救護班要員が集結!令和7年度 第4ブロック赤十字救護班研修会を実施しました(前編)

 日本赤十字社では、大規模災害に備え、救護班要員を対象とした研修を毎年行っています。今回は令和7年度第4ブロック赤十字救護班研修会として、8月23日(土)・24日(日)の2日間、京都第一赤十字病院を会場に実施しました。京都府をはじめ、近畿2府4県の赤十字病院や支部から医師・看護師・薬剤師・主事など約50名、スタッフとして約70名が集い、災害時に迅速かつ的確な救護活動を行うための知識と技術を磨きました。

 ここでは、1日目の様子をご紹介します!

セッション1 全国でつながる日赤の災害救護活動

 開会後は「日本赤十字社の救護活動と体制の講義」をテーマに、研修の幕が開きました。
 災害が起きた際、各ブロックの病院や支部がどのように連携して災害に立ち向かうのかについて仕組みを学び、日赤という大きなネットワークの一員であることを実感するとともに、その責任も痛感させられるセッションとなりました。

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新セッション 救護員の心構え

 このセッションでは、救護員としての心構えについて「何が大切か」を話し合いました。報・連・相やチームワークといった基本的なマナーを忘れないこと、現地の特性を理解したうえで支援体制を整えることなど、様々な目線からの意見が飛び交いました。
 被災者に寄り添い、冷静かつ安全に行動する大切さが語られると、会場は自然と引き締まった雰囲気に。「自分が現場に立ったらどう振る舞えるだろう」と想像し、背筋が伸びる思いがしました。

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セッション3 災害現場で欠かせない“安全の視点”

 災害現場での安全管理をテーマに学びました。「3S(自分・現場・生存者)」の3つの視点を意識し、危険を分析して対策を立てる演習に挑戦。
 「リスクマトリックス分析」を用いて、起こり得る危険を「起こりやすさ」と「影響の大きさ」で整理し、重点的に取り組むべき対策を考えました。情報を整理し、緩和策や予防策を検討する中で、「まず自分が無事でいること」の大切さを改めて実感しました。

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セッション4 水害時の支援と受援のポイントを学ぶ

 大規模水害の特徴や赤十字ができる支援について学びました。水害は予測できる部分もある一方で、受援の判断が遅れがちになる難しさがあるそうです。グループワークでは「もし自分の地域で起きたら…」と考えながら、支援と受援の大切さを体感する時間になりました。

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セッション5 新しいEMISを操作 災害時の情報共有を体験

 EMIS(イーミス)は、被災地の救護班や医療体制の状況を収集・共有できる国主導のシステムで、今年4月1日から新しくなりました。新しいシステムを操作するのは多くの人が初めてで、指導スタッフの手を借りながら入力の方法を学びました。災害はいつ起こるかわからないからこそ、日ごろから慣れておき、有事に備える大切さを実感しました。

セッション6 巡回診療と情報共有 現場で活きるJ-SPEED

 セッション6では、災害時に活用する「災害診療記録」と「J-SPEED(日報)」の役割を学びました。カルテで患者情報を引き継ぎ、J-SPEEDで全体像を共有することで、被災地全体の医療ニーズを把握できます。実習では実際に記録を取り、データが災害医療の調整に直結することを体感しました。

 災害時には1日に複数の救護所を巡回し診療を行うことも多く、実際、令和6年能登半島地震での救護活動では1日5~6か所を回ったというお話も参加者から聞くことができました。膨大なデータ入力に対応するため、移動中の車内でJ-SPEEDにまとめて記録したという経験談も共有され、現場の工夫を感じました。

👇京都府支部の令和6年能登半島地震災害救護活動については...

職種別実習

 1日目の最後の実習は職種ごとに分かれて実習を行います。
 医師・看護師は傷病者を振り分ける二次トリアージを行い、真剣な眼差しで判断を下しました。

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 一方、主事はクロノロジーの記録演習に挑戦。

 クロノロジーとは、災害対応における「誰が」「いつ」「何を」「誰に伝えたか」を時系列で記録する情報管理の柱です。活動のすべての情報を時系列で整理する手法で、議事録ではなくリアルタイムに動く実践記録として重要な役割を果たします。

画像 南海トラフ地震が高知県で発生したという想定のもと、クロノロジーを記録していきます

実際に書いてみると………すごく難しいです!!
次々と流れてくる情報を正確に聞き取り、瞬時に要点をまとめて記録するのが想像以上に難しく、耳と手をフル回転させる実践となりました。

画像 集中してクロノロジーを記録する参加者

 1日目のプログラムはこれにてすべて終了です!
 参加者は1日を通じて災害救護の基本を体感し、仲間とともに学び合う中で意識を高めました。2日目では、さらに実践的な学びに挑みます。