2023年度を振り返って ~総括編 第4号 ~

頻発、激甚化する災害への対応

 近年深刻化する気候変動により繰り返されるサイクロンや洪水、干ばつ等の自然災害、また、発生が予測できない大地震等、頻発化・激甚化する自然災害が世界中で猛威を振るっています。

 総括編第3号に引き続き、今号では2023年の国際救援の中でも主に大規模自然災害に対する赤十字の活動とその備え、また国際活動を支える日赤の国際要員についてお伝えします。

トルコ・シリア地震救援事業

 2023年2月6日未明、トルコ南東部のシリア国境付近でマグニチュード7.8の地震が発生。トルコ・シリア両国を合わせて6万人近くが犠牲、1,700万人が被災するという、同地域では過去に類を見ないような大規模災害となりました。相次ぐ余震や被災地域の広範さ、発災当時の厳しい寒さに加え、シリア側の被災地は12年間続く紛争により社会インフラがすでに脆弱な状態にあったことなど、混迷を極める中でトルコ・シリア両赤新月社は発災直後から懸命な救援活動を繰り広げました。

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被災者に寄り添うトルコ赤スタッフ©TRCS

 トルコ赤新月社(トルコ赤)は国の「災害対応計画」において中心的な役割を任されている食料支援分野で大規模な活動を展開。2023年末までに4億2,600万食もの温かい食事を提供し、また被災者への現金給付やこころのケア、生計支援などにも注力しています。

 トルコ赤の活動を支えるべく、日本赤十字社(日赤)は、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)を通じた資金援助や救援物資支援と同時に連絡調整要員を派遣し最適な支援を探るほか、医療アセスメントチームが現地での医療ニーズ調査を実施。現在は、主に仮設住宅で生活する方を対象に衛生管理や基礎保健に関する知識向上やレジリエンス強化を目的とした地域保健活動、また地震により被災した献血センターの新規移転の準備を進めています。さらに、12月には寒さの厳しい冬をコンテナ型の仮設住宅で過ごす人びとのために、日赤の支援がトルコ赤が行う厳冬期支援の一環としての現金給付にも活用されました。今年1月には職員が被災地を訪れ、支援を受け取った方たちから聞き取りを行うなど、継続した支援を行っています。

 重機、燃料、医薬品などあらゆるリソースが不足しているシリアでは、国際赤十字全体でシリア赤新月社(シリア赤)の活動をサポート。被災地でひっ迫する医療ニーズに応えるため、各国社から人員や資機材を集めた国際緊急救援チームを結成しました。日赤からも薬剤師2名を派遣し医薬品などの適切な管理・調達と現地スタッフへの指導を行ったほか、およそ1.3トンの医薬品・医療消耗品を提供しました。さらに4月からは国際赤十字の保健医療コーディネーターとして看護師を派遣。1年間にわたってシリア赤の戦略的な活動展開をサポートしているほか、連盟が実施する事業の管理や他団体との調整など、包括的な視点でシリアの保健医療分野を支えています。また、今回の地震をきっかけとして新たに発足した中東地域周辺国を対象とする防災プログラムに対して資金援助を行い、防災意識の啓発や早期復興のための能力強化といった長期的な活動を支援しています。

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被災者の話に耳を傾ける日赤看護師(シリア)

 紛争ぼっ発から13年となる今年、シリア国内で人道支援を必要とする人の数は過去最高を更新し、人口のおよそ8割を占める1,670万人に到達しました。一方、反比例するように国際社会からの関心や支援団体は再びシリアから遠ざかり、国内の危機的状況は今後一層悪化することが予想されています。日赤は今後も支援を継続し、トルコ・シリア両国で今も助けを必要とする人びとに寄り添う活動を続けてまいります。

