私たちの活動は「心を育てるため」

楽しくボランティアに取り組み、大好きな仲間と出会いました!

更級農業高等学校JRC部メンバー  ※2022年取材当時

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(前列左から)宮川真由香さん(OG)、山田颯太郞さん(3年生・部長)、森山さくらさん(OG・元部長)
(後列左から)西沢一真さん(3年生)、濱田智也さん(3年生)

Q.みなさん、どのようなきっかけでJRC部に入ったのですか?

森山さん:
1年生の時のクラス担任がJRC部顧問の高野先生で、一緒にボランティアをやってみないかと誘われたんです。自分が得意なことを活かして何かやってみない?と。

宮川さん:
私も高野先生に誘われて。その時初めて高校にボランティアの部活があることを知って、ちょっと興味を持ったんです。そして、最初の企画が令和元年台風19号の被災地の子どもたちとの交流で、私も一緒に何かやってみたいなと思って、入部を決めました。

山田さん:
ぼくは、以前から地球温暖化とか環境問題が気になっていて、自分でも何かできないかなと思っていました。その中で、JRC部の活動を知って、すごく良いチャンスだなと!

西沢さん:
ぼくも、心の端っこで環境やゴミの問題などが気になってはいたけど、自分から何かする機会がなかなかなくて…。だから、JRC部に入れば貴重な経験ができるかもと思いました。それに、JRC部は先輩・後輩もみんな仲が良くて、ここなら自分らしくノビノビとやっていけるんじゃないかと感じて、入部しました。

濱田さん:
ぼくは友だちに誘われて、流れで入っちゃった(笑)。でも中学の時、障がい者のための文化祭にボランティアとして参加したことがあって、どうせやるなら人の役に立つことをやってみたいなと思っていたから、JRC部に入部して良かったと思っています!

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Q.JRC部の活動について教えてください。

山田さん:
高校の施設野菜コース(JRC顧問の高野先生が担当)が、放置竹林に困っている長野市七二会地区の人たちと一緒に課題解決を目指した活動をしていて、もっと活動を広げられないかとJRC部にも声をかけてもらったんです。それで、竹の活用法を考えようと、みんなでさまざまなアイデアを出しあい、実用性があって日常的に使ってもらえるものに絞っていって、最終的に食器用洗剤と箸、農作業用イスに決まりました。
また、千曲川河川敷のカヤを刈り取って「すだれ」を作り、被災地に届ける活動もしています。「すだれ」ってあまり見たことなくて、本当に使ってもらえるのかなと少し不安だったけど、被災者の皆さんがいる仮設住宅は夏場とても暑く、実際に日よけとして使って喜ばれていると聞いて、自分たちの活動が役に立ってるんだと実感でき、とてもやりがいをもつことができました。

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西沢さん:
その他にも、ぼくたちは今年、「高校生ボランティア・アワード2022」(※1)にエントリーしました。放置竹林の活動などの取り組みが評価されて全国大会で発表することになり、今はその準備の真っ最中です。平行して、他のボランティア大会のエントリー準備もしてるので、この夏は大忙しでした。

森山さん:
私も、昨年3年生の時に、「ボランティア・スピリット・アワード」(※2)にオンライン参加しました。スピーチ原稿を書いている時は、今までいろいろ活動してきた自負と誇りがあったので、もう自信満々(笑)。ところが他の参加者の発表を聞いたら、起業してる人たちがいたり、中学生でもどうしたらそんな企画を考えられるのというレベルの高さで…。でも、すごく刺激を受けたし、私たちももっといろいろなことができるんだ、と改めて感じた良い経験です。

(※1)日々地道な奉仕活動を実践している高校生の発表・交流の場として2016年に創設された、ボランティア活動の全国規模の交流会。公益財団法人風に立つライオン基金が主催し、内閣府やNHK厚生文化事業団が後援。

(※2)プルデンシャル・ファイナンシャルが事業を展開する世界各国で開催されている国際的な青少年支援プログラムであり、日本では、ボランティア活動に関わる全国の中学生・高校生が活動を報告しあい、情報交換や交流を行っている。文部科学省、日本赤十字社が後援。

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Q.思い出に残っているのは、どんな活動ですか?

