アフガニスタン赤新月社の活動を支えるユースボランティア

 日本赤十字社(以下、日赤)の行う国際活動は、災害や紛争時の救援活動にとどまらず、災害への備えや保健衛生環境の改善など、平時からの長期的な取組みにも力を入れています。その活動はすべて、現地の赤十字・赤新月社が実施主体であり、日頃から現地の人々に寄り添い、ニーズを把握しているからこそ、どんな時でも地域に根ざした活動を実施できることが赤十字の特色です。今回は日赤がアフガニスタンで支援する活動をご紹介します。

 アフガニスタンでは、1970年代から断続的に続く紛争によって、国内の政治、経済、社会インフラ、そして人々の生活は大きな打撃を受け、多数の難民も発生しました。また、近年では気候変動の影響と考えられる気象災害が深刻化しており、干ばつ、洪水、地滑り、雪崩などの自然災害によって被害を受ける人の数は、紛争で支援を必要とする人の3倍にのぼると言われています。

 こうした中、1934年に設立されたアフガニスタン赤新月社(以下、アフガン赤)は、国中のすべての地域に人道支援を届けることのできる数少ない団体です。それを可能にするのは、国内全34州に拠点を持つ支部とそこで働く約2,000人のスタッフ、そして、地域の人々のため積極的に活動する約3万人のボランティアの存在です。

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一軒一軒村の人びとを訪ねながら新型コロナの予防を促すアフガン赤ユースボランティア@IFRC

コロナ禍の活動からみえた確かな成果と大きな可能性

 日赤は、2016年から、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)を通じて、アフガン赤の活動を担う35歳以下のボランティア(ユースボランティア)の育成を継続的に支援してきました(過去の活動はこちら)。2020年度も、ユースボランティアによる防災活動や保健衛生活動などを計画していたところ、同国でも新型コロナウイルス感染症が蔓延しました。そこでアフガン赤は、コロナ禍においても重要なユースボランティアの活動の継続について、日赤や連盟と話し合いました。その結果、新型コロナに関する正しい情報を受け取れず、より困難な状況にある人びとをユースボランティアが訪問して、衛生用品の配付と知識の普及を行うことを決めました。

 活動を始めるにあたり、まずユースボランティアたちが、新型コロナに関する正しい知識と予防についての研修を受けました。ボランティア自身の感染症予防のため、研修は5~10人の少人数で行われ、マスクや消毒液等の衛生資材も配付されました。研修後、彼らは各村々を訪問し、国内避難民や遠隔地に暮らす人びと、密集した住環境に暮らす貧困世帯の人びとなどを対象に、各世帯あたり石けん5個を配付するとともに、手洗いなどの衛生知識を普及することで、新型コロナの感染予防に力を注ぎました。

 今回の取り組みでは初めて、ニーズ調査から各村での住民との対話、受益者の選定・把握、戸別訪問による感染症予防啓発と石けんの配付までの一連の活動を、ユースボランティアが主導し、管理して行われました。それは、彼らの長年の活動により培われた経験と自信、そして何よりボランティアたち自身の「人びとのいのちと健康を守りたい」という強い思いがあったからです。また、今回の活動を担ったボランティアのうち、約4割が女性でした。女性ボランティアの参加によって、文化的理由から男性では支援を届けられない女性の暮らす世帯にも訪問が可能となり、非常に大きな成果につながりました。アフガニスタンでは、女性が生まれ育った村の外で公に活動すること自体が一般的でない地域もありますが、アフガン赤の活動に参加する女性ボランティアが増えることで、同国での女性の自由な意思と権利を後押しする大きな可能性を持っています。

 日赤の支援事業を通じて、全34州で合計4,100人のユースボランティアが研修を受け、彼らを通じて、20州の33,972世帯(237,804人)に支援が届けられました。また、残りの14州ではイタリア赤十字社が支援することになり、全34州でユースボランティアによる新型コロナ対応の活動が展開されました。

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アフガン赤スタッフから事前研修を受けるユースボランティアたち@IFRC

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研修を終え、活動に向かうユースボランティア(首都カブールにて)@IFRC

引き続きアフガン赤とボランティアとともに

 2020年度をもって、アフガニスタンにおけるユースボランティアの育成支援は終了を迎えました。他方で日赤は、2020年7月から、干ばつや洪水など災害の影響を強く受ける同国の2つの州において、“地域のちから”を育むレジリエンス強化事業を開始しました(事業開始についての情報はこちら)。

 また、アフガン赤のユースボランティアは、自分たちの国のこと、取り組んでいることをを伝えるため、動画を作成して世界に発信しています。(日本語字幕入りの動画はこちら

 引き続き日赤は、アフガン赤とその活動を担うボランティアとともに、地域に根ざした活動を、一歩一歩進めていきます。

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