 トルコ・シリア地震に関する日赤及び国際赤十字のこれまでの活動は、こちらの動画報告会の録画からもご覧いただけます。

2023年トルコ・シリア地震救援事業

https://www.jrc.or.jp/international/results/turkey_syria_jrcs.html

アメリカ・ハワイ火災救援事業

 2023年8月8日、アメリカ・ハワイの歴史ある町ラハイナで発生した山火事は、米国のここ100年において最大の犠牲者を生み、町のほとんどが焼失する壊滅的な被害を与えました。強風により、急速に広がった火災は町中の建物を焼き尽くし、逃げ遅れた約100人の人びとが犠牲に。発災当時には1万人を超える島民が避難を余儀なくされ、今もなお、その半数にあたる5,000人近くが避難所での生活を続けています(2024年2月時点)。瓦礫の撤去作業、住宅の再建支援も進められていますが、3,700棟を超える建物が損壊または住めない状態になってしまったことが人びとの避難生活を長引かせています。

 米国赤十字社は、全国から駆け付けた1,860人以上の赤十字スタッフやボランティアが対応にあたり、安全な避難場所、観光ホテルを活かした宿泊場所の提供、食事・必需品の配付、24時間対応のコールセンター設置によるこころのケアや保健医療支援など、緊急時から幅広い活動を展開し、現在もホテルで避難する島民への支援を続けています。また、被災者の用途に合わせた目的で使用できる現金給付を強化しており、生活再建に向けた復興支援が進められています。

○米国赤十字社の主な支援実績2024年2月時点)

 食事の提供・・・・・・・・254万食
 宿泊場所の提供・・・・122万泊分
 現金給付支援・・・・・・2,480万ドル(約37.5億円)

○日赤の海外救援金の受付とその使途

 受付金額:2億4,034万4,499円
 主な支援先:米国赤十字社(米国赤十字社による被災地での救援・復興支援活動およびハワイにおける防災・減災活動に使用)

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ホテルのロビーで食料品を提供するボランティア©米国赤十字社

2023年アメリカ・ハワイ火災救援事業

https://www.jrc.or.jp/international/results/America_Hawaii_fire2023.html

モロッコ地震救援事業

 2023年9月8日、北アフリカのモロッコの都市、マラケシュから約75kmの山脈を震源とした、マグニチュード6.8の地震が発生。周辺国のポルトガルやアルジェリアなどに及ぶ広範で記録された揺れにより、アクセスが困難な地方の町で壊滅的な被害をもたらしました。約60,000棟の家屋が倒壊または損壊し、約3,000人が命を落としました。一時的には38万人が緊急的に避難したとされていますが、発災当初は余震への恐怖などから、屋根のない危険な場所で夜を過ごす人も多く見られました。多くの人びとが依然としてテントや簡易的な住まいで暮らしていますが、被災地には標高1,500mを超える非常に高い地域もあり、厳しい寒さへの備えが急務となりました。また、多くの村でのトイレ不足、備蓄物資が枯渇した状況から、水・衛生支援と食料支援のニーズが高まりました。

 モロッコ赤新月社は、発災直後からスタッフ、ボランティアを動員し、捜索・救助活動、避難支援、負傷者の搬送、応急手当など、命を繋ぐ緊急支援を展開。これまで62,476人以上に人道支援を届けてきました(2024年2月時点)。緊急支援から中長期的な支援へと移る中、課題である厳冬期対策、水・衛生支援によりフォーカスし、断熱シートやテントの配付、水場の修復やトイレ、シャワーの設置など、ニーズに合わせた支援を進めています。

○モロッコ赤新月社の主な支援実績2024年3月時点)

 水・衛生支援・・・16地域138個の水場を設置または修復
        トイレ133台、シャワー107個、焼却炉23個を設置
        5,411個の衛生用品キットの配付
        3,136人が衛生に関する講義を受講

○日赤の海外救援金の受付と主な支援先

 受付金額:25,7759,232
 主な支援先:連盟緊急アピール(連盟、モロッコ赤新月社が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動等に使用)

