にフォーカスを当てましたが、献血者の皆様もまさに困った時に手を差し伸べてくれる人たちです。いつも献血にご協力くださる献血者の皆様に改めて感謝申し上げます。

 献血者の皆様から頂戴した血液を安全に患者さんのもとにお届けできるよう、引き続き赤十字は活動を続けてまいります。

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