身近な人を、助けるために。

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赤十字救急法指導員 秋山 恵子さん

Q.取り組まれている活動と、取り組むようになったきっかけを教えてください。

赤十字救急指導員として、企業や自治体、学校などで、AEDの使い方や心肺蘇生法の講習を行っています。

この活動に取り組むようになったきっかけは、「出産」でした。子どもがおなかの中にいるときに、「もしかしたら心臓が弱い子かも」ということを言われまして、万が一の時に、一番近くにいられるのは自分ですよね。そういう時に、結果がどうあれ、自分が何の対策もせず、何もできなかったら、すごく後悔するんじゃないか、と考えていて、ちょうど、救急法の講習会があることを知って、学べるときに学んでみよう、と参加したのが大きなきっかけです。参加して、深く学んでみたらどんどん楽しくなってきて、講習会という限られた時間だけでなく、もっといろいろな場面での救急法も勉強したいと思うようになり、何度も勉強会に参加しました。その後、救急法を伝える側に興味を持ち、指導員養成講習を経て、指導員としての活動も行うようになった、という感じです。

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Q.救急指導員の活動は、どのようなお気持ちで取り組んでいますか?

人道的な気持ちや、「困っている人を助けたい」という思いは、みんな持っていると思うんです。でも、いざという時に行動に移せるか、というと、それはなかなか難しいですよね。やっぱり知識や技術をちゃんと持っている、ということが行動への大きな後押しになると思います。災害時などの緊急時に、自分の周りだけでも助けられる、という人がもっと増えたらいいなぁ、という思いで活動に取り組んでいます。たくさんの人の役に立ってほしい、という大きな話ではなく、家庭でも、仕事場でも、ご近所さんでも、「身近な人を助けてほしい」ということを、よくお話しさせていただいています。

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Q.講習会に参加された皆さんの反応はどうでしょう?

実際にそういう場面に遭遇し、講習で学んだ胸骨圧迫で心肺蘇生をして助けることができた、というお話も聞いたことがあります。そんなにたくさんあるものではないですが、そうやって身近な人を助けることができた、ということをお聞きすると、うれしいです。

Q.講習会の重要性や、学んでほしいことなどを教えてください。

いざという時、は、いつ来るかわからないし、状況によって、できることも変わります。救急車を呼ぶこと、声をかけること、AEDを持ってくること、なども、立派な「救急法」です。どんな年代の人でも、人を救う一員になれるんです。その意識を持ってもらうためにも、救急法の講習会を受けていただきたいと思います。

例えば、AEDは、電気ショックを与える医療機器ですから、やっぱり実際にやるのは怖いと思います。でも、AEDは、体に装着すれば、電気ショックが必要かどうかをAED自体が判断してくれるんです。だから、そこにあるならまず装着してください、ということを最初にお伝えします。

胸骨圧迫も同じで、1分に何回やるとか、そういう細かいことを覚えるよりも、ためらわずに圧迫を続けることが重要なんです。

もっと簡単なことを言えば、学校で休み時間にちょっと指切っちゃった、みたいな時だって、保健室に行く前に、できることがあるんです。それも立派な救急法です。

人を助けるって、意外とみんなできるんですよ、ということを少しでも多くの方に分かってもらいたいですね。

人を助ける講習だから、あまり軽いノリではいけないとは思いますが、せっかくみんなきてくれるので、ひとつでも自分の生活な中に活かせそうなもの、身近な人のためになるもの、を持って帰ってほしいと思っています。そうやって気軽に捉えてもらうことで、「赤十字活動ってそんなに堅苦しくないものなんだ」という理解をしていただく入口になるといいですね。

Q.これからの取り組みについて、教えてください。

これは皆さんに言えることですが、やっぱり自分が健康でいないと、人を助けられないと思います。まず健康でいることが大切。防災とか救急法、というと、その手法や準備がたくさん語られますが、その前に、健康でいましょう、ということです。自分自身を守ることができてはじめて、周りの人を助けることができる、ということはこれからも伝えていきたいですね。

こういうボランティア活動は家族の理解も必要ですし、何より自分が健康でなければ、この活動もできません。わたしはこの活動を楽しみながら、長くやっていきたいと思っていますので、体への負担は意識して、あまり気合は入れすぎず、自分のペースでやっていきたいと思います。

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