モンゴル赤十字社保健支援事業への職員派遣 救急法指導員養成講習 (ToT: Training of Trainers)

2025年8月17日(日)~23日(土)、日本赤十字社が実施するモンゴル赤十字社保健支援事業の一環として、救急法指導員養成講習(ToT: Training of Trainers)に参加しました。本講習は5日間にわたり、現地職員を対象に、救急法の基礎から応用までを網羅した内容で構成されており、参加者が今後指導者として活躍できるよう、理論と実技の両面から支援を行いました。

講習では、傷病者の観察、保温、体位変換、心肺蘇生(CPR)とAEDの操作、気道異物除去、止血、傷の手当(包帯)、骨折の手当(固定)、搬送、そして救護シミュレーションなど、幅広い内容を取り扱いました。受講生は非常に熱心に取り組み、実技・知識ともに高いレベルで習得しており、指導者としての資質を十分に備えていることが感じられました。

最終日には、これまで学んだ内容をグループごとに発表する「デモ実習」を実施しました。各グループは限られた準備時間の中で、パワーポイントを活用したり、紙に大きく板書したりと、創意工夫を凝らした講習を展開しており、その内容はどれも質が高く、受講生の理解度と指導力の高さを実感することができました。私たち指導者にとっても、現地の工夫や熱意から多くの学びを得る貴重な時間となりました。
言語の違いや文化的背景の違いによるコミュニケーションの難しさはありましたが、それを乗り越えて、参加者同士の絆が深まったことは本講習の大きな成果です。モンゴルの人々が持つ人懐っこさや優しさ、そして学びに対する真摯な姿勢は、今後の救急法普及活動を通じて全国に広がっていくことでしょう。

救急法は単なる知識や技術の伝達ではなく、「優しさの普及」であると私は考えています。人の命を守る行動の根底には、他者を思いやる心があります。その心を育み、広げていくことこそが、赤十字の使命であり、私たちの活動の本質です。

今後も日本赤十字社はモンゴル赤十字社と連携し、持続可能な支援体制の構築に努めていく必要があると思慮します。現地のニーズに寄り添いながら、資機材の整備や指導体制の強化を図り、より実践的で効果的な支援を展開することが大事です。

この事業は、皆さまからいただく赤十字会費によって支えられています。日本赤十字社の活動が今後も継続できるよう、赤十字の理念と活動への理解者をさらに増やし、国際的な連携を通じて「いのちを守る力」を広げていきたいと強く願っています。

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事務総長と講師とスタッフ

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日赤の教本をモンゴル語に翻訳

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宿泊用のゲル

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ゲルの中は快適

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気道異物除去(背部叩打法)

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AEDの操作方法

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止血帯

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参加者全員と記念撮影

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モンゴル伝統の羊焼き料理

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遊牧民の女性と乗馬しモンゴル文化に触れる