世界エイズデー

世界エイズデーは、世界レベルでのエイズの蔓延防止と患者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機構)が1988年に制定したもので、毎年12月1日を中心に世界各国でエイズに関する啓発活動が行われます。

世界のHIV感染者数

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(HIV検査相談マップhttps://www.hivkensa.com/whatis/より引用)

まずは、HIV検査を - HIVと長くつき合っていくために -

エイズとは後天性免疫不全症候群[1]の略で、HIV[2](ヒト免疫不全ウイルス)が免疫細胞に感染し、免疫機能を破壊して後天的に免疫不全を起こしている状態です。ひと昔前は、一度感染すると重篤な状態になってしまう恐ろしい病気でしたが、抗レトロウイルス薬が開発されて以降は、エイズの発症を抑えることができるようになり、HIVと共に長く生きられるようになりました。

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マラウイ国ンチシ県での現地視察。ピアエデュケーションをするHIV感染者市民グループと国際赤十字・赤新月社連盟職員1名、日本赤十字社職員3名。 日本赤十字社

HIVと共に長く生きていくためには、自分がHIVに感染していることを知る必要があります。まずHIV検査を受けることが大切なのです。しかし日本を含む世界の多くの国々では、エイズに対する恐怖心があることで、人々がHIV検査を受ける妨げとなっています。日本赤十字社は、世界で最もHIV感染率の高い地域である南部アフリカ地域の5カ国(ナミビア、マラウイ、スワジランド、南アフリカ共和国、ザンビア)で、HIVを中心とする感染症対策事業を実施しています。具体的には、HIV検査の提供、その後のカウンセリング(検査でHIV感染と知った際に治療に向き合うため、今後の治療などの助言等の支援として)やピアエデュケーション(同じ症状の仲間とつながって励まし合ったり、情報交換をしたり、HIV予防の啓発活動を行う)などの活動も支援しています。

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[1] 英語でAIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome)
[2] Human Immunodeficiency Virus

日本でもHIV感染者は増えています

HIV/エイズは、遠い国の出来事ではありません。日本でも毎年1000人以上の人がHIVに感染していると報告されています。一方で、「自分には関係がない」「感染しているのを知るのが怖い」といった理由で、検査を受ける人が少ないのが現状です。HIVに感染すると、感染者はしばらくは自覚症状がありませんが、HIV感染の疑いを自覚したときには、すでに全身の免疫機能が破たんしていることが多いのです。つまり、突然「エイズを発症している」と宣告されることになります。それを予防するためには、自分がHIVに感染していることを早く知り、うまくHIVとつきあっていくことが重要です。性的接触をするすべての人に感染の可能性があると思って、検査を受けることが必要です。

日本のHIV感染者数・エイズ患者数

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(HIV検査相談マップhttps://www.hivkensa.com/whatis/より引用)

社会との関わりが大切 - 病気と共にうまく生きていくために -

HIV感染に限らず、病気とともにうまく生きていくためには普通の社会生活を送ることが大事です。定期受診をしながら、仕事に復帰したりなど社会と関わるということです。そして、病気と付き合いながら生きている人たちを支援する社会の存在が大切です。赤十字の南部アフリカ地域における支援は、HIVで家族を失い貧困に生きる人々に対して家畜などを提供して生計支援をしたり、保育施設の運営なども行っています。社会生活ができるための体制づくりは、病気と付き合う人を含め、社会的に弱い立場の方々を支える力になります。

皆様から頂いたご寄付で、このような活動を実施しています。継続した活動が、今後も彼らが自分たちで生きていく強い力となります。

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