青少年赤十字について

児童・生徒が赤十字の精神に基づき、いのちと健康を大切に、
地域社会や世界のために奉仕し、世界の人びととの友好親善の精神を
育成することを目的として、さまざまな活動を学校教育の中で展開しています。

青少年赤十字とは

実践目標

青少年赤十字では、先に述べた目的を達成するために、「健康・安全」「奉仕」「国際理解・親善」の3つの実践目標を掲げています。

健康・安全
いのちと健康を大切にする
人間の生命はもっとも大事なものです。その生命を守るために、自分の命と健康を大切にするとともに、みんなの健康を守り、人間尊重の精神を養うことを目指します。
奉仕
人間として社会のため、人のためにつくす責任を自覚し、実行する
私たちはたった一人で生きているのではなく、社会の一員として生きています。自分が今、他者のために何が出来るかを考え、できることから実行していきます。
国際理解・親善
広く世界の青少年を知り、なかよくたすけあう精神を養う
私たちは、いつも世界の国々とのつながりの中で生活しています。外国の人々やその国のことについて正しく理解し、交流を深めることは大変重要なことです。それは自分自身を知ることにもつながります。このような積み重ねが、世界の平和の実現を目指していくことにつながります。

態度目標

主体性を育むために「気づき」「考え」「実行する」という態度目標を掲げています。

青少年赤十字の特徴

  • 学校や幼稚園・保育所に組織されています。
  • 何を実践するかは学校や園の自由裁量です。
  • 青少年赤十字は世界的な組織です。
  • 国内にも多くの仲間がいます。
  • 青少年赤十字は政治的、宗教的および思想的なことには中立・公平です。

主な活動内容

  • リーダーシップ・トレーニング・センター

     青少年赤十字の最も特徴ある教育プログラムの一つであり、宿泊を伴う学習活動の場です。
     奉仕を基盤とした集団生活を行うことで、主体的に行動することのできる青少年を育成し、グループのメンバー全員が自ら進んで役割を持ち、その場の状況に応じてリーダーまたは協力者の立場をとることができるよう、仲間たちと「人道的な価値観」や「リーダーシップ」について学びます。

  • 国際交流事業

     国内外の青少年赤十字メンバーが交流を通じて、他国の文化や歴史を知り、自国との違いを受け入れ、相互理解を深めることを目的としています。
     また、青少年赤十字の実践目標の一つである「国際理解・親善」の具体的な実践機会となっており、将来のにわたり、国内外で赤十字運動を推進する人材の育成を狙いとしています。

  • 防災教育プログラム

     青少年赤十字の特徴的な手法である「気づき、考え、実行する」という態度目標を用いた日本赤十字社の防災教育は、「人道」の取り組みです。
     この防災教育は、子どもたちが主体的に取り組み、知識と行動力を身につけることができるだけでなく、他者への思いやりや優しさ、いのちの大切さを学び取る力を育むことができます。
     また、防災教育を通じて、青少年の健康と安全を守り、学校や地域、家族での防災意識の向上を目指します。

  • 指導者研修会

     指導者研修会は、学校や園の先生を対象として毎年実施しています。
     本研修会では、赤十字の精神と活動について基礎的な理解を得るとともに、青少年赤十字の様々な教育手法や学習資料の活用法、子ども達の自主・自律の精神を育成する方法を学び、学校教育・学級経営並びに幼児教育現場にて生かすことを目的としています。

 青少年赤十字への加盟は、学校が教育活動の一つとして青少年赤十字を取り入れるということになるため、学校長の承認が必要となります。
学校単位での加盟のほかに、学年、学級、委員会やクラブ単位での加盟もできます。
 詳しくは「加盟方法」からご確認ください。

加盟方法について

加盟のメリット

  • 子どもたちのリーダーシップ力を育てます。
  • 国際的な交流やボランティア、献血セミナーなど赤十字ならではのイベントに参加できます。
  • 学校、校種の枠を超えた交流・活動ができます。
  • 青少年赤十字の手法が各学校の教育計画に活用できます。
  • 青少年赤十字や赤十字に関する各種プログラム・資料・資材等をご提供(貸出)できます。
  • 講師を派遣します。(特別活動や各教科、道徳の時間など幅広く活用できます。)

青少年赤十字の活躍に寄せて

20210610-97805cde1cf6a0b2df86ee1d104405437b2dc3d4.jpg 広島県教育委員会教育長 平川 理恵

 新型コロナウイルス感染症に関わり,最前線で治療に携わっている医療従事者の皆様をはじめ,社会活動を支えている皆様に心から敬意と感謝の意を表します。  
 日本赤十字社におかれましても,全国の赤十字病院を中心に,新型コロナウイルス感染症の治療や感染拡大防止のための活動等に取り組まれていますことに感謝申し上げます。