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テントを組み立てる赤十字スタッフ©IFRC

2023年モロッコ地震救援事業

https://www.jrc.or.jp/international/results/Morocco2023.html

リビア洪水救援事業

 2023年9月10日、ハリケーン「ダニエル」による暴風雨が北アフリカのリビアを襲い、同国の東部で大規模な洪水が発生。国土の3分の1が浸水する被害を受けました。大雨により2つのダムが決壊したことから、海まで繋がる小さな涸れ川に大量の水が流れ込み、最大3mにもなった洪水が、河川の両側の建物を住民ごと一気に押し流す惨事に。建物や道路、医療施設、水道システムに甚大な被害をもたらし、4,300人以上の犠牲者、約8,000人の行方不明者が報告されています(202312月時点)。一時的に避難した人びとが徐々に自宅に戻る中、保健医療や水道インフラなど、必要なサービスへのアクセスが困難な状態は続いており、感染症の予防も大きな課題となっています。

 リビア赤新月社は安全確保や被災地へのアクセスが難航した発災直後から立ち往生となった人びとの避難誘導や、行方不明者の捜索活動を続け、約730人のボランティアが必要な物資の配付や、水衛生キットの配備、こころのケア支援に携わりました。また赤十字国際委員会(ICRC)とも連携し、離ればなれになった家族の再会支援や、ご遺体の搬送・収容支援、行方不明者が発見された際に身元がわかるように、本人確認(鑑識)にかかる支援も行いました。

○リビア赤新月社の主な支援実績 (2023年12月時点)

 基本的物資等の配付・・・非食料品47,767個、
          食料品75,095個、救急箱601
 こころのケア・・・・・・・・・・・・・7,268
 尊厳あるご遺体の管理・・・・・2,317

○日赤の海外救援金の受付と主な支援先

 受付金額:14,4325,094
 主な支援先:連盟緊急アピール、ICRCアピール(連盟、ICRC、リビア赤新月社が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動等に使用)

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負傷者を救急車サービスで搬送©LRC

2023年リビア洪水救援事業

https://www.jrc.or.jp/international/results/Libya2023.html

アフガニスタン地震救援/人道危機救援事業

 2023年10月7日、アフガニスタン西部ヘラート州でマグニチュード6.3の地震が発生。その後も同規模の余震が複数回続いたことにより、日干しレンガで造られた住居が多数倒壊し、少なくとも1,480人の命が奪われ、9,000人以上が負傷しました。同国はもとより深刻な干ばつ、経済崩壊、数十年来の紛争、女性や子どもを取り巻く保護や避難民の移動など、複合的な人道危機に直面しており、国の人口の3分の2にあたる2,880万人が緊急の人道支援を必要としています。人道状況が深刻化する中、大規模な地震が2年連続して発生するなど(2022年ホースト・パクティカ州地震)、人的災害と自然災害の両方が同国に追い打ちをかけています。

 アフガニスタン赤新月社は全国34州に支部を持ち、地震発生の直後から被災地の支部が救護活動を開始。物資や食料品の配付、避難所の提供、現金給付、巡回診療等の支援を行い、これまでに7,000世帯、49,000人へ支援を届けてきました(202312月末時点)。日赤は被災地の活動を支える資金援助に加え、202312月から約3か月、日赤看護師1名を連盟国際救援保健医療要員として首都カブールに派遣し、被災地の巡回診療チームをサポートするなど、保健医療分野における技術支援も行いました。

 今後も弱い立場にある人びと、特に支援を必要とする女性、子ども、高齢者、障がいを持つ人びとを対象とした包括的な支援が続けられていく予定です。

○アフガニスタン赤新月社の主な支援実績

【 2023年ヘラート地震 】202312月時点)

緊急の避難所・生活必需品の提供・・14,700
食料品の配付・・・・・・・・・・・・・・・・・・14,000
保健医療支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・15,000
こころのケア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7,600
現金給付・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12,900

【 人道危機 】(2023年8月時点)