森山さん:
たくさんあるけど、自分の趣味を活かして企画したバレンタインのお菓子作りかな。台風19号で被災して仮設住宅にいる子どもたちを招待して実施したんですが、これがとても大好評で、ボランティアが楽しいと感じました。そして、これをきっかけにたくさん活動していきたいと思っていた矢先に、新型コロナウイルス感染症が広まり、さまざまなイベントが中止になってしまったんですよね。それが悔しくて、この状況でもできることをやろうと部員全員でマスクを作って被災地に届ける活動をしたことも思い出の一つです。被災地の方からいただいた浴衣の布を再利用したりして、3カ月ぐらいずっと作ってたかな。

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西沢さん:
当時は、森山部長を中心に、みんなでマスクを作りまくっていましたよね!大変だったけど、マスクを被災地に届けるうちに、ボランティアの楽しさややりがいを感じ始めて、自分にもできることがあるんだなと自信につながりました。

宮川さん:
私は、木島平村が村内の小学校で行っている子ども食堂(※3)でのボランティアも思い出に残っています。1回目は子どもたちと一緒に遊んで交流し、2回目はみんなで切り干し大根を作って提供しました。その時、「何か企画をやって」と声をかけていただいて、子どもたちとスライム作りもやったよね。

(※3)家庭の事情で一人で食事をしている、また食べることも厳しい状況の子どもに無償で居場所と食事を提供する活動。

山田さん:
そうそう。切り干し大根は、大根を学校の畑から抜いてきて、洗って、ひたすら切って、大変だったなぁ(笑)。でも楽しかった。

濱田さん:
子どもとのふれあいは経験したことがなかったけど、子ども食堂でみんなと仲良くできてすごく楽しかったし、とても感謝されて、ボランティアに行って良かったと思いました。JRC部に入ってなかったら、こんな体験はできなかったからね。

Q.活動を通して得られた一番のものは何でしょうか?

宮川さん:
私はもともと自分に自信がなかったんです。でも、子どもたちとふれあったり、ボランティアを通して人の役に立っていると思うと自信が出てきて。もう少し積極的に人と関わり合ってもいいかなと思えるようになりました。

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西沢さん:
ぼくは、そもそもボランティアとは何かすら知らなかったけど、放置竹林やカヤなど、地域でじゃまになっているものや、困っていることを知ることができた。ボランティアは何か大きな組織に入ってやらないと一人では無理なんだろうって勝手に思って、何もできなかった。でもJRC部に入って、たとえ小さなことの積み重ねでも、周りの人たちと協力してできることはたくさんあると分かって、それが良かったかな。

山田さん:
ぼくが一番思うのは、コミュニケーションの大切さ。活動していくためには、学年を越えてみんなが仲良くないとうまくいかないし、また多くの人たちと関わることで人間的な感性や視点の広がりができたと思う。空き家や荒れてる畑、竹林を見た時、以前とは違った視点が持てるようになり、そういった部分でも大きく成長できたんじゃないかなと思います。

森山さん:
高校を卒業した今思うのは、JRC部に入って本当に良かったということ。特に部長としてやってきたことが一番大きいかもしれない。部長の私にやる気がなければ、みんながついてきてくれないから、まず自分が一番ボランティアを楽しもう、という気持ちですべての活動をしていました。

山田さん:
それ、めっちゃ分かります(笑)。ぼくも今、部長として、同じことを考えてやってます!しっかり受け継いでますよ~(笑)。

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Q.これからの目標を教えてください。

森山さん:
ボランティアはこれからもずっと続けていきたいと思っています。私は今、調理・製菓の専門学校で学び、パティシエを目指しています。将来自分のお店が持てたら、子ども食堂の経験を活かしてキッチンカーでケーキを届けたい…。それが夢であり、一番の目標なんです!

宮川さん:
私は今、アニメ系の専門学校で学んでいます。JRCに入る時、先生に「絵がうまい」と言われて、私にも人と違うことができるんだと自覚できた。JRCのおかげで夢ができたんです! 将来はアニメに関わる仕事、特に光の加減やエフェクトをつける仕上げの仕事につきたいと思っています。

濱田さん:
もともとおもちゃが好きなので、将来はおもちゃメーカーに勤めたいんです。そしてJRC部でカヤや竹を使ってものづくりをしたように、環境問題になっている素材を使ったおもちゃを開発したい!子どもたちが、遊びを通して環境問題を知り、環境のことを考えるきっかけになったらいいなと思っています。

西沢さん:
高校を卒業したら、食品製造関係の会社に就職する予定です。食品科学コースで勉強してきたことやJRC部の子ども食堂でやってきたことなどを活かして、会社のノウハウも借りながら、厳しい状況にある家庭や子どもたちに食事を提供したり、一緒に作ったりできたらいいなと考えています。

山田さん:
将来はフラワーアレンジメントの仕事に就きたいと思っています。JRC部の活動を通して、本当に困っている人は「困っている」となかなか言えない、と気づきました。だから仕事でもコミュニケーション力を活かして、人の思いをくみ取る “気づき”を大切にしていきたいな!
そして、高校を卒業しても、いつかまたJRC部で集まって、それぞれの仕事や得意なことを活かしたボランティア活動ができれば良いよね!

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