 さて,第一次大戦中,アメリカやカナダなどの子供たちが,赤十字社を通じてヨーロッパの戦場となっている地域の子供たちへ文具や手紙を送ったことがきっかけで発足した青少年赤十字は,令和4年(2022年)に創立100周年を迎えられます。これまで長年にわたり,児童生徒が赤十字の精神に基づき,世界の平和と人類の福祉に貢献できるよう,日常生活での実践活動を通じて,いのちと健康を大切に,地域社会や世界のために奉仕し,世界の人々との友好親善の精神を育成することを目的として様々な活動を展開されています。そして,誰の心の中にもある「やさしさ」や「思いやり」の心を引き出し,主体的に行動できる児童生徒の育成に御尽力いただいてきました。

 県教育委員会におきましても,「広島で学んで良かったと思える 広島で学んでみたいと思われる 日本一の教育県の実現」を目指し,「広島版『学びの変革』アクション・プラン」に基づき,学んだ知識を活用して,他の人と協働して課題を解決する力を育むことを重視した「主体的な学び」を促す教育活動の充実に取り組んでいます。青少年赤十字加盟校の児童生徒は,ボランティア活動や国際交流などに取り組む中で,課題に「気付き」,課題解決の道筋を主体的に「考え」,仲間と協力して一歩ずつ「実行する」ことを学んでおり,このことは広島県が推進している「主体的な学び」と軌を一にするものです。これからも,「気付き,考え,実行する」力を自分たちの生活の中でも生かしながら,周りの人たちと共に生きることができる青少年の育成に取り組んでいただきたいと思います。

 創立100周年を迎える青少年赤十字の更なる発展と加盟校の広がりに向け,皆様の御支援,御協力を賜りますようお願い申し上げます。

青少年赤十字活動の一層の活性化を祈念して

20230524-a4ba93d59168976597da2be092ad6c6b10c90ff2.jpg 青少年赤十字広島県指導者協議会長
広島市立国泰寺中学校長
重森 雅穂

 

日頃より、青少年赤十字の活動に携わっておられる全ての皆様に心より感謝申し上げるとともに、たゆまぬ努力により連綿たる歴史と伝統を紡いでこられていることに敬意を表します。

 わたしたちが加盟している青少年赤十字は、第一次世界大戦中、戦場となったヨーロッパの国々の少年少女や傷病者を慰労し励ますために、カナダ、アメリカ、オーストラリアの学校の生徒と教師らが、制作したクリスマスカードや手紙などの作品を、赤十字を通じて戦地に送った活動を契機に創設されました。わが国では大正11年に滋賀県の守山小学校に初めて誕生し、昨年度、創設100周年を記念して「青少年赤十字創設100周年特別事業 100万羽おりづるプロジェクト」が実施され、幼児・児童・生徒らが心を込めて制作した120万羽を超える折り鶴が世界最長のギネス記録に認定されました。そして、折り鶴は形を変えノートとなってネパールに届けられ、子どもたちの学習に役立てられています。まさに、「気づき 考え 実行する」という青少年赤十字の態度目標を体現した素晴らしい活動であったと思います。

 本年度は、この3年間、われわれの活動に大きな制約を及ぼしてきた新型コロナウイルスが感染法上の5類に移行することに伴い、青少年赤十字の活動が一層活性化することが期待されています。

 わたしが勤務する広島市立国泰寺中学校に本校におきましては、昭和27年に青少年赤十字に加盟し、「実行の人」の校訓の下、「気づき、考え、行動する 実行の人」を教育目標に掲げ、人道的価値観を身に付け、広く社会に貢献できる人材の育成を目指し、積極的な教育活動に努めています。また、生徒会活動を中心にVS活動をはじめ、広く青少年赤十字の諸事業に取り組んでいます。

 現在、世界に目を向けてみますと、国際紛争、自然災害、貧困、飢餓、差別、偏見など、わたしたちが安心で安全な生活を送るうえで、その営みを阻む課題が山積しています。こういうときだからこそ、加盟校を中心にこれまで培ってきた赤十字の基本原則「人道の精神」と青少年赤十字の態度目標「気づき・考え・実行する」力を強みとして発揮し、世界平和と人類の福祉に貢献することが必要です。

 折しも、本年5月に、G7広島サミットが開催され、平和、貧困、環境問題など、世界が直面している諸課題に対する国際協調に向けた協議が行われたこの節目の年、各校での活動を、一層、充実発展させてまいりましょう。本年度もどうぞ宜しくお願いいたします。