治療現場で見た、血液製剤の力。そして製造する立場へ 【献血ハートフルストーリー】 vol.2

血液事業に携わる日赤職員、ボランティアさん、献血協力者などの人たちが、どのような思いで血液事業に取り組んでいるのかを紹介していきます。

ueda.jpg 私は製剤部で、献血していただいた血液を使って血液製剤を製造する業務に携わっています。例えば、白血球に起因する副作用の減少を目的とした白血球除去や、リンパ球が輸血を受けた患者の体内で攻撃することを防ぐための放射線照射によるリンパ球不活化などを行っています。輸血は、献血された血液をそのまま使用していると思っている方もいるかもしれません。しかし、輸血用の血液製剤はその名の通り「製剤=薬」であり、命を救うものであると同時に、他の薬と同じく安全・安心であることが大前提です。一方で、1人分の血液から製造できる血液製剤は限られているため、貴重な血液を、確実に医療現場に届けたいという思いで業務に取り組んでいます。

 私は、日赤に入職する前は病院の薬剤師でした。患者さんの治療のために血液製剤を使用する側であり、投与された患者さんの健康状態が改善され、命が救われる場面に立ち会うたびに、その効果に感銘を受けていました。だからこそ、患者さんを救う血液製剤を製造しているという意識を常に持って業務を行っています。血液製剤は、大量生産する工場のように原材料をひとつにまとめて製造することはできず、1人から提供された血液1バッグごとに作業を行います。そして、機械によるオートメーション製造の一般薬と違い、工程の細部まで人が携わっています。血液製剤は、原料を提供するのも人、製造するのも人という、たくさんの「人」の思いが込められた薬なのです。この製剤の現場は一部の血液センターでは見学が可能です。その工程を実際に見ていただき、献血のその先への関心を持っていただけるとありがたいですね。