• Photo : Wataru Kitao
  • illust : naohiga
  • text : Kana Umehara
  • ハナコラボメンバーと学ぶ!
    今日からできる、こどもとの
    安全なくらしのための
    6つのtips。

    公園の石やどんぐりを口にいれてしまったり、高いテーブルの上から思い切りジャンプしたり…。こどもたちとの毎日は「なんでそんなことが!?」の連続。万が一に備えて知っておきたいのが、日本赤十字社が広める「幼児安全法」。乳幼児期に起こりやすい事故の予防とその手当て、かかりやすい病気と発熱・けいれんなどの症状に対する手当てなどの知識と技術を教えてくれるものだ。今回は、ハナコラボメンバーの藤川由佳さんと共に、日本赤十字社の笠井樹さんに話を伺いました。

    のびのび、安心して過ごしてほしい。そんな気持ちを叶えるには、“ちょっとした工夫”が大事。

    お話を伺ったかた

    左:笠井樹さん

    日本赤十字社 事業局 パートナーシップ推進部 会員課所属。「幼児安全法」の講習なども担当。自身も2歳と6歳の子育て中。

    右:藤川由佳さん

    ハナコラボ パートナー。2歳と0歳の双子を育てる3児のママ。美容系情報に精通。

    〈家の中編〉転倒や誤飲、溺水…家の中で安全に過ごすには?

    藤川由佳さん(以下、藤川) 先日も2歳の娘がキッチンに設置しているベビーゲートをよじ登って、足を滑らせて頭から床に落ちてしまったんです。名前を呼びかけても意識が朦朧としていて返事がなくて、とても焦りました。そういう咄嗟のときに、どうすべきかが分かりません。救急車を呼べばいいのか、それともしばらく様子をみたほうがいいのか。その時は、ちょうど在宅勤務中の夫もいたので、こどもの様子をみつつ相談をして、家で安静にさせるという選択をとりました。娘はその後、ケロッと元気で大事には至らずよかったのですが…。

    笠井樹さん(以下、笠井) 何事もなくてよかったです。事故はたいてい突然に起こりますから、そのときには「冷静に焦る」ことが大事です。真逆のことを言っているようですが、こどもに何らかの事故や症状が起きたときに、パニックにならないのは親として難しい。でも、どう対処すればいいのかという判断基準を持っていると「焦る」けれど「冷静」でいられると思います。「幼児安全法」は、その冷静さを保つために知っておきたいヒントやアクションがまとめられています。

    藤川 ぜひ、知りたいです!

    「幼児安全法」の講習で使用されるテキストがこちら。さまざまなシチュエーションで起こる危機と対処法がわかりやすく記される。

    笠井 「幼児安全法」で伝えることができるのは、「予防の大切さ」と「悪化の防止」、「苦痛の軽減」です。まずは病気やケガがないにこしたことはない。でもいざそうなってしまったら、私を含めほとんどの親は医者ではありませんから、怪我や病気を治すことはできませんよね。親にまずできることは、病院で診察を受けるまで、できるだけ悪化させずにいい状態で引き渡すことができるか。そして引き渡すまでの間、こどもたちが痛く苦しくないように応急手当てできるかなんです。 先ほどの事例で言えば、まずは観察が大事です。藤川さんは声がけをして、様子をきちんとみて判断されていて、すばらしいなと感じました。咄嗟の判断に迷うようなら、子ども医療電話相談事業の「♯8000」を利用するのも一つの手段。電話口で医師や看護師の方が対応してくれるので正しい対処のヒントをくれるはずです。「♯8000」は電話帳のお気に入りやよく使う番号に登録しておくと便利です。ひとりで焦らず、そして臆せずに第三者に相談できる環境を作ることが、まず安全な毎日の第一歩になると思います。

    藤川 「♯8000」の存在は知っていましたが、今日のお話を聞いてなかったら咄嗟にその番号は出なかったかもしれません。スマホに登録しておこうと思います。

    笠井 「幼児安全法」では、意識障害・呼吸停止・心停止・窒息(気道閉塞)、大出血などは、即時に「119」番をして手当てしてくださいね、とお伝えしています。そうそうないと思われるかもしれませんが、お子さんの家の中の事故はとても多いんです。