保健医療支援・・・・・・・・・・・・・・・・100万人
食料・生活用品の配付・・・・・・・・50万人以上
水・衛生支援・・・・・・・・・・・・・・・115,000人以上
防寒キットの配付・・・・・・・・・・・・68,000
現金給付支援・・・・・・・・・・・・・・ 112,000

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負傷した男性を手当する巡回診療班©ARCS

○日赤の海外救援金の受付と主な支援先(2023年ヘラート地震)

 受付金額:6,0664,780
 主な支援先:連盟緊急アピール(連盟、アフガニスタン赤新月社が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動等に使用)

※「アフガニスタン人道危機救援金」は現在も募集中

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赤十字の支援を受けている女性世帯主と会話をする日赤看護師©IFRC

2023年アフガニスタン地震救援事業

https://www.jrc.or.jp/international/results/AfghanistanEarthquake2023.html

アフガニスタン人道危機救援事業

https://www.jrc.or.jp/international/results/afghanistan_jrcs.html

アジア大洋州各国赤への給水・衛生災害対応キットの整備 

 アジア大洋州地域は世界的にも災害多発であり、2023年、アジア大洋州地域にはバングラデシュ、ミャンマー、フィリピン、バヌアツ等広範囲にわたりサイクロンや台風が襲いました。中でも大雨や洪水は全48件の緊急救援活動の85%を占め、日本を含む多くの国にとって課題とされています。日赤は資金援助を通じて長年にわたり連盟と協働で同地域の国々に向けた給水・衛生災害対応キットの配備事業を行っています。同キットには災害時に効果的に給水や衛生活動を展開できるようにタンクや浄水剤、水質検査キット、簡易トイレ設置用資材、衛生教育用資材などが含まれており、同地域の各国がいざという時に備えて自国内に配備します。また、現地のスタッフやボランティア向けにキットの稼働方法やメンテナンスや水質検査、衛生習慣を学ぶ研修がセットになっているのも特徴です。2023年はバングラデュ赤新月社で資機材メンテナンスや衛生教育関連の研修が行われ、マレーシア赤新月社では緊急時の対応計画や水質検査等が行われました。7カ国(バングラデシュ、インドネシア、マレーシア、モルディブ、ネパール、シンガポール、ミャンマー)からの参加者による合同研修も行われ、総勢133名の研修生を育成することができました。

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災害時の適切な衛生管理について学ぶ参加者(バングラデシュ)©BDRCS

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研修の中で浄水システムの設置と試運転を行う研修生©IFRC

連盟アジア大洋州地域拠点倉庫への緊急救援物資の備蓄         

 また日赤は、マレーシア・クアラルンプールの連盟アジア大洋州地域事務所の倉庫に毛布やテント、衛生用品キット、蚊帳など緊急時に必要な10品目の救援物資を備蓄しています。こちらは連盟の救援物資備蓄戦略に基づき、発災から48時間以内に5,000世帯、その後2週間で計20,000世帯分の救援物資をクアラルンプール倉庫からアジア大洋州地域の被災地に届けることを目標とするもので、日赤は各国合同の備蓄目標の大部分を占める数十万もの物資を備蓄し、日々必要に応じた払出し・補充を行っています。

 特にサイクロンの発生や洪水が多くみられた2023年度、フィリピンや、バヌアツ、ミャンマー、バングラデシュなど、計11カ国に向けて救援物資の払出しを行い、下記の物資が大規模な災害等の救援活動に活用されました。

【 品目 】

・ウール毛布・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・317枚
・フリース毛布・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10,336枚
・衛生用品キット(石鹸やタオルなど)・・・6,053個
・飲料水容器・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12,506個
・キッチンセット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3,928個
・家屋修繕キット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3,566個
・防水シート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9,202枚
・家族用テント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・195基
・大型テント(倉庫テント)・・・・・・・・・・・・・・2基

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バヌアツのサイクロンで被害を受けた住民へ
家屋修繕キットや衛生用品キットを配付©VRCS

