~日本でもボランティア活動を~ フィリピンにルーツのあるボランティア団体が赤十字講習を受講!

 4月27日、碧南市南部市民プラザにて赤十字救急法基礎講習を実施しました。これまで愛知県支部では多文化共生事業の一環として外国にルーツのある方が理解しやすいように「やさしい日本語」での講習を実施してきました。
今回の参加者約20名のほとんどはフィリピンにルーツのある方です。基礎講習に使用する教本は漢字だらけで振り仮名はありません。「舌根沈下」「胸骨圧迫」「気道確保」「心肺蘇生」など、聞くだけでは理解が難しい言葉もたくさん出てきます。一部「やさしい日本語」を用いながらも、参加者にとっては外国語である「日本語」での基礎講習受講は大きなチャレンジです。自身で振り仮名をつけたり、スマートフォンの翻訳機能を使用したりしながら真剣に取り組む姿から「理解したい」「覚えたい」という気持ちが伝わってきました。

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Japan Eagles Club & Japan Lady Eagles Club

今回の講習会を企画したJapan Eagles Club & Japan Lady Eagles Clubは主に日本に住んでいるフィリピン人で構成されているボランティア団体です。フィリピンの国鳥が鷲(イーグル)なので団体名にイーグルを使っています。元々は、フィリピンのケソン州で1979年に設立された歴史ある団体(Fraternal Order of Eagles)で、災害時のボランティアなどで活躍しています。日本でもボランティア活動をしたいとの思いがあり、2022年に愛知県で初めてJapan Eagles Clubを立ち上げました。今では東京や岐阜などを拠点にして16のボランティアチームが立ち上がり活動を行っています。
愛知県のJapan Eagles Clubの最近の活動としては、能登半島地震の際にニーズを調査したうえで、1月6日に10トントラック2台でトイレットペーパーや毛布、カップラーメンなどの食事を運び被災者の皆さんにお渡ししました。また、洗濯機やオーブンも必要だという声があったのでそれらも被災地に運び込みました。また、災害時以外の活動としては、三重県の海岸の清掃活動なども行っています。

講習開催のきっかけ

今回、日本赤十字社愛知県支部に救急法の講習をお願いした理由は、ボランティア活動をしている時、もしものことがあった場合に自分たちで助け合いができるようにするためとのことです。代表のカビガオさんが今年2月に横浜県で救急法の講習を受けた際に、愛知県のメンバーにもぜひ受講してもらって、日頃のボランティア活動時に万一事故があった時に備えてほしい、といの想いから開催を依頼されました。日本赤十字社愛知県支部では「やさしい日本語」を使って講習を開催しているということも開催をお願いする一つの理由でした。日本に長く住んでいるメンバーもいれば、まだ日本語がそこまで上手ではないメンバーもいるため、そういったメンバーへは「やさしい日本語」を意識していただき助かったとのお声をいただきました。

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~受講者の声~ カビガオ ペルシバル ジェロニモ さん

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2022年のJapan Eagles Clubの創設メンバーで、現在は愛知県の代表をしています。フィリピンのブラカン州の出身で現在は碧南市で介護士として働いています。日本に住んで20年になります。救急法の講習を愛知県のメンバーにも受けてほしいと今回の講習会を企画しました。驚いたのは、今日の講習指導員3名が外国にルーツのある方々だということです。講習の説明も分かりやすく、講習指導員として活躍している皆さんに刺激を受けました。

~受講者の声~ ナグラ リザ ベルエガス さん

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女性で構成されるJapan Lady Eagles Clubの創設メンバーです。フィリピンの首都マニラの出身です。日本に住んで30年になります。マニラに住んでいた時にも、小さいころからキリスト教会でボランティア活動を続けていたので、ボランティア活動は生活の一部になっています。今日の講習はとても勉強になったし、他県のメンバーにも薦めたいと思いました。また、機会があれば今日の講習指導員のように、私も赤十字の講習指導員になってボランティア活動をしたいです。

講習を終えて・・・

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今回の講習は、3名の外国にルーツのある指導員に講習指導を行っていただきました。
(左から小川さん(インドネシア)、谷口さん(パラグアイ)、杉尾さん(ブラジル))
Q:講習を終えた感想はいかがですか?
A:「コロナ禍でしばらく講習指導員としての活動ができていなくて、講習回数が減っていたので少し緊張しましたが、なんとか皆さん学科試験の実技試験も合格されたので安心しました(笑)。」「今日講習を受けた方々は日頃から積極的にボランティア活動をされていて、人と話をするのに慣れていることもあると思うのですが、とても賑やかで冗談を言いながら楽しんで講習を受けているのが印象的でした。でも、真面目に話を聞くときは聞くし、わからないところは積極的に質問していました。」
Q:皆さんのような講習指導員になってくれそうな方はいましたか?
A:「休憩時間などにお話をしていると、皆さんボランティア活動に熱心な方々なので、講習指導員に興味を持っている方もいました。」「私たちは日本語と自分のルーツの国の言葉は話せるけれど、タガログ語はわからないのでJapan Eagles Clubの方々から講習指導員が生まれて、日本語が上手に話せない方にもタガログ語で講習を広められるようになるといいな、と思います。」「指導員になるには何日も養成研修を受けないといけないし大変だけど、その分やりがいもあるので、ぜひお勧めしたいですね」