    藤川 窒息とまではいかないですが、スパゲッティがうまくすすれずに喉につまってゴホゴホしてしまう…なんてことはよくあることだと思います。

    笠井 誤飲や誤嚥は焦りますよね。こどもの口ってどれくらいの大きさのものが入っちゃうかご存知ですか? 誤飲チェッカーというものがあるのですが、だいたい直径が39mmくらいです。一般的なトイレットペーパーの芯を想像していただくとわかりやすいと思います。芯の穴を通るものは、こどもが口に入れてしまい誤飲する可能性や、それが気道に詰まって窒息する可能性があるということです。

    トイレットペーパーの芯を通るものは、こどもの喉にスポっとはまったり、誤飲してしまったりするサイズと心得て。

    藤川 小さいおもちゃのパーツや、プチトマトなども詰まる可能性があるということですね。怖いです。

    笠井 喉になにかものがつまってしまったら、背中を強く叩く背部叩打法(はいぶこうだほう)が有効です。ただ、喉になにか異物が詰まると本当に声が出せなくなり、こどもたちの状態に気づけない…という事例も多い。窒息したときに、ボディランゲージで伝える「チョークサイン」というものがありますが、普段からこどもたちに“喉に何か詰まって苦しいときは、こうやって伝えてね”という話を事前に伝えておくと、いざというときに見逃してしまうという可能性を下げられると思います。

    藤川 なるほど、普段から決めておくのが最大の予防なのですね。

    「本当に苦しいときは声が出ないことも。サインを事前に決めておきましょう」

    笠井 もうひとつ、家の中で注意が必要なのが水のある場所です。溺死する事故は、そのほとんどが海や川、プールで起きていると思われるかもしれませんが、実はこどもたちの溺水事故は家の中、特に浴槽でも多く起きています、幼児期は口と鼻が塞がってしまうと…例えばコップの水くらいの量があれば、あっという間に呼吸ができなくなってしまうんです。

    藤川 わかります。お風呂に入っているとき、私がシャンプーをしている間に娘が浴槽で足を滑らせて溺れかけたことがありました。

    笠井 お風呂だったら、こどもと入るときにはあえて水位を低めに設定しておくと、予防になります。もし溺れたら、体を引き上げることはもちろん、すぐにお風呂の栓を抜く。栓を抜けば水位が下がりますから。水が溜まっていなければ溺れることはないので、まずはこどもが近寄りそうな場所に水を溜めておくことをしないことです。トイレや洗濯機、洗面所でつけ置き洗いをする…など水を使う場所には、こどもがひとりで近づくことがないように目を配ること。防災などの観点からお風呂に水を溜めているご家庭もあるかもしれませんが、こどもは入ろうとする以前に、ちょっとのぞくだけでも転落してしまう可能性がある。それを念頭に置いて家の水まわりをもう一度チェックしなおしてみてほしいです。

    家の中を安全にすごす3つのまとめ

    ①なにかが起こる前の予防がまず大事:こどもの年齢ごとに起きやすい事故を知っておく。すぐかけられるようにスマホに「♯8000」を登録。言葉を発せられないときにする「サイン」を決めておく。水まわりの安全や手の届く場所に誤飲しそうなものがないかチェックしておく。

    ②緊急事態には「冷静に焦る」こと:焦ってしまう事態に陥っても、どう行動するべきかを知っていると冷静さを保つことができる。「幼児安全法」の講習教本を読む、YOUTUBEをみるなどしておくと安心。

    ③些細な「変化」をみつけたら即行動:様子をみて事態が悪化するよりも、医療機関に相談、診断してもらって安心できることを優先しよう。

    〈おでかけ編〉身近にあるものを利用しつつ、“安心感”を与える。

    藤川 外にお出かけしたときにも、危ないと思うことがたくさんあります。急に走り出して道に飛び出したり、公園で転んだり…。

    笠井 こどもに走るな、じっとしていろというのは無理な話。公園では、バスケットボールやサッカーのレフェリーになった気分で、どの位置ならこどもたちの行動がすべて把握できるか意識して場所取りし、常に目を離さないようにすることも大事です。それでもケガをすることはもちろんあるので、いつも持ち歩いているものを活かして、先ほど言った「悪化の防止」、「苦痛の軽減」をするといいと思います。

    藤川 どんなものが使えるのでしょう?

