『令和6年能登半島地震から1年 ~日赤京都府支部の災害救護活動~』
令和6年1月1日に石川県能登地方を中心に発生した最大震度7の地震から1年。
日本赤十字社京都府支部では、発災直後から職員が参集し、情報取集や救護班等の派遣調整にあたりました。
1月4日に京都第一赤十字病院と京都第二赤十字病院のDMAT(災害派遣医療チーム)が出動して以降、災害医療コーディネートチーム4班、救護班11班、こころのケアチーム2班など合計161名の救護員を派遣し、輪島市を中心に巡回診療やこころのケア等の活動を行いました。
その活動の一部を写真とともにご紹介いたします。
【救護班の活動】
①救護所での診療・避難所の巡回診療
〇避難所からの緊急搬送
避難所に避難をされていた90代女性の体調が悪化、直ちに搬送可能な救急車が付近になく、京都府支部第1救護班が緊急搬送の対応を行いました。
〇感染症対応
当時、地下の水道管の損傷による深刻な断水の影響により衛生環境が悪化しており、多くの避難所において感染症の対応が行われました。京都府支部救護班においても、医師により感染症の検査や診療を行いました。
〇避難所アセスメント
山間部に点在している避難所を訪問し、代表の方にお話を伺うことで、各避難所の情報を収集し、現地で必要な支援の優先順位を決定します。
〇薬剤師による薬の処方
各救護班への薬剤師の帯同により、被災者の方が普段飲んでおられるお薬についても、代替のものを準備することが可能です。お薬手帳を持たずに避難され、薬の名前が分からないという方に対しても、薬剤師が丁寧にヒアリングし適切なお薬を処方しました。
また、長い時間同じ姿勢で座っていることなどによって引き起こされる「エコノミークラス症候群」の予防のため、一緒に足の体操をしたり、続く断水による感染症拡大の予防のため、アルコール消毒でできる手洗い指導なども行いました。
②こころのケア
日赤のこころのケア活動は、必要な研修を受講したこころのケア要員が、被災者の健康や身近な悩みなどをお聞きする心理的な支援や、ハンドケアや足浴などのリラクゼーション、子どもの遊び場の設置、ストレス対処法の広報活動などの社会的な支援を行う活動です。必要に応じて、専門的な支援への橋渡しを行うことも重要な役割となります。
輪島市役所や輪島病院の建物内に、こころを落ち着けてお話できる空間「ホッとルーム」を設け、日赤の救護班員がその運営を行いました。輪島市役所や輪島病院の職員の9割は、ご自身が被災しながらも毎日働かれている方です。現地で活動する支援者もまた被災者であるということを胸に刻み活動しました。
【ボランティアの活動】
京都府支部内では、赤十字レスキューチェーン京都という災害救護を専門にする奉仕団による活動も行われました。発災後すぐの1月5日に支部に駆け付け、救護班の持参する資機材の準備や搬入をお手伝いいただきました。
赤十字レスキューチェーン京都は、1995年の阪神淡路大震災をきっかけに立ち上げられた奉仕団です。
「どんなに熱い気持ちを持っていても個人でできることは限られている」と、当時の経験を経て、京都府下の災害関係の赤十字奉仕団が「ひとつの団体」となって動けるようにと結成されました。
災害救護活動では、現地の負担になることなく活動するため、食事や生活に必要な物資等を全て持参します。「現地に行くことができなくても、出来る場所でできることをしたい」と、それぞれの思いをもって活動してくださいました。
<おわりに>
これらの活動は全て、皆様からご寄付いただいた活動資金により支えられています。
「人間を救うのは、人間だ」
これからも日本赤十字社京都府支部は、災害救護を始めとした様々な赤十字運動を展開してまいります。
今後とも、皆様のご支援・ご協力のほどよろしくお願いいたします。