「小学校生活最後のプールで水の安全を学びました」~京都市立桃山東小学校~
7月16日に青少年赤十字加盟校の京都市立桃山東小学校で、小学6年生の児童約90人を対象に着衣泳などの水上安全法短期講習を行いました。彼らにとっては小学校最後のプールの授業になります。当日の模様をご紹介しながら、これから始まる楽しい夏休みに向けて、水の事故に遭わないため、水の事故から身を守る方法をお伝えいたします。
手前から横2本目、左から縦3本目のラインの奥側の位置に子供の人形が沈んでいます
まずは溺れるということを学びます。水に溺れている人というと、水面で両手でバシャバシャとしながら大声で「助けて−!」と叫ぶ人をイメージするかもしれませんが、実際には声を出せずに短時間のうちに水没する人がほとんどです。皆さんはこのプールの画像のどこに人が沈んでいるか分かりますか?沈んでしまった人を発見することは困難です。重要なのは溺れる人を出さないことです。遊びなどでも2人1組のバディシステムを活用して、常にお互いの安全を確認し合いましょう。
次はホビングです。泳げなくなって溺れそうな時は、泳ぐという選択肢を捨ててホビングに切り替えます。水面に顔を出したいところですが、おもいっきり潜って、水底を両足で蹴ると同時に手で水を押さえて水上にジャンプします。その時に思いっきり空気を吸います。次はそのまま落ちる力を利用して水底まで潜ります。そしてまた水底を両足で蹴ってという作業を繰り返し、一番近づきやすい浅瀬を目指します。
もうひとつは、泳ごうとして体力を失い水没する前に、泳がずに浮き身をとって救助を待ちます。口と鼻さえ水面に出して呼吸ができれば生き延びることが出来ます。川や海で流されたなら、流される方向に両足を向けて、そのまま浮いた状態で流されてもいいので救助を待ちます。服や靴は脱ぎません。靴の種類によりますがスニーカーなどは浮力がありますし、服には空気を溜めることもできます。何より保温効果とケガを防止する効果があります。
また、ペットボトルなど身の回りにある物でも十分浮力がありますので、これらを使って浮き身を取ることも有効な方法です。溺れた人を発見した時は、泳いで助けに行くことは大きな危険を伴いますから、まずは浮力のある物や棒やロープなどを使って、水に入らないで助ける方法を考えましょう。必ず自分自身の安全を確保し、二次事故(災害)は決して起こしてはいけません。
次はエレメンタリーバックストローク(通称:イカ泳ぎ)を練習します。手足を動かさずに浮いて待つを実際にやってみると、ある程度練習をしていないと難しいことがわかります。また、川や海では水面が動くので口や鼻から水が入ってくるなど呼吸が困難になります。そんな時は浮き身の状態でゆっくり大きく手足を広げて、閉じる。ゆっくり手足を広げて、閉じるを繰り返すエレメンタリーバックストロークという泳ぎで救助を待ちます。もしくは一番近づける浅瀬を目指します。単に浮くよりも推進力を得ることで浮きやすくなります。
最後に人間洗濯機で川や海における水の流れを体験します。時計回りで全員がプールの中を走ります。そうすると徐々に水の流れが出来てきます。ある程度の勢いが生まれたところで、全員が走る方向を反時計回りに切り替えます。すると水の流れに対抗して走ることになりますが、水流の勢いの方が強くて全員前に進むことが出来ません。これを体験することにより、川や海で流された時に、その流れに逆らって元にいた所に戻ることが難しいことを学びます。そういった時は、流れに逆らわずに一番近づきやすいところを目指して浮きながら流される、もしくは救助を待った方が生存出来る確率が高くなります。
日本赤十字社京都府支部では、溺れている人を救助する方法を学ぶだけでなく、泳げない方でも溺れない方法を学ぶことが出来る水上安全法講習会も実施しています。今後も水の安全の普及啓発活動に力を入れ、命を守る意識の醸成に努めてまいります。