生まれた場所を訪ねて ~「赤十字希望の家」が結んだ43年越しの再会~

2026年7月9日(木)、ノルウェー在住のトラン・カク・ダイさんご家族が日本赤十字社愛知県支部を訪問されました。



今回の訪問は、ダイさんが自身のルーツをたどることを目的として実現したもので、その背景には、かつて日本赤十字社愛知県支部が運営していた「赤十字希望の家」があります。

ベトナム難民を支えた「赤十字希望の家」

「赤十字希望の家」は、国際救援活動の一環として、日本に上陸したベトナム難民を一時的に受け入れるための施設です。


1975年4月のベトナム戦争終結後、新たな社会主義体制下での生活を望まない多くの人々が自由を求めて国外へ脱出しました。その一部は日本にもたどり着き、日本赤十字社は人道的見地から、難民の方々を一時的に受け入れ、生活支援を行いました。


愛知県瀬戸市に1980年6月1日に開設された「赤十字希望の家」は、約11年間にわたり運営され、1992年の閉鎖までに177世帯342人を受け入れました。入所者の皆さんは、その後、希望する定住先であるアメリカ、オーストラリア、ノルウェーなどへ移住されました。

自身のルーツをたどる旅

ダイさんのご両親は1980年代初頭、ベトナム難民として来日し、「赤十字希望の家」に滞在されていました。ダイさんはご両親の滞在中に同施設で生まれ、1歳頃まで日本で過ごされたそうです。


今回、ダイさんは日本を訪れるにあたり、自身の出生や家族の歩みを知りたいとの思いから、当時の資料や記録の閲覧を希望されました。これを受け、愛知県支部では関連資料を用意するとともに、「赤十字希望の家」の運営に携わった元職員との交流の機会を設けました。


「赤十字希望の家」の職員であった鈴木光広さんは、開設当初から1987年3月まで6年10ヵ月勤務されており、ダイさんが希望の家で生まれた当時を知る方です。その後、日本赤十字社愛知県支部の職員として長年勤務されました。

当日は、当時の写真や資料、映像を見ながら歓談が行われました。資料の中には、生まれたばかりのダイさんやご家族、親戚の姿も残されており、ダイさんご一家は嬉しそうに写真に見入っていました。

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その後、ダイさんが出生した産院である「やまぐち病院」の跡地(現・系列病院の駐車場)を訪問しました。

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さらに、「赤十字希望の家」の跡地である現在の愛知県赤十字血液センター周辺も見学し、充実した特別な一日となりました。

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言葉をこえて赤十字がつないだ縁

ダイさんは今回の訪問について、次のように語られました。


「生まれた場所を聞かれると、いつも日本だと答えていました。しかし幼い頃に日本を離れたため、当時の記憶はほとんどありませんでした。これまでなかなか訪れる機会がありませんでしたが、今回実際に自分のルーツの場所を見ることができて本当に良かったです。赤十字をはじめ、困難な時期に両親や家族を支えてくださった多くの方々や団体に感謝しています。」

希望の家の職員であった鈴木光広さんも今回の訪問について、次のように語ります。


「希望の家から送り出した方々が、自分の願い通り立派に元気に過ごされている姿を見ることができて非常に幸せな気分になりました。希望の家での勤務経験は、外国の方との関わりという面で社会勉強になりましたし、言葉が通じなくとも心で通じあうことが出来るのだと感じました。」

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今回の訪問は、人道的支援を長年にわたり続けてきた赤十字だからこそ生まれた、国境を越えた縁によって実現したものです。


日本赤十字社愛知県支部は、これからもミッションステートメントである「人間のいのちと健康、尊厳を守る」のもと、「苦しんでいる人を救いたい」という思いを結集し、人道的活動を推進してまいります。

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