赤十字のユースボランティアがアフリカの子供たちと、もっとクロス!~ユースボランティアの「自分らしい」国際貢献を、プロがお手伝い~

画像 ユースボランティアとオンライン会議を行う吉田拓首席代表(画面右上)

現在、新型コロナウイルス感染症の影響で一時帰国中の日本赤十字社(日赤)ルワンダ現地代表部首席代表の吉田拓(千葉県在住)。そんな彼は、現地の活動をリモートで管理する傍ら、日赤東京都支部(東京都支部)のユースボランティア(青年学生赤十字奉仕団)が立ち上げたGlobal Project Teamに参加して、活動をサポートしています。今号では、吉田拓がユースの取組みの最前線をご紹介します。

遥か遠くの途上国の人助けを通して、今ここの私たちの在り方を変えたい

 こんにちは、皆さん。日赤ルワンダ現地代表部の吉田拓です。昨年から、東京都支部のユースの活動に参加しています。今年44歳になりますが、心は永遠に若者の私です。東京都支部から声がけをいただいたとき、同じユースの皆さんと一緒に活動ができると喜び、二つ返事でお引き受けしました。一方で、ユースが力強く国際活動をリードするためには、様々な課題があることも認識しました。

 今の日本の若者たちは、自分たちで社会問題を解決できるという自己肯定感を持てず、理想の世界と現実の落差に対して、しらけた態度を持たざるを得ないのではないかと感じることがあります。令和元年度の内閣府の国際比較調査によると、日本の若者はボランティア活動に対する関心が低く、韓国、アメリカ、ドイツ等7カ国の中で一番低いとされています。また、2019年の日本財団の調査によると、先進国、途上国合わせて9カ国の若者の中で、日本の若者は、「自分で国や社会を変えられると思う」「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」等が最下位でした 【1】。これは大人達が、より良い世界を作っていくことについて、若者と真摯に向かい合い、話し合うことを、連綿と避け続けてきたことの反映ではないかと思うようになったんですね。

【1】出典
内閣府(平成30年)「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」
日本財団(2019年)「18歳意識調査『第20回 -国や社会に対する意識調査-』」

 そこで、東京都支部のユースの活動に参加する上で、途上国で起きていることを自分ごととして考え、仲間同士で意見を言い合い、一緒により良い世界を作っていくお手伝いをするために初老(ああ、イヤな響き。。!)を過ぎた私ができることは何だろう、ということを念頭に置いています。

現状を打開するために、今後の試み

 コロナ禍ということもあり、ユースの集まりはオンラインで行います。3月に始まった集まりでは、メンバーがお互いの関心や疑問を出し合い、ルワンダの人道課題や赤十字の支援などを学んで来ました。そして、新たな取組みとして日赤がルワンダ赤十字社と一緒に取り組んでいるプロジェクトの実施地域で、「子供たちにとって価値のある情報を、楽しく伝えたい」という方向性を決めたところです。これから、手分けしてルワンダの保健、農業、農村のことについて調べ、子供たちの目線に立って嬉しいこと、悲しいこと、避けたいことを考えていきます。今後は、ユースのメンバーがルワンダ赤十字社のスタッフやボランティアとオンラインでつながり、子供たちのニーズについて意見交換をしていき、私たちが出来ることを実施していく予定です。

 私の役割は、メンバーの疑問や問題意識を正面から受け止め、「わたしたちなら解決できる」と思ってもらうことです。道のりは長いですが、ユースの皆さんの豊富な知識や熱意にはいつも励まされています。今後は、日本中で国際協力に関心のある赤十字ボランティアの皆さんとつながり、一緒に活動の輪を広げていきたい、と思っています。

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