 国土が広域に点在する大洋州地域での適切で迅速な国際支援が求められる今、日赤は同地域における救援物資整備を拡充し体制を強化していく予定です。

緊急対応ユニット(ERU : Emergency Response Unit)

 日赤では、海外での緊急事態・大規模災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家と、すぐに医療や保健衛生活動などが開始できる資機材をセットにした「ERU(緊急対応ユニット)」を整備しています。

 2023年度、日赤が主導するERUの展開はなかったものの、姉妹赤十字社のERUにおいて、日赤が保有する国際基準の医薬品セット、適切な訓練を受けた国際要員(薬剤師)が活躍するなど、国際赤十字と協力して緊急事態に対応しました。また、ERU資機材の一部である、水・衛生モジュールは2024年1月に発生した能登半島地震の被災者支援でも活用され、被災地の給水衛生を支えました。

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2023年3月~5月

トルコ・シリア地震発生により現地でひっ迫した保健医療を支援するため、フィンランド赤十字社主導の巡回診療ERUに日赤薬剤師2名の派遣と医薬品・医療消耗品1.3tを寄贈

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2024年1月~

能登半島地震発生により断水が続いた被災地の避難所(小学校2校)で、浄水と加温の機器を活用し、手洗い場、シャワー、洗濯機を設置

ERU研修

 ERUが発動されるときには、日本から訓練された専門家が被災地に派遣され、迅速に救援活動にあたります。日赤は国内外での災害対応に当たっていますが、海外で活動する際には、被災地の赤十字社のみならず、他国から救援に来た赤十字社のスタッフもチームの一員となり、それぞれの強みを持ち寄りながら一緒に被災者の支援にあたります。

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 2023年10月には兵庫県にて保健医療ERU研修を開催しました。全国各地の赤十字施設からの参加者に加え、香港、韓国、シンガポール、カナダ、ノルウェー、ドイツ、フィンランドから計31人が参加し、人道支援の原則や関係機関との連携など、被災者にとって最良な保健医療支援活動をチームで行うために必要なことを講義やシミュレーションを通して学びました。

2023年度国際要員の派遣実績

 これまで紹介してきた国際活動を現地の赤十字スタッフやボランティアと協力して展開するため、国際救援・開発協力に従事する「国際救援・開発協力要員(国際要員)」を世界各国に派遣してきました。医師や看護師、ロジスティシャンなど多岐にわたる人材が日赤の国際要員として、難民に対する医療支援やコミュニティーに対する衛生知識の普及などに携わっています。20201月からの新型コロナウイルスによる感染症の感染拡大の影響により一時期は日本国内からの遠隔による支援等で対応してきましたが、海外渡航の制限の緩和に伴い、国際要員の派遣者数も徐々に回復しました。2023年度は、ウクライナ人道危機救援事業やパレスチナ赤新月社医療支援事業等に携わるため、59人の国際要員が15ヵ国で活動しました。(※オンラインによる遠隔での技術支援等のリモート派遣を含む。)

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現地で活動した国際要員の声

 日赤で活動する国際要員の多くは、普段は赤十字の病院や施設に勤務している医療職や事務職員です。2023年の7月に国際要員として初めて海外派遣(レバノン)を経験した日本赤十字社和歌山医療センターの春日医師は、レバノンのパレスチナ難民キャンプで働く医師たちへ超音波検査の指導にあたりました。春日医師は、仕事の進め方や現地の方々との関わり方に戸惑うことがありつつも、現地のスタッフたちから「来てくれたことは、こちらにとってすごくありがたいこと」と感謝の言葉をもらえたことは心強く、嬉しかったと話します。日赤のホームページでは、こうした「現地で活動した国際要員の声」として、支援を届ける「人」がどのようなきっかけで国際要員を目指し、どのような思いで活動しているのかを紹介していますので、ぜひご一読ください。日赤の国際活動や国際要員に関連する情報は、国際要員ウェブサイトでも発信しております。

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現地の泌尿器科医が研修医にエコー指導しているのを日赤医師で見守る様子

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