外国にルーツのある方を対象にした「防災体験会」を開催  (大府市)

12月14日(日)、大府市にて大府市赤十字奉仕団と大府市地域婦人団体連絡協議会の共催による、外国にルーツのある方を対象とした防災体験会が開催されました。本体験会は今回で3回目の開催となります。
 本事業は大府市国際交流協会とも協力し、同協会が運営する日本語教室の開催日に合わせて実施しています。
 学びの場に自然に参加できる日程にすることで、普段から日本語を学ぶ参加者が無理なく足を運べ、日常の延長で防災を学べる機会として継続してきました。

 当日はあいにくの雨模様となり、自転車や徒歩での来場を予定していた方が参加を見合わせるなど、参加者数は想定より少なくなりました。
 それでも会場では、スタッフとのやり取りや参加者同士の会話が随所で生まれ、笑顔が広がるなど、終始にぎわいのあるイベントとなりました。
 防災を学ぶだけでなく、地域の人と対話し、安心できる関係づくりにつながる時間となったことが印象的でした。

体験を通して「知って、やってみる」 9つのブース

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 会場には、災害時に役立つ知識や行動を「見て・触れて・体験して」学べる 9つの体験ブースが設けられました。
 内容は、災害時の生活をイメージしやすいテーマを中心に構成し、初めての方にも分かりやすいよう、声掛けや説明の工夫をしながら運営していました。
 たとえば、非常食体験ブースでは、備蓄食の種類や温め方、開封方法などを確認しながら試食を実施。
 「どんな味なのか」「普段の食事とどう違うのか」を実際に体験することで、備えのハードルを下げるきっかけになりました。

 また、応急手当ブースでは、けがをした際の基本的な対応について、実演や体験を交えながら学びました。
 言葉だけでは伝わりにくい場面も、実際に手を動かすことで理解が深まり、「もしも」の場面を具体的に想像できる時間となりました。特に、参加者の関心が高かったのが、災害時のトイレ事情を学ぶブースです。
 大府市危機管理課の職員から非常用トイレの使い方や備えのポイントを知るとともに、実物に触れて確かめることで、「不安」から「安心」へと変わる気づきを得ることができていました。

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参加者の声

参加者の皆さまからは、体験を通して得られた発見や安心につながる感想が寄せられました。

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カレンさん(フィリピン):「防災食を初めて食べました。とてもおいしかったです。」

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リュウさん(中国):「今回の防災体験会でたくさんの方と日本語で話をすることができたのがうれしかったです。また、中国の地震がない地域の出身なので、地震の時に気を付けることが勉強できてよかったです。」

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ユダさん(インドネシア):「防災時の非常トイレが華奢で不安だったけれど、意外に丈夫でびっくりしました。」

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オカさん(インドネシア):「別の防災訓練では食事がカレーだったから食べられなかったけれど、今回の防災食は食べることができました。おいしかったです。」

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フェイザンさん(パキスタン):「すべてのブースが楽しかったです!」

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バットさん(パキスタン):「食事もおいしくて楽しかったです!」

 非常食については「食べられるかどうか」が安心につながる大切な要素であり、宗教や体質、嗜好など多様な背景の中で、選択肢のある備え
考えるきっかけにもなりました。
 また、会話を通じて「日本語で話す機会がうれしい」といった声もあり、体験会が防災と交流の両面をもつ場になっていることが伺えました。

主催者の声(大府市赤十字奉仕団 委員長 倉元さん)

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 主催者である大府市赤十字奉仕団委員長の倉元さんは今回の開催を振り返り、次のように語りました。


「大府市は外国人住民が増えている状況です。災害がある時困るのは日本人も外国人も同じです。外国の人が防災について学ぶ機会をつくって、イベントを通して少しでも顔見知りの人が増えるといいな、と思っています。将来的には、外国にルーツのある方も大府市赤十字奉仕団で同じ団員として活躍してほしいと思っていますので、勧誘もしてきたいと思っています!」

 「災害時に困るのは同じ」という言葉には、支援する・されるという一方向ではなく、地域の一員として共に備え、共に助け合う関係をつくっていきたいという思いが込められています。
 体験会を通して顔見知りが増えることは、いざという時の声掛けや助け合いの第一歩にもつながります。
 災害への備えは、特別なことではなく、日々の生活の中で少しずつ積み重ねていくことが大切です。
 今回の体験会は、知識を得るだけでなく、体験を通して「自分ごと」として考え、地域の人とつながる機会にもなっていたように思います。