大分県支部の救急法指導員がラオスで救急法支援を行いました

ラオス人民民主共和国はインドシナ半島の内陸に位置し、約744万人が暮らす国です。インフラ整備が十分ではない地域も多く、特に地方では雨季に洪水や地滑りが頻発し、2022年8月には北部ウドムサイ県で大規模な豪雨災害が発生しました。また、都市部では経済発展に伴い交通量が増え、スピード超過や飲酒運転による深刻な交通事故が多発しています。
こうした背景を踏まえ、日本赤十字社(日赤)は2019年からラオス赤十字社(ラオス赤)が進める救急法普及事業を支援し、指導員の養成や資器材の整備を行ってきました。2025年9月からは第3次支援が始まり、今回の出張では救急法講習のモニタリングや指導員への技術助言、教材および講習運営のフィードバックを実施し、ラオス赤の普及体制強化を目的とした活動を行いました。心肺蘇生、止血、骨折の手当など、いざという時に命を守るための知識と技術の普及を目指しています。

■ 地方学校での救急法講習をモニタリングしました
2026年2月末、ビエンチャン市内のビエンチャン・ホーチミン友愛高校で行われた救急法講習を見学しました。
講習には16名の生徒が参加し、「反応の確認」「心肺蘇生」「気道異物除去」「骨折の手当」「搬送」など、日赤の講習内容と共通するものが多く含まれていました。一方で、デング熱やマラリアに関する虫刺され、ヘビ咬傷や狂犬病など、ラオス特有のリスクに対応した内容が取り入れられている点も特徴でした。
生徒からは「救急法を学んで社会に貢献したい。家族の命を守るためにも学びたい」
といった前向きな声が聞かれました。
また、教師からは「学校には保健室がなく、ケガがあった際は教職員や生徒が自分たちで対応する必要があるため、救急法を学べるのはとてもありがたい」
との声が寄せられました。

■ 日赤指導員による講習フィードバック
講習終了後、日赤指導員がラオス赤に対し、講習の改善につながるフィードバックを行いました。
● 実技における安全管理
搬送や窒息時の手当など、傷病者が不安を感じやすい実技項目は安全管理が特に重要であることを共有しました。ラオス赤では安全面に十分配慮して講習を実施しており、これまで事故は発生していません。
● 指導体制
当日は受講者16名に対し指導者13名という、ほぼマンツーマンに近い非常に手厚い体制が整っていました。一人ひとりに合わせた丁寧な指導が行われていたほか、指導者同士が講習中に意見交換を行い、気づきをすぐ指導に反映するなど、現場の改善サイクルが機能していました。
一方で、この体制をすべての講習で再現することは難しいため、今後は各支部の状況に応じた持続可能な指導体制の構築が求められます。
● 教材について
今回使用された改訂版の教本は、分かりやすい言葉遣いと豊富な写真で構成され、視覚的にも理解しやすい内容となっていました。完成した教本を用いて講習が実施できたことは、事業における大きな成果です。
今後は、スマートフォンで閲覧できるデジタル版教本や、講習動画のYouTube公開など、デジタル教材の活用が期待されます。特に子どもや若年層は動画やイラストの方が理解しやすいため、教材の多様化はさらなる学習効果向上につながります。

■ 赤十字ボランティア救急隊・国家血液センターを訪問しました
ラオスでは、公的な救急隊の利用に費用がかかるため、多くの市民が無料で対応するNGOや赤十字ボランティアの救急隊に頼っています。救急隊ごとに通報番号が異なるため、日本の119番のように国内で番号が統一されていない点も課題です。
ラオス赤のボランティア救急隊は24時間体制・無償で救急対応を行っていますが、日当や食事の支給がないほか、救急車の多くが海外赤十字社からの寄贈で、故障時の修理費が確保できず車両数が限られるなど、厳しい運営状況にあります。
また、ラオス赤十字国家血液センターも訪問し、血液事業に関する意見交換を行いました。センターにはリクライニングシートや軽食提供など、献血者が快適に過ごせる環境が整っており、ラオス政府が血液事業を国家的な重要施策として位置づけ、力を入れて取り組んでいることがうかがえました。

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