• 写真・大内 カオリ
  • グラフイラスト・王 悠夏
  • 文・田代わこ

確実にやってくる親や自分の老後…「健やかな老後」を過ごすために今からできること。

アラサー女性にとって、老後はまだ遠い未来の話? そうだとしても、父母や祖父母は私たちよりも確実に老後が近づいています。もし親が急に倒れたり、ひとりで暮らせなくなったら…。そんな気になる身内の「健やかな老後」について、anan総研リサーチを実施。その結果についてanan総研メンバー3名がリアルに語り合いました。大切な人、そして自分自身も健やかに年齢を重ねるために備えるべきことって?

anan総研のメンバー紹介!

左から、上田ふうかさん(anan総研No.376)、市岡彩花さん(anan総研No.147)、深沢あゆこさん(anan総研No.193)

今回、座談会に参加したのは、anan総研のメンバーとして活動している上田ふうかさんと市岡彩花さん、深沢あゆこさんの3名。
事前に、anan読者200人超で作る「anan総研」で、「家族の健やかな老後」についてアンケートを実施。その結果をもとに、メンバーたちに語っていただきました!

寝たきりになったら? 介護が必要になったら? 家族のために何を準備しておくべき?

家族の健やかな老後のために何か考えていることはありますか?

――「少しだけ」の人含め、考えている人が半数以上ですが、3人はどうですか?

市岡 みんなちゃんと考えているんですね。意外な結果に驚き。私は逆に全然考えていなかったです…。実は一昨年、父親が脳梗塞になり、突然倒れました。左手と左脚が使えなくて、独り暮らしなのに寝たきりになってしまったので、私が介護をすることになり…。急にそんな状態になって、いろいろ考えざるを得なくなって、けっこう大変でした。

上田 私自身はまだ何も準備していないのですが、母がリハビリセンターで働き、介護の資格も取得しています。母は、自分が寝たきりになったら大変だから、と備えを自分でするようになったので、私も考えていきたいと思っているところです。

深沢 私は姉と二人姉妹なので、自分の両親については話し合って役割を決めています。姉は、親の近くに住んで運転もできるので、親を見守る役目をしてくれています。私は働いているので、お金の面でサポートを。ということまでは決まっているんですが、じゃあ具体的に何を準備しておけばいいのかな、というところまでは…。

家族や自分の健やかな老後のために今何が知りたいですか?

市岡 そうそう、やはり老後の資金は気になります。でも私が気になるのは食生活。健康なカラダでいられるための栄養素のことなど、絶対知っておいたほうがいいと思っています。不摂生をしていた父が倒れる前までは、老後は自分にはまだ遠い先のことで、具体的には少しも考えていなかったから…。

上田 私は以前、足首をけがしたことがあり、3か月歩けない状態でした。20代後半でも足をけがしたら動くのが大変なのに、60~70代になるとけがもしやすくなるし、そのときに動けるのかなと思うとすごく不安です。今からけがの予防知識をつけたいと思います。

深沢 私の家族は、両親や祖父母も健康長寿の家系なので、誰も介護経験がありません。99歳の祖父は施設に入っていますが、まだ歩けるしジャンクフードもがっつり食べるし(笑)。でも「健康寿命」を長く保つための知識は身につけておきたいですね。

――深沢さんの話にあった「健康寿命」、3人はどんなイメージがありますか?

深沢 私の考える「健康寿命」は、自分がしたいことができるということ。母は料理が大好きなので、施設に入るとしてもキッチン付きの部屋がいいと言ってます。本人の生活の根幹に関わる大切な部分は続けられるような環境が整っているのが大事かなと思います。

上田 私はあまり聞いたことがなくて、身近な言葉ではない気がします。イメージとしては、自分で稼いだお金で自分のカラダのケアができて、幸せだなと思える時間を過ごせることかな。

市岡 私は親の介護をしているので、健康が本当に大事だなと30歳を過ぎてから気づきました。20代のときは、「健康寿命」と寿命の違いなんて考えたことがなかったです。具体的に「健康寿命」ってどういうことを指すんだろう?

日本赤十字社の佐藤さんに教えてもらいました!