    笠井 例えばキズの手当てなら、清潔なハンカチは包帯や絆創膏の代わりになります。まずは雑菌が入らないよう傷口を洗ってきれいにしてから、傷口をぎゅっと押さえて圧迫します。その後、しっかり結んで、擦れたり動いたりしないように固定をします。この「洗浄」「圧迫」「固定(きずの安静)」が大事なステップです。

    清潔なハンカチを用意。角を何度かたたみ、細長い状態にしたら…(※実際の手当ての際は、清潔さを保つため、あまりベタベタ触らない&空中で折ることを意識して)

    患部に布をあてる。これは絆創膏の「ガーゼ」の役割。

    その上から、反対側の部分をクロスするようにあて、圧迫する。これが絆創膏の「テープ」の役割を果たす。

    笠井 また、コンビニなどのビニール袋も側面を破れば三角巾のように使えますし、ハンカチやストッキングを包帯のようにして頭に巻き、手当てする方法などもあります。

    ビニール袋の片側の側面を割いて…

    割いた側の取っ手部分に首を通せば、腕を吊ることができる!

    藤川 血が出ていると焦ってしまいそうです…。

    笠井 日常のよくあるケガは先ほどのような手当てができれば心配することはありませんが、一度に大量の血液が失われると命にかかわると言われています。私のような大人の男性なら2リットル程度がその量にあたりますが、例えば体重が6kg程度のこどもの場合、牛乳瓶1本分の血が出ただけで、かなり危ない状態だと思ったほうがいい。

    藤川 なるほど、知りませんでした。

    笠井 理屈を知っておけば、咄嗟のときに“まず止血をしないと”と動くことができますよね。患部を強く圧迫するだけでは止血できないような大出血の場合、どんなものを使ってもいいので、お父さんなら、身に着けているネクタイやベルトを使って締め上げるのもあり。とにかくお医者さんに診てもらうまで、できるだけ状態を悪化させず、苦痛を感じさせないでおくことができるのかを第一に考えてください。 また、このときに意外に大事なのが声がけです。「大丈夫だよ」、「痛くないよ」と、両親や周囲の大人が安心感を与えてあげることで、こどもたちの気持ちはだいぶ楽になるものなんです。大人がパニックになっていると、その不安がこどもにも伝わって、状況が悪化するきっかけにも。内心ヒヤヒヤしていても、とにかく「大丈夫だよ」と声がけしてみてください。これは誰にでもできる手当てです。

    藤川 基本の対処法を知っておくことがまず大事なんだと気づけました。そして、身近にあるものは意外と使えるというのも目からウロコ!絆創膏や包帯など専用のものがないとダメだと頭でっかちに思っていましたが、事故は突然起きるもの、その場で臨機応変に対応することが大事なんだと気づけました。そのためにも、まずは基礎知識をもっときちんと知っておきたいなと思いました。

    「例えば指から血が出ていたら、まずは高い位置に手を挙げることで苦痛(痛み)の軽減につながることも」(笠井さん)

    家の外を安全にすごす3つのまとめ

    ①外ではできるだけこどもから目を離さない:こどもたちが自由に遊ぶ公園では、目がすみずみまで行き届く場所取りを心がける。ちょっとスマホを見ていたら、も危ない。

    ②いざというときはいつも持ち歩いているものを活かす:ハンカチやコンビニのビニール袋、ストッキングなどで応急手当てを。どういう使い方ができるのか、事前に確認をしておくとベター。

    ③出血したときの基本の対処法を知っておく:基本は「洗浄」「圧迫」「安静」。出血した箇所はまず、水で洗い流すなど清潔にしてから手当てをすること。

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