2024年世界赤十字デーのテーマは「Keeping Humanity Alive(たすけあいの気持ちをいつまでも)」

 5月8日は世界赤十字デーです。2024年の世界赤十字デーのテーマは「Keeping Humanity Alive(たすけあいの気持ちをいつまでも)」。未曾有の危機と喪失に見舞われたこの世界で、今回のテーマは、人間の尊厳を守り、苦しみを和らげ、特に遠隔地や支援が届きにくい地域で悲惨な状況に直面している人々への支援を拡大するという、国際赤十字・赤新月運動の変わることのないコミットメントを思い起こすものです。

 この日に合わせ、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)と赤十字国際委員会(ICRC)共同声明を発出しました。

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 赤十字の活動は、赤十字に関する諸条約および赤十字の基本原則等に基づいて、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)及び各国赤十字・赤新月社をはじめとする関係者の協力関係のもとで展開されています。この国際赤十字・赤新月運動の方向性を決定する重要な会議である、連盟総会、国際赤十字・赤新月運動代表者会議、赤十字・赤新月国際会議が今年10月にスイス・ジュネーブで開催される予定です。

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国際会議の様子。こちらの動画でも簡単にご紹介しております。

 今号では、世界赤十字デーを記念して、世界各地で活動(中でも遠隔地や支援が届きにくい地域で悲惨な状況に直面している人々への支援)している各国赤十字・赤新月社の活動の様子をいくつかご紹介します。

■ジンバブエ:コレラの流行

 ジンバブエでは、北部で2023年2月に始まった深刻なコレラの流行と闘っています。コレラは水を媒介とする病気で、重度の下痢や脱水症状を引き起こすため、速やかに治療しなければ死に至る可能性もあります。感染拡大の要因としては、衛生習慣の欠如、清潔な水へのアクセス不足、汚染された井戸や掘削穴、下水道インフラの破損、ごみの不回収などが挙げられます。
 連盟の支援のもと、ジンバブエ赤十字社によって訓練されたボランティアは、経口補水ポイントを管理し、脱水症状の治療を行うとともに、戸別訪問によるコレラ啓発・予防、経口コレラ予防接種(OCV)キャンペーンを実施しました。
 また、ジンバブエ赤十字社は、重症患者のためのコレラ治療センターの設立のほか、持続可能なソーラー電源に給水ポンプを繋ぎました。

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壊れて放置された水源の修復に取り組んでいる様子 ©IFRC

■ケニア:長雨と洪水

 ケニアでは、2023年11月に発生したエルニーニョ現象による洪水と河川の氾濫、また2024年3月から5月にかけての長雨の複合的な影響により、130人以上が死亡し、約95万人以上が直接被害を受けています。
 洪水は広範囲に壊滅的な被害をもたらし、学校、保健所、衛生施設など重要なインフラの水没、清潔で安全な飲料水へのアクセス不足、また深刻な食糧難により、90万人以上の子どもたちが栄養失調に陥っており、早急な医療と栄養サポートが必要となっています。
 ケニア赤十字社は、ボランティアによる対応チームを配備し、洪水地帯に近い地域の拠点で家屋修繕キットや衛生用品を準備しているほか、1,800万スイスフラン(日本円で約31憶円)規模の緊急アピールの元、救援活動や今後の復興活動を行う予定です。

画像 ナイロビで被災コミュニティに食料や水・衛生用品などを配布する様子 ©IFRC

■パキスタン:洪水

 2022年の洪水は、被災者にコレラ、マラリア、疥癬(かいせん)など多くの健康被害をもたらしましたが、発災当初被災者は基本的な健康関連疾患にどう対処すればよいのか知識を十分に持っていませんでした。
 連盟は、洪水被害地区の100万人に支援を届けるため、4,000万スイスフラン(日本円で約68億円)の緊急救援アピールをもってパキスタン赤十字社の救援活動を支援しました。また、洪水に見舞われた地域の人びとに対して、水・衛生・保健の研修会を開催し、気候変動や健康に対する地域社会の意識の向上に繋がりました。

画像 シンド州における保健研修会の様子 ©IFRC/Syed Muhammad Abubakar

 注目されるウクライナ人道危機やイスラエル・ガザ人道危機のみならず、上述のジンバブエ、ケニア、パキスタンの活動に対しても、日本赤十字社は資金援助や物資援助を行って現地の活動を支えています。
 この世界赤十字デーに、いつもご支援くださる皆さまに改めて感謝申し上げます。今日もこれからも世界各国の赤十字・赤新月社と共に活動を続けてまいります。

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