大阪府支部について

日本赤十字社大阪府支部は、1887年(明治20年)に設置されて以来、大阪府民の皆様の温かいご支援をいただきながら、赤十字の目指す「人道」実現のため、大阪府内全域にわたり幅広い活動を展開しています。
今後とも、災害救護や医療、福祉等地域社会のニーズに対応した、顔の見える赤十字としてのきめ細やかな諸事業を的確に遂行してまいります。
大阪府民の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援をお願いいたします。

支部長あいさつ


20220825-e1438f668488e5a2029d6888f0d3dd7e391bc46f.jpg

日本赤十字社大阪府支部長に就任いたしました機会に一言ご挨拶を申し上げます。

国際赤十字の精神は、創設者であり、第一回ノーベル平和賞受賞者のアンリー・デュナンが提唱した「人の命を尊重し、苦しみの中にいる者は、敵味方の区別なく救う」という国境という多様性の壁を超えた人類愛の精神です。

現在、人類は多様性爆発の「第5の波」を航海中です(注釈)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最中、本年、2022224日にウクライナ危機が勃発しました。多様性の大爆発です。COVID-19に端を発し、ウクライナ危機により、ますます強くなる、協調から対立へ、信頼から疑心暗鬼への流れに、新型コロナウイルスは警鐘を鳴らしています。新型コロナウイルスは、「世界は1つである」こと、「国境はないこと」を教えてくれました。世界は協調しなければCOVID-19を克服することはできません。まして、ウクライナ危機は人類滅亡の可能性すら秘めています。「地球市民」としての自覚と、「相手の立場を尊重し、信頼し、助け合う、連帯と協調の精神」が重要だと思います。

人類社会は、様々な言語、人、慣習、国、宗教など、多様性に溢れています。多様性はイノベーションの源泉であり、心豊かな人生を送るためには必要です。しかし多様性は壁を作り、時には対立や紛争、そして人道危機を引き起こします。人類の歴史は多様性ゆえの発展と対立の歴史です。事実、現在においてもウクライナ危機に象徴されるように多様性の負の側面は続いています。

学問や科学技術、芸術やスポーツは人類共通言語であり、多様性の壁を乗り越える大きな力を有していると思います。人類共通言語により、多様性の壁を乗り越えて、世界中の多様な人々と交流し、異文化理解や異文化尊重を育むことができます。その先に、平和で心豊かな人類社会の発展があります。

赤十字の敵味方という区別なく、国境という多様性の壁を乗り越えた「人道・博愛の精神」も人類共通言語であり、このような時代において、ますます重要となります。日本赤十字社の生みの親の一人である佐野常民は、大阪大学の原点である適塾を創設するとともに天然痘のワクチン接種を日本で初めて組織的に広めた緒方洪庵の門下生です。彼は緒方洪庵の、「人のため、世のため、道のため」や「病者に対しては、貴賤貧富を顧みることなかれ」の精神を引き継いでいます。彼は1867年に開催されたパリ万国博覧会で、国際赤十字の組織と活動を知り、「敵味方の区別なく、救う」という赤十字精神に感動しました。西南戦争で政府軍と薩摩軍ともに多数の死傷者がでるという悲惨な状況に対し、佐野は大給恒らとともに1877年に博愛社を設立しました。博愛社は1887年に日本赤十字社と改称され、現在に至っています。大阪府支部は1888年に開設され、来年2023年は開設135周年にあたります。また、2025年大阪・関西万国博覧会では、国際赤十字・赤新月運動として赤十字パビリオンの出展が予定されており、万国博覧会協会が設置する医療救護所へ医師・看護師の派遣協力を行う予定です。

今、人類は、環境破壊、感染症爆発、多様性爆発の「第5の波」を航海中です。このような荒海の中にあり、赤十字の存在はますます大きくなると思います。人類の明るい未来を開くために、私たちの子供や孫の世代が夢と希望を持って、平和で心豊かな人生を歩むことができるために、一人でも多くの方が赤十字の精神に賛同されて、未来を展望できる世の中になることを強く願います。

微力ではありますが、みなさまと力を合わせて、世の中に少しでも貢献できるように努めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

注釈

私は、人類20万年の歴史を大雑把に分けると5つの波があると考えています。「第1の波」は20万年前から1万年前までで、この間にアフリカの一画で生まれたホモ・サピエンスが世界に拡散しました。農耕時代が始まった1万年前から13世紀にモンゴル帝国ができた「第2の波」では、言語、人、慣習、宗教、感染症などの多様性の基盤が成立しました。そして13世紀から18世紀にかけて400年続いた「第3の波」では、大航海時代が始まり、世界が7つの海で繋がり各地の文明が交わるとともに、感染症の拡散や交換も行われました。18世紀の産業革命に始まり1989年のベルリンの壁崩壊まで200年続いた「第4の波」では、技術革新が進み、政治的・経済的覇権競争が激化し2度の世界大戦が生じるとともに、感染症との戦いも始まりました。そして、1989年のベルリンの壁崩壊とともに「第5の波」が始まりました。それは、環境破壊やエネルギー問題や食料問題が顕在化するとともに、多様性爆発や感染症爆発の時代です。詳しくは以下をご覧ください。

5の波(1)<https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20210615-00243099>

5の波(4)<https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20210618-00243529>

                 2022年6月10日

20230719-52a42dd804e5212f1991ec86da308e740db0d495.PNG

DSC05701 (1).jpg平野支部長が、令和4年秋の叙勲において「瑞宝大綬章」を受章されました。

瑞宝章は、長年公務に従事し、功労を積み重ね成績を挙げた方に授与され、「瑞宝大綬章」はその最高位となります。

組織図

画像