赤十字ボランティアが草の根で活動を続けるためには

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 日本赤十字社は2019年度、世界78ヵ国でプロジェクトを支援していますが、そのほぼすべての事業に、赤十字ボランティアが携わっていることをご存知でしょうか?彼らの活動範囲は聞き取り調査や保健・衛生活動、防災活動など多岐にわたり、事業の重要な役割を担っています。今号では、ルワンダの現地代表部でレジリエンス強化事業を管理する吉田拓代表(写真)より、赤十字ボランティアを巡るあれこれを教えてもらいました。

活動の成否を握るのはボランティア!?

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フィリピンの診療所で活動する地域保健ボランティアと日赤保健要員(左)©日本赤十字社

 プロジェクトの成否をはかる方法のひとつに、事業の終了時に行う評価があります。赤十字の場合、プロジェクトの中で養成されたボランティアの活動成果を調査する場合もあります。ただ、これが本当に難しい。途中で辞めてしまうボランティアがいて、活動が継続できなくなりそうになった、という苦い経験もあります。       

 私が2015年から2年間携わっていたフィリピンでの台風復興支援事業では、地域保健活動のボランティアの離任率が一年間で40%と高く、3年間のプロジェクト期間なのに、2年半で全員がいなくなる計算となり大変焦ったのを覚えています。

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畑で使う堆肥の作り方を指導するルワンダ赤十字社のボランティア(中央)© ルワンダ赤十字社

 当初は、未曾有の台風被害によって仕事を失った若者が「生きがい」を見いだせたらと、積極的に若い人達を登用しました。ところが、1人あたり約100世帯を訪問して支援すること、交通費が自己負担であること、等の活動方針が重荷となり、また地域の経済活動が復興してくると新たな職を得たりして、活動から離れてしまったんですね。こうした事情を把握した私たちは方針を変え、一般のボランティアに加えて、行政の診療所スタッフも保健ボランティアとして迎え入れ、保健活動を継続することが出来ました。診療所のスタッフにとっては、赤十字の地域保健活動は普段の業務の延長線上であり、さらに、研修を通して自身のスキルを向上させたり、赤十字というネットワークを得ることが出来たことが満足感につながったと思っています。

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 世界各国の赤十字ボランティアは1,000万人以上にのぼり、その一人一人が地域に根を張り、最も弱い立場にある人々のために活動しています。災害対策や疾病予防など地域の課題に取り組む場合、地域のニーズだけでなく、気候の変化や資源、人々の置かれた個別の状況を知っているのは、その地域の住民です。赤十字の活動は、地域住民の知識や経験、能力を引き出すこと、そして課題解決のためのきっかけづくりをすることです。そして、赤十字ボランティアの多くは、その地域の人々です。

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洪水被害のあった地域で救援活動にあたるインドネシアの防災ボランティア©インドネシア赤十字社

                       自身の仕事や学業、畑や家畜の世話、家のことで忙しい時間を縫ってボランティア活動に充てています。そんなボランティアが継続的にまた主体的に活動していくには、「満足感・達成感」がキーワードになります。イギリスのある調査[1]では、ボランティアを辞めた理由として、環境が変わって時間がなくなった、仕事を増やされた、継続を迫られた、等の「不満」が引き金となる場合が多いことが報告されています。一方で、ボランティアに対する感謝、尊敬する組織文化があった、組織に帰属意識を持っている、世の中を変えていると感じている、という実感を持っているボランティアは、活動を継続する傾向にあることも分かっています。

成果を継続するには・・・?

 全てのプロジェクトには終わりがありますが、地域の人々の生活は、日本からの支援が終了した後もずっと続いていきます。プロジェクトで改善された人々の生活や、新たに取り入れられた仕組みが長く続くためには、ボランティアによる活動の継続がとても重要な鍵になるのです。

 これまで多くのボランティアとともに事業を実施してきた中で大切だと思うことは、彼らの生活リズムの中で持っている技術や経験を生かすことです。ボランティア自身の力強い取組をしっかり支えていくのが私たちの仕事。ルワンダ赤十字社と一緒に知恵を絞っていきたいと思っています。

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¹(参考資料)https://nationalservice.gov/pdf/VIA/VIA_brief_retention.pdf

       https://www.ncvo.org.uk/policy-and-research/volunteering-policy/research/time-well-spent