大災害で、 被災したら・・・

今こそ知っておきたい緊急時の避難所生活

毎年9月1日は「防災の日」。そして、その日を中心とする1週間が防災週間です。避難訓練への参加や、過去の災害を振り返る報道や展示などに触れる機会も多い時期ですが、実際に被災した経験がなければ、発災後に自分や家族の身に何が起こるか、考えられる方は少ないかもしれません。いつ起こるとも知れない大災害。災害への備えとして、被災者の体験を想像力を働かせて読み、避難所生活を「追体験」してみましょう。

被災者の体験談を読んで 避難所生活の追体験を!

追体験1

指定の避難所に入れなかったり、毛布などの備蓄品が足りないことも…

「私が避難所に着いた午後3時ごろはまだガラガラでしたけど、晩にはいっぱいになり、入れなかった人もいました。学校の体操マットを広げたり潰(つぶ)れた家から持ってきた布団を敷いたりでもうぎゅうぎゅう。まるで修学旅行のゴッタ寝です。多分200人ぐらいいたと思いますけど、毛布が40枚しかないって言ってました。それでもお年寄りから順番に渡るよう、皆でもらうのを待ちました」

追体験2

避難所の運営は、住民たちで行う!

「避難所にいる人たちは、たいてい近所で顔見知り。その中で面倒見の良い方がその場を仕切りました。避難者の人数を数え、毎日名簿を作り、いろんな取り決めを避難先の学校の先生方と相談する。それから避難所の"村長さん"を作ろうという話になりました。配達で大勢の顔を知っているからと、お米屋さんに白羽の矢が立ち、最初は遠慮してたけど、結局最後まで彼がよく世話してくれました」

追体験3

住民主導で食料も管理

「配給がある避難所はまだいいほうで、公設ではない避難所では1週間たっても何も来なかったらしいです。食料はずっと届くとは限らないから、ペットボトル飲料や缶詰など日持ちのするものは倉庫に残しておくようにしました。学校の先生が倉庫の鍵を持ち、"村長"がフロアごとに班長を決めて必要なものを渡していましたが、"村長"の不在時に、代わりの人が倉庫のものを出したら、厚かましい人たちが全部取っていってしまった。お年寄りでも『孫に…』と言ってたくさん持っていくのです。一人いくつと決めて順番にとってもらったらよかったのにって、後で戻ってきた"村長"が残念そうに言っていました」

追体験4

トイレの清掃・管理も自分たちで! 

「水が出ないと、すぐトイレが問題になるわけです。朝起きたら、便器の中が山になっている。"村長"は若い人たちにバケツを渡し、学校のプールから何往復も水をくんでもらったんです。水をためたポリタンクとバケツを各フロアに置き、年配者に『トイレの当番、各階で決めてやってね。若い人は水くみするから』と、"村長"が決めてそのように動きました。あと、トイレットペーパーは流さずに袋へ捨てる、おしっこは流さない、便をしたら柄杓に2杯流すとか、そんなふうにルールを決めて、水を節約しました。それからは皆できれいにするようになりトイレも快適になりました」

赤十字防災セミナーで体験する『災害エスノグラフィー』とは?

「災害エスノグラフィー」では、災害体験談を読みながら、気づいた内容を分類して3色のマーカーで印をつけます。気づきを視覚化し、仲間と話し合うことで理解を深めます

今回紹介した体験談は、日赤の各都道府県支部で実施している「赤十字防災セミナー」の「災害エスノグラフィー」というカリキュラムの一部を編集したものです。「赤十字防災セミナー」では、災害の被害や避難生活などを具体的にイメージしながら、災害から命を守る方法を地域密着型で学びます。その中で「災害エスノグラフィー」は、実際に被災された方々の体験談を読み、災害を追体験しながら「自分が被災した場合」をより具体的に考え、地域の仲間と意見交換をすることによって気づきを深めます。

 一歩踏み込んで学習することで災害への備えは強固になります。「赤十字防災セミナー」の開催については、お住まいの日赤各都道府県支部までお問い合わせください。

この記事は赤十字NEWS 2019年9月号の掲載内容をオンライン用に編集したものです。
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