トレセンで気づき、考え、実行する~80人が踏み出した一歩~
令和8年度京都府青少年赤十字リーダーシップ・トレーニング・センター(トレセン)を、小学生の部(小トレ)は7月25日・26日、中学生の部(中トレ)は7月27日・28日、高校生の部(高トレ)は8月3日・4日に、各2日間の日帰りで開催しました。小学生24名、中学生17名、高校生39名、計80名が参加し、小・中・高等学校の教員がボランティアで指導にあたりました。
トレセンは、青少年赤十字(JRC)の特色ある教育プログラムです。参加者は初めて会う仲間とホームルーム(HR)をつくり、赤十字についての学習、V・S(ボランタリー・サービス)、先見、フィールドワークなどに取り組みます。答えを教わるのではなく、対話や体験から自ら「気づき、考え、実行する」ことを大切にしています。初日は緊張していた参加者も、二日目には声を掛け合い、協力して課題へ向かいました。
【小トレ―限られた救援物資をどう分ける?】
小トレの二日目には、新田先生が赤十字防災教育プログラム「まもるいのち ひろめるぼうさい」を実施。災害時を想定し、各HRが避難用品・救援物資から必要な物を選びました。
最初は自分たちの希望を優先したため、一つのHRに物資が集まり、ほかのHRに必要な量が残らない場面もありました。そこで、「周りの人のことも考え、限られた物資をどう公平に使うか話し合おう」との問いかけを受け、再挑戦。必要な物と量、ほかのHRの状況を確かめ、「ほかの人にも残そう」と相談し、全体を考えて分けることができました。限られた資源を公平に配り、相手の立場を想像する大切さを体験から学びました。
参加した小学生は、次のように振り返りました。
「参加するまでは、みんなを引っ張れないタイプだと思っていました。でも、トレセンで自信が持て、もっとリーダーシップをとりたいと思いました。防災の活動では、最初は自分のHRのことばかり考えていましたが、二回目は必要な物を必要な量だけ持ち、みんなが公平になるようにできました。アンリー・デュナンの思いも知り、フィールドワークでは仲間と楽しく協力できました。人生の中でも一番心を動かされました。ぜひ来年も参加したいです」
【中トレ―自分たちで考える救急法】
中トレでは、市川先生による救急法を中心に学びました。手順を教わって終わるのではなく、目の前の状況に気づき、仲間と相談しながら、助けるために何ができるかを主体的に考えました。
最後には災害現場を想定した救護シミュレーションを実施。想定外の出来事や、協力を求めなければ解決できない場面にも、参加者は「こうしよう」「この役割をお願い」と声を掛け合い、二日間の成長を見せてくれました。
参加した中学生は、学びを周囲へ伝える決意を記しました。
「最初は何をするのか分からず、本当に役立つことを学べるのかと不安でした。しかし、学校の授業とは違い、実際に体験し、先生の経験や思いを聞けました。参加していなければ、周りの人がけがをしたとき、ただ見ているだけだったかもしれません。この二日間は、人を助けられる人になるための大きな一歩です。学びを自分だけで終わらせず、家族や友達、先生にも全力で伝え、多くの人にトレセンで学んでほしいです」
【高トレ―相手を理解することから始まる国際支援】
高トレでは、国際救援活動の経験を持つ近藤指導員が、ラオス赤十字社への救急法支援事業を中心に講話しました。日本ではAEDが広く普及していますが、社会基盤や費用の問題から同じ方法を導入できない国もあります。一方、ラオスでは蛇や野犬にかまれた際の手当への需要が高いなど、地域によって必要な知識や技術は異なります。
支援する側の考えを押しつけず、その国の暮らし、歴史、文化を知り、現地の人々と必要な支援を考えることが、国際理解と国際親善につながると学びました。
また、高校生は、児童福祉施設の子どもたちを招く「JRC夏祭り」の準備にも取り組みました。自身もトレセン参加者だった宮本講師から子どもたちについて学び、相手を知り、その立場で考えて活動することを確認しました。
参加した高校生は、次のように思いを深めました。
「最も心に残ったのは、『貧困とは機会の否定である』という言葉です。初めは、働けば貧困から抜け出せるのではないかと浅はかに考えていました。しかし現地の状況を知り、学習環境やライフラインが整わず、個人の努力だけでは変えられないと実感しました。その国の人々や歴史的背景、宗教を知り、歩み寄ることが必要です。学びを自分の中で止めず、周りと共有して実行することが、誰かを救うきっかけになると考えました。相手の立場になり、傷つけないコミュニケーション力を身につけたいです」
公平に分けること、目の前の人を助けること、異なる環境や文化を理解すること。三つのトレセンに共通するのは、「人を大切にする」という赤十字の心です。参加者がここで得た気づきを学校や家庭、地域へ持ち帰り、自分にできる一歩を踏み出してくれることを願っています。