日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 参事 佐藤和美さん

今回お話を伺ったのは、日本赤十字社の佐藤和美さん。家族が健やかな老後を過ごすための対策について、教えていただきました。

佐藤さん まずは「健康寿命」についてお話しますね。「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。最期まで、自分でやりたいことを好きなようにやれるのが一番いいのですが、80歳以上の寿命があっても、70歳を越えたあたりからカラダのいたるところに不具合が出てきて、思うような生活ができなくなることが多いのです。
例えば、前期高齢者(65~74歳)は、高血圧やメタボリックシンドローム、生活習慣病の悪化に伴う疾患で介護が必要になるケースがあります。75歳以上の後期高齢者になると、高齢による心身の衰弱が顕著になる人が多くなります。年齢とともに筋力や足腰が弱くなり、動くのもおっくうになって支援が必要になる。このような状態を「フレイル」といいます。

加齢で心身が疲れやすい…、健康と要介護の間の「フレイル」

佐藤さん 「フレイル」とは、高齢者の虚弱や脆弱を表す言葉です。高齢になり、だんだん衰えていきますが、まだ大丈夫だろうと思っていると、気がついたときには動けなくなってしまうのです。フレイルの前の段階で「プレフレイル」の時期があります。何となく元気がない、出かける回数が減った、食が細くなった、という段階で周りが気がつくことができれば、その原因を探すこともできます。

市岡 「フレイル」って言葉、はじめて知りました。介護になる前に予防するのは大切ですね。

©日本赤十字社

佐藤さん 例えば、玄関の上がり框の段差が怖くなってきたら台を置いたり、お風呂に入るとき危ないと感じるようになれば手すりをつけたり。家の中を動きやすいように変えると、フレイル予防になります。深沢さんの場合、料理が好きなお母様のために、座って料理が作れるように、将来キッチンを改装するのもいいですよね。

深沢 そうですね。母は年老いても料理は作り続けたいと言っていますから。

佐藤さん 食事も、前期高齢者はメタボ予防のためカロリーなどは控えめのほうがいいです。でも、後期高齢者になったら、あっさりしたものばかり食べているとたんぱく質不足で衰弱が進むので、むしろ食べたいものを食べてもらいたいです。楽しいと食が進むので、家族で一緒に食べることも大切です。
また動くことも大切です。転んでしまうと大変と考えて、外に出るのはやめようと閉じこもる人もいますが、人間のカラダは動かさないと動けなくなります。散歩でもラジオ体操でもいい。外に出て、人とつながることも必要です。

深沢 90歳の祖母は習い事をたくさんしていて、パン教室にも行き、つくったパンを孫などに配っています。もらった人の反応が嬉しいらしく、そのつながりが祖母の健康を支えている気がします。

佐藤さん いいですね。これからの高齢者は、元気でやりたいことをやるのが大事だと思います。最後に、口腔ケアも大切です。80歳までに自分の歯を20本残す「8020運動」というものを日本歯科医師会が推進していますが、自分の歯でしっかりと嚙んで食べるのが栄養にもつながりますし、生きる自信にもつながるのです。歯医者に行って定期的に歯垢をとり、歯槽膿漏予防をするのが大切ですから、家族が声をかけて歯医者に行ってもらうようにするといいですね。

市岡 それって私たちが今からでもできることですよね!

上田 私の祖父母は小さいころに亡くなり、周りに高齢者もいないので、老後は想像しづらい状態でした。具体的なお話を聞けて勉強になります。

老後を自身の力で生きるための「健康生活支援講習」って?

佐藤さん 日本赤十字社の「健康生活支援講習」では、今お話したフレイル予防のことなどを詳しく教えています。お年を召してから受けに来られる人もいるし、両親が心配な人、介護の勉強をしたいという若い人たちも来ています。知っていると役に立つ知識が学べます。

上田 私の父は本当にガンコな人で、「自分は健康だ」と言い張っています。母の言うことも聞かないので、今回ご紹介いただいた「健康生活支援講習」を父にすすめてみます。父が自分で専門家から話を聞いて、自分自身で気づいて予防してもらえたらいいなと思いました。

市岡 父が倒れる前に知りたかったです。父は炭水化物やお酒が好きで食生活が良くなかったので、予防として知っているだけでも大事だなと思いました。

佐藤さん いつまでも元気で「健康寿命」をのばすことが、ご本人の苦痛予防だけでなくご家族の苦痛予防にもなります。上田さんの言うとおり、これからの時代は年をとっても、周りの人に支援してもらうのではなく、自分自身でできることはすべてやる、という考え方が大切になってくると思います。

深沢 実際にどこで講習を受けられるのですか?

佐藤さん 日本赤十字社の各都道府県支部で企画して実施しています。企業や自治体、地域などから依頼があると、指導員を派遣することもできます。東京ですと、新大久保にある東京都支部などで実施されていますので、日本赤十字社のウェブサイトから検索して、ぜひ受講してみてください。

深沢 近い将来の親の老後のこと、そしてまだ先かもしれないけれど自分のことも、知識や備えを少しでももっておくと何かあった時に冷静でいられますよね。家族と自分の明るい将来のために、まずは「健康生活支援講習」がどこで受けられるのか調べてみます!

【お話を伺ったかた】

日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 参事 佐藤和